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第二十九話 気付き


「あの刹那で一瞬で防御魔法を展開するとは……さすがですヴィール嬢!この助けてもらった礼はか

「すまないがシャリエッツ、少し黙ってくれないか」

「……どうしたんですかヴィール嬢?そんな難しい顔をして」


 ヴィールが鱗や角を回収しようと黒爪竜の身体に触れた時、ある違和感に気づいた

 その違和感は魔力探知の使い手であるヴィールでも、見逃していたであろう違和感であった。


(この黒爪竜……体内を循環する魔力に()()()()()()()()()()()が微かにだが混じっている)


 ヴィールは黒爪竜の魔力にアンユラマンユラの魔力が混じっていることに気がついた。

 ヴィールは大戦中、ペンダントを奪われないように常に肌身離さず持ち歩いていた。だから感じ取れるのである。アンユラマンユラの恐ろしく、精神を隙あらば飲み込もうとする悍ましい魔力を。


(我を襲ってきたのは、我の身体に残るアンユラマンユラの魔力を感じ取ったからか)


 なぜ黒爪竜が束となって己を襲ってきたのか、ヴィールは理解した。

 ヴィールはペンダントを肌身離さず持ち歩いていたので、アンユラマンユラの魔力が身体に微量に染みついてしまっている。

 意思を分割させられ十三個のペンダントに封印されたアンユラマンユラは、なんとしても復活するためにお互いを引き合っている。つまり、アンユラマンユラの魔力がヴィールと黒爪竜を引き合わせたのだ。


(……ということは、このスタンポ迷宮の最深部のどこかに魔のペンダントがあるというわけか)


 モンスターにアンユラマンユラの魔力が含まれているということは、モンスターの周辺にペンダントがある。そう、ヴィールは結論づけた。

 

 ヴィールが黒爪竜の身体を触るのを止め、立ち上がろうとした時だった_____

 遙かに下、最下層からナニカが上層へと上ってくる気配をヴィールは感じ取った。

 ヴィールは目を見開いた。魔力探知に神経を集中させていたのに気づけなかったからだ。


(いや、これは……)


 違った。ヴィールの魔力探知は完璧だった。下層と上層のモンスターの位置を完璧に把握していた。

 あまりにもそれは()()()だったのだ。規格外すぎて、ヴィールはそれを()()()()()()だと捉えてしまっていた。

 最下層の魔力が一斉に動いたことでヴィールは異変に気づいた。


「ヴィール嬢……この下層から響いてくる振動は一体……?」

「シャリエッツ、逃げた方が良い」

「……できません。誰かを置いて逃げることは私、シャリエッツの騎士道精神に反します!」

「今度はお前を守りながら戦うことは我は出来ぬ。死ぬぞ?」

「構いません。美女の隣で死ねるなら本望です!それに私は、あなたと濃厚で汗だくな〇〇〇をするまでは死ぬつもりは毛頭ありません!!!」

「……はぁ、お前それが最後の言葉になっても良いのか?…………来たぞ」


 シャリエッツはロングソートを、ヴィールは二メートルの刀剣である冥剣ヴェヒタールを構える。

 両者が剣を構えた数秒後、下層へと続く階段の入り口が爆散した。


 

【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!

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