表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/48

第三話 アムステル島決戦③


 最後の砦には無数の砲弾が降り続いていた。

 けれども決してそれらは砦には直撃しない。

 ヴィールが防御魔法を展開し、砲弾のほとんどを切り裂いているからだ。


 トゥルーは地上から響いてくる轟音を聞きながら、魔法陣の発動を急いでいた。

 平和のために死んでいった仲間たちの悲願を、成し遂げることができるのは自分しかいないからだ。


 一方、ヴィールはイライラしていた。

 反撃して戦闘機に斬撃を浴びせても、次から次へと替わりの戦闘機はやってくる。

 港から砲撃してくる艦隊には遠すぎて、斬撃が完全に届かない。

 防御魔法によって魔力はジリジリとすり減っていき、完全に防衛戦になってしまっている。


「仕方あるまい……賭けになるが、攻めに転じるとするか」


 ヴィールは砲弾や戦闘機に刀剣を振るうのをやめた。

 防御魔法の耐久が減っていくのを気にすることなく、ヴィールは空で飛び回る戦闘機に掌を向けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「総司令官殿、大変ですっ!!」

「どうした? 作戦に支障が出たか?」

「それが……戦闘機がコントロールを失って、空中衝突や戦艦に突っ込むのを繰り返しているようです!!」

「なんだと!?」

「第一艦隊からの通信が完全に途絶!!」

「第二艦隊と第三艦隊、空戦戦力がほとんどが消滅したとのこと!!救助要請が出ています!!」


 ヴァンラントは怒りで歯ぎしりした。

 自分の名誉に傷がついたこと、諜報機関の無能さに対して。


「巫山戯るなっ!!あの化け物がこんな芸当をできるなんか聞いていないぞ!?!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ヴィールは戦闘機の動力源の魔力を操り、戦闘機を空中衝突させ、砲弾を撃ってくる戦艦に戦闘機を突っ込ませていた。


 ヴィールがこの戦い方を普段しないのは非効率であるからだ。

 魔力を無理やり操るのは魔力消費量が大きく、長期戦になると不利になるからである。

 この状況下においては長期戦のこと考える必要が無く、出し惜しみする理由がない。

 

「どうした? そんな鉄製のおもちゃじゃ我は殺せないぞ!?」

「そうだな、お前を殺すのには磨き抜かれた真剣のような武器じゃないとな」


 グサリ


 ヴィールが己の左脇腹を見ると、一振りの剣が突き刺さっていた。

 ヴィールは反射神経で脇腹を刺した者を刀剣で切り上げた。

 その者は刀剣から手を離し、後方の森へと跳んだ。


 ボト、ボト


 ヴィールの脇腹と、急襲してきた者の左目から血が滴り落ちる。


「……流石は戦闘民族、墜黒羅の長だ。完全に気配が消えていた」

「そっちこそ見事よ。私の左目を瞬時に切り裂くとは」


 この世界、グランモーンドには戦闘民族が存在する。

 独特な格闘術で敵を翻弄する、神武(シンブ)族。絶滅種の巨人族の血を引く、体万(タイマン)族。暗殺術の使い手、墜黒羅(ダクラ)族。剣で森羅万象を切り裂く、刃覇武(バハム)族。

 彼らは中央大陸から南西に位置する深淵大陸に住んでおり、傭兵稼業で世界中の戦場で戦っている。

 ヴィールを襲ったのは戦闘民族、墜黒羅を務める男だった。


「これはこれは……驚いたな、仲の悪い族長方が勢揃いとはな」


 ヴィールの前方の森の奥から、幽鬼の如くゾロソロと人が現われる。


【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!

面白いと思ったらポイントの評価とブックマークの登録をお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ