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第四十三話 真夜中の戦い②


ーーーー


「どうやら、タイミングは絶妙だったな」


 ヴィールは魔導車の中から、アーケラの自宅から閃光が漏れるのを見ていた。

 魔導閃光手榴弾の(トラップ)は、ヴィールが仕掛けたものだった。

 

 魔導車をシャリエッツが運転し、一行は首都スタンポの飛行場へと向かっていた。

 聖国アムステルダムを脱出するにあたって、ヴィール、シャリエッツ、トーデスの3人は飛行艇で脱出することを決めた。

 短時間かつ見つからずに国を出るには、飛行艇が適しているからである。


「シャリエッツさんが運転できるとは思いませんでした」

「意外でしょうアーケラ嬢。最近の貴族の護衛はなんでもできないといけないんですよ」


 この世界グランモーンドでは魔力を動力源とする魔導車があるが、庶民・貴族の普及率は低く、魔導車を運転できる者は数少ない

 アーケラにとって、戦闘に特化した職である騎士が魔導車を運転している光景は、奇異なものであった。


「魔導革命が起きて、護衛を請け負っていた冒険者がいなくなってしまったんです。大体の業務は騎士がやるようになったんですが……まぁその分、待遇は良くなりました」

「シャリエッツさんは、どうして貴族の護衛を辞めてしまったんですか?」

「……アーケラ嬢、それはでs


 シャリエッツの言葉は車体の横からの衝撃によって遮られた。

 ハッと、シャリエッツは左横を見る。


「きゃあっ!」

「くっ」


 全体が黒く塗りつぶされた魔導車が、シャリエッツの運転する魔導車と並走していた。

 その魔導車を運転する男は、シャリエッツに拳銃を向けていた。


「どうやら悠々とお喋りしている余裕はないみたい、ですねっ!!」


 シャリエッツは左へと思いっきりハンドルを回し、並走してきた魔導車に車体をぶつける。

 黒い魔導車の運転手は拳銃を落とす。だが負けじと、再びシャリエッツたちの魔導車に車体をぶつける。


「アーケラ嬢、ここから先は道が狭くなり路地になります!運転に集中したいので道案内を頼みます!」

「わ、わかりました!」


 シャリエッツが運転する魔導車は飛行場へと猛スピードで向かっていく。

 魔導車を時計台から見ている男の姿に、気づくことのなく。

 

【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!

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