第三十話 ペンダントの力
シャリエッツはロングソートを、ヴィールは二メートルの刀剣である冥剣ヴェヒタールを構える。
両者が剣を構えた数秒後、下層へと続く階段の入り口が爆散した。
下層へと続く階段の入り口が爆散した衝撃で亀裂ができ、その亀裂は天井に達する。
天井の亀裂から上層の光が漏れ、広場を照らす。
最下層へと繋がる階段より現われたのは、巨大な齧歯類だった____しかし、
相貌は普通の齧歯類とは異なっていた。
「このモンスターは……ストーンハンター!」
「ストーンハンターというのか?」
「はい。魔石を好んで食べる齧歯類のモンスターなんですが……私が知っているストーンハンターは20㎝前後の体長で、鼠とほぼ変わらない姿です。これは……」
二人の前に現われたストーンハンターの体長は20㎝を悠々と超え、数十倍の長身だった。また、ストーンハンターの腹部と背中から触手のようなものが飛び出しており、なにかを捕まえようと蠢いていた。
異形の怪物の巨大な双眸が、ヴィールとシャリエッツを睨む。
「ヴェヒタールよ我が命じる、顕現せよ」
冥剣から黒い液体が溢れ出し、黒い液体の水たまりが迷宮の地面にできる。
その黒い水たまりからナニカが飛び出す。魔神ヴェヒタールである。
「ヴィール嬢、それは一体……」
「我の眷属である魔神ヴェヒタールだ。ヴェヒタールは周りの生命体に強力な呪いをかけることができるが、今は弱体化している。シャリエッツ、ヴェヒタールが抵抗を受けること無く呪いをかけられるようにストーンハンターの体力を削ってくれ」
「分かりましたヴィール嬢、では私は背中から飛び出している触手を狙います」
「よし、我は腹部を狙う」
シャリエッツは迷宮の壁へと跳躍し、出っ張りを見つけて壁を駆け上がる。
一方ヴィールはストーンハンターの正面へと一気に迫る。
二人がストーンハンターに近づいた時、ストーンハンターの触手が二人を捕まえようと動き出した。
腹部の触手がヴィールに、背中の触手がシャリエッツに津波の如く接近する。
「は!」
シャリエッツは目の前に迫ってきた触手を、ロングソードでバッサバッサと斬り落とした。
「たぁっ!!」
落下する寸前、足を掴もうとした触手を踏み台にして跳躍。別の触手と着地し、その触手を綱に見立てストーンハンターの背中めがけてシャリエッツは走り出す。
その間に、腹部をめがけていたヴィールは津波のように迫ってきた触手を冥剣で全て斬り飛ばしていた。
「たああぁぁぁ!!!」「ふっ!」
シャリエッツは触手からまた跳躍し、今度はストーンハンターの背中めがけてロングソードを振り下ろした。
ヴィールもストーンハンターの至近距離から、腹部へ向けて冥剣の斬擊を放つ。
二人の斬擊は命中し、ヴィールとシャリエッツは確かな手応えを感じた。が、
「キュアアアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーー!!!!!」
「これは!?」「ふむ」
斬ったはずの一部の触手が再生したのだ。
触手がまた二人を襲う。
「ぐはっ!?」
シャリエッツは触手に吹き飛ばされ、迷宮の壁へと打ち付けられた。
ただシャリエッツは触手に吹き飛ばされる寸前に防御姿勢を取ったことで、意識を失わずダメージを軽減することができた。
(あれは…………なるほど。だから巨大化したり、身体が再生したりするのか)
ヴィールは触手を斬り飛ばしながら、ストーンハンターの腹部にあるものを見つけた。
悍ましい魔力を放つ魔のペンダントを。
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