第四十五話 真夜中の戦い④
「シャリエッツさん!ここ左に曲がって下さい!」
シャリエッツの魔導車が左に曲がると、大きな道路が見えてくる。
ようやく一行は長い路地から脱出したのだった。
「この幹線道路を真っ直ぐに行って下さい!そうすれば飛行場に着きます!」
「分かった」
シャリエッツはアクセルペダルを踏み込み、魔導車を急加速させる。
誰もいない真っ暗な道路をシャリエッツの魔導車は進んでいく。
「ふ、振り切りましたかね?」
シャリエッツが黒い魔導車を振り切った後も、ルテス・ムアは魔導車は追ってきたのだった。
アーケラは後部座席から、恐る恐る後方を見る。
しかし、後方にはただ暗闇が広がるだけで、魔導車はいなかった。
「振り切ったみたいでs
「いや、
アーケラの言葉をヴィールは否定した。
そして、ジッと後方の暗闇を見つめる。
「ヴィールさん?」
「何かくる……」
ヴィールは車の屋根の一部を冥剣でぶち抜き、走行する魔導車の屋根に立つ。
車の屋根に立っても、ジッと暗闇を見つめる。
アーケラは不思議そうにしていたが、次の瞬間だった____
暗闇が蠢いた
「冥剣よ、我が意志に応えよ」
ヴィールは冥剣を鞘から抜くと火の魔力を纏わせ、暗闇の中で蠢く影に向かって振り下ろした。
炎の斬撃が影に一直線に向かっていく。
だが影はその斬撃を簡単に避け、ヴィールに向かって飛びかかってくる!
ヴィールは向かってる影に向かって剣を突き立てる!
刹那、影は剣を持った人の形になり、ヴィールの冥剣と影の剣が交わった。
キィンッ!という金属音と同時に火花が散った。
「なんだァ、貴様」
「ソ、レ、ハ、アナタ自身がよく知っているじゃないんデスカ!?」
「【真の赤き竜】の魔導士か」
「YES YES YES。そのトーリ。ワタシは真の赤き竜の魔導士、キョーラン!アナタ方が持つ魔のペンダントを奪いに来ましタ!!」
後方にはいつの間にか、複数の魔導車が走行している。
(ふむ。この男は影魔法の使い手か、だから魔導車の姿が見えなかったのか)
ヴィールの予想は当たっていた。
キョーランは影魔法を用いて、シャリエッツを追う魔導車の姿を隠し、自身も姿を隠しヴィールらが油断する機会を狙っていたのだった。
「断る、と言ったらどうなる?」
「ソレハ、もちろん……
キョーランはヴィールの腕に影を絡ませ、勢いよく魔導車の屋根から地面へと引っ張る。
……死刑に決まってイルデショウッ!!」
ヴィールはあえて抵抗せず、そのまま走行する魔導車の屋根から落とされた。
「ヴィールさん!」
アーケラは、遠ざかってゆくヴィールに向けて叫ぶ。
「我はコイツを倒す!時間通りに飛行場へ行くゆえ、先に行っててくれ!」
【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!
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