第三十九話 謀略
「私は目的が金銭だとは思いませんわ」
ヴィールとシャリエッツが納得しそうになった時、トーデスがそれを妨げた。
「……トーデスよ、なぜ分かる?」
「ルテス・ムアは買収されましたの、ある組織に」
「その組織の名は?」
「【真の赤き竜】」
「!」
その言葉を聞いてヴィールは今はありもしないはずの鳥肌が立つ感覚を覚える。
それは撃針となって、ヴィールの根底にあった記憶を再び呼び覚ます。
「ヴィール嬢、大丈夫ですか?」
「……何でも無い。トーデス、話を続けてくれ」
「真の赤き竜という組織については、私でも詳しいことは分かりませんわ。ただ、凶悪の魔導師によって組織が構成され、非道を働くということだけは確かですの」
「……トーデス、ルテム・ムアの構成員の数は」
「そうねー、ざっと十数万人はいるわ。ヴィール様なら簡単に倒せそうだけど、ルテス・ムアと戦争するなら赤き竜とも戦争をしないといけないことになりますわよ?」
ヴィールは思考を巡らす。
魔神ヴェヒタールは先の異形と化したストーンハンターとの戦いで力を温存することができたが、まだまだ呪いの力を取り戻せてはいない。
そして己も世界大戦の時のような傍若無人の戦いはできない。魔力を効率よく使わなければならない。
様々なハンデがある。しかし____
「……しかしどの道、真の赤き竜とは戦う運命にある。我がペンダントを持っている限りな」
「! 我々を襲ってきた二人の目的は金銭ではなくペンダントだったと?」
「ああ」
ヴィールは組織名を聞いて確信した。
真の赤き竜、それは世界大戦の時にペンダントを所有していた組織。
「ペンダントとは何かしら?」
「……実はだな」
ペンダントについて尋ねてきたトーデスに、ヴィールは今までの経緯を話した。
「分かりましたわ……ヴィール様の胸元から漏れ出ている邪悪な魔力は、そのペンダントが原因でしたのね」
トーデスは人の憎悪や悪意というものを、戦いの中で感じ取ってきた。故に分かるのである。
憎悪という形の魔力を。
「提案がありますわヴィール様」
「なんだ?」
「私もその世界を救う旅に参加したいですわ」
「とても世界を救おうとする顔じゃないな……人を殺すために旅をするのではないぞ?」
「分かっていますわ!決して、無駄な殺しはしませんわ」
「……涎が垂れてるぞ?」
「あら?ごめん遊ばせ♡」
(コイツはコイツで、シャリエッツとは違うベクトルの変態だな……どうしようもない奴だが強さは持っている)
「良いだろう。ただし、無作為に人を殺した時は我がお前を殺す」
「構いませんわ。本日からよろしくお願い致しますわ」
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