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第四十六話 真夜中の戦い⑤


 シャリエッツを追いかける魔導車が、ライン上に立つヴィールを次々と避けていく。


「『時間通りに飛行場へ行く』デスカ……ズイブント、舐められたモノデスネェ」

「ふむ、勘違いしてもらっては困るな。これでも我は貴様を評価しているぞ。貴様が貧弱なら、我は時間通りに飛行場へは着けない。なぜなら、早く飛行場へと着いてしまうからだ」

「結局、ワタクの存在はイレギュラーじゃナイト」

「さあ、互いに時間は無いだろう。勝敗をつけようではないか」

「その意見にはサンセイだ……」


 キョーランの足元から黒い影が波の如く広がり、それは周りの全てを包み込んだ。

 ヴィールは後方へと跳躍し、その影に触れてしまう事を回避する。


「サアッ!ココからは、最高にクールな死刑ショーのハジマリダッ!!」


 ボキッ、バキャアッ!!


 ヴィールが音のした方を見ると、街路樹が影によって折られていた。

 折られた街路樹は影に取り込まれ、キョーランは取り込んだ街路樹を自身の頭上へと持ってくる。

 よく見れば、影があちらこちらから様々な物を水を汲み上げるポンプのように吸い込んでいた。


 行き先を示す道路標識、民家に停められた自転車と魔導車、レストランの看板、聖国アムステルの神話に出てくる女神のオブジェ、ゴミに出された魔導具、道端に落ちている石や破片。

 様々なモノを取り込み、キョーランの頭上にある塊はわずか数秒足らずで巨大化した。


「シネェ!!」


 塊の中から大小さまざまなものが、ヴィールに向けて放たれた。

 それら一つ一つが弾丸の如く、一度人間に当たればバラバラにできるほどの威力。


影の悪夢(シャドー・ナイトメア)!!」

「魔神ヴェヒタールよ、全てを灰燼と化せ!」


 全てを飲み込もうとする影と、全てを燃やすことができる強大な炎が。

 首都リースのハイウェイで今、激突した。




【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!

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