第三十五話 魔導列車戦①
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「3時ちょうど発。15両編成首都ランタ行き、発車いたします。ご乗客の皆様、揺れますのでご注意ください」
車掌の合図で魔導列車がスタンポ駅から、首都ランタに向けて発車する。
この魔導列車、魔力を動力源とし我々の世界と同じ電気式の列車と同程度の馬力を持つ。
異世界グランモーンドの魔導技術は発展しているのだ。
ハンチング帽を被った男はしばらく魔導列車に揺られていたが、頃合いを見計らい立ち上がる。
男の胸ポケットには魔導具国家のファランダ王国が開発した小型完全消音拳銃が一丁。足元の踝には毒付きナイフ、ベルトは鋼鉄の糸が編み込まれて絞殺に特化したものだ。
男はヴィールとシャリエッツを探すために後方車両から前方車両へと歩き出した。
男が十三号車から十二号車へと移ろうとした時、十三号車の前方にあったトイレのドアが勢いよく開く。
トイレの中から腕が伸び、男をトイレの中へと勢いよく引き込んだ。
「ふーん、よく見たらイケメンだ。でも惜しい、私はワイルド系じゃなくてクール系が好きなんだ」
トイレの中へと男を引き込んだのはシャリエッツだった。
男は目を見開き、胸から小型完全消音拳銃を取り出した。
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一方、ヴィールは魔導列車の三号車、食事処でコーヒーを注文し寛いでいた。
「ふむ、なかなか美味いコーヒーだ。魔法人形なった時は食事はもう二度と楽しめないと思ったが……我の想像よりも魔導技術は遙かに発展しているな」
ヴィールは魔法人形ではあるが、食事を取ることが可能である。アーケラがヴィールのために造った魔法人形には最新の魔導技術がいくつも施されており、その一つが食事による魔力供給である。
従来の魔法人形は魔石を動力源とする言わば電池式、また魔力を動力源とする充電式が主流である。だが、アーケラが作製した魔法人形は口腔から取り込んだ食べ物を魔力に分解し、その魔力を動力とすることができるのだ。
ただし、味を認識できるのは食べ物を魔力に分解した時なので、食べ物を噛んだりして味わったりすることは不可能である。
「他にもいろいろとあるな。どれこれでもたn
「おぅ、姉ちゃん。ちょっといいかい」
ヴィールが食事処のメニュー表から顔を上げると……
目の前にハンマーの打撃面が迫っていた。
ドガアァン!!
ヴィールが先刻まで座っていた椅子とテーブルが巨大なハンマーによって粉砕された。
三号車にいた乗客たちとシェフは悲鳴を上げながら、後続車両へと逃げていく。
「おいおい、優雅なコーヒータイムを楽しんでいたというのに」
「ああ、すまないな姉ちゃん。仕事なんでな」
「それで、頼みとはなんだ?」
「ちょっと金のために死んでくれないか」
「悪いが我はその頼みを受け入れることはできないな」
ヴィールは鞘から冥剣を抜き、片手で構える。
ヴィールと右目に傷のある謎の男が対峙する。
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