第二話 アムステル島決戦②
「冥剣よ、我が意志に応えよ」
ヴィールが携える刀剣は、ヴィール自身が名匠に造らせたものである。
その名を冥剣ヴェヒタール。魔力を纏わせることができる刀剣である。
「敵を灰燼と化せ」
迫ってくる敵兵の集団に、ヴィールは刀剣を横薙ぎに振るう。刀剣の斬撃には火の魔力が付与されており、迫ってきた敵兵は炎によって塵と化した。
ドオオーン!!!
最後の砦に目掛けて砲弾が複数降ってくる。
しかしその砲弾は最後の砦には直撃せず、砲弾はヴィールの斬撃によって粉々になった。
ヴィールは空を見上げる。
空には戦闘機が果物に群がる羽虫の如く、ウジャウジャといた。
どの戦闘機にも、ある国を示す国旗が描かれていた。
「蜥蜴どもが……関係ない戦に首を突っ込むとどうなるのか教えてやらなければな」
戦闘機には竜王国のシンボルである竜の頭と爪が描かれていた。
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「砲撃を続けろ!弾幕を絶やすな!!奴に攻撃の隙を与えるな!!」
『了解!!!』
聖国アムステルより遥か東南。
竜王国の司令室で一人の男が戦場の指揮をしていた。
「総司令官殿、第二艦隊と第三艦隊、目的のポイントに到着しました!!」
「指示があるまでは待機!戦闘機と戦闘竜をいつでも出撃できるよう準備しておけと伝えろ!」
「了解しました!」
戦闘竜とは、戦争用に育成された竜のことである。専門的な技術を持つ兵士が戦闘竜の背中に乗って操る。
命令をする青年は竜王国軍の大将にして、今回の作戦の総司令官であるヴァンラント・クロー・ドラゴニアである。
竜王国の軍事教練校では歴代最高の評価を受け、軍才は国王からも認められ、世襲制であった竜王国軍の将軍の椅子に齢二十三で座ることになった稀代の天才である。
「総司令官殿!聖国アムステルに展開する第一艦隊から伝達!砲撃の準備が完了したとのこと!!」
「よし、ファランダ王国軍とアリベール王国軍は待機!エイガ帝国軍はカリトリの森の中心部に砲撃開始ッ!!」
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