第三十七話 魔導列車戦③
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「その戦い、私に買わせて貰えないかしら?」
今まさに戦おうとする二人を、止める声が上がった。
ヴィールが後ろを振り返ると、背中に杖を背負った一人の金髪エルフが立っていた。
エルフの顔はこの場に似合わぬ満面の笑みで、不気味さを醸し出していた。
「……エルフの姉ちゃん、あんたは関係ねぇ。俺はコイツと戦いたいんだ」
「あらー、駄目ですか。あなたはどうですか、白髪さん?」
「我は構わん。雑魚相手にいちいち構ってられぬからな」
「やった」
エルフは嬉々としてヴィールの前へと立つ。
そのエルフの喜びようと、ヴィールに雑魚呼ばわりされたことで右目に傷のある男はため息をつく。
「おいおい、人を舐めすぎだぜ姉ちゃんら。これでも俺はマフィアの暗殺隊の隊長を務めてんだ」
右目に傷のある男の雰囲気が変化する。
男の全身に周りの魔力が纏わりついたのだ。ちょっとした魔法攻撃ではびくともしない。
「……魔法なら何度も受けてきた。さあ、かかってこい」
「では、遠慮なく」
エルフは背中にある杖を____取り出さなかった。
代わりにエルフはある呪文を唱える。
「空間収納」
その呪文は空間魔法の一種で、空間魔法で創った異空間に物を入れたり出したりできる魔法である。
エルフが異空間から取り出したのは____
一丁のガトリング銃だった。
「は?」「ほぅ」
右目に傷のある男とヴィールは意表を突かれた顔をした。
仕方ないことである。なにせ、エルフ=魔法というイメージが強く、それに加えて背中に杖も背負っていれば誰しもが【魔法使い】と認識するだろう。
「おい、それは聞いてn
「発射~~」
毎秒70発という弾丸の暴力が右目に傷のある男を襲う。
男は身体の前面に全ての魔力を集中させ、防御の姿勢を取る。しかし、
(思ったよりも魔力の消費が激しい。一体…………ッ!)
男はある事実に気がつき、虚を突かれた表情を浮かべる。
弾丸には術式が刻まれていたのだ。
通称、貫通弾。竜といった大型魔獣の撃退に使われる特殊弾丸の一種である。
弾丸には術式が編み込まれており、弾丸が銃身より発射されるとその術式は起動する。
エルフが使ったのは貫通弾という、弾丸の速度と威力を数倍に跳ね上げる代物であった。
「人に使っていいもんじゃねえ。オーバキルじゃねえか……」
男が身体に纏った魔力の装甲は、わずか数秒で破られたのだった。男の身体は勢いよく後方へと吹き飛ばされる。
「ふぅ~、ちょっと調整不足だったかしら。弾の出が少し遅い」
「……エルフよ一つ聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「……その背中に背負っている杖は魔法の詠唱用じゃないのか?」
「ああ。これは接近戦の時に使う打撃用の棍棒です」
「そうなのか……」
ヴィールは少しだけがっかりした。
エルフの使う魔法はどれも美しく、見られることを少し楽しみにしていたからだ。
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