第二十八話 黒爪竜
先制したのはシャリエッツだった。ロングソードで正面の黒爪竜の頭を切り飛ばす。
ヴィールもそれに続き、冥剣で二体の黒爪竜に斬擊を飛ばして頭を吹き飛ばす。
一匹の黒爪竜が腕を振り上げ、シャリエッツを黒爪で刺そうとする。
シャリエッツはこの攻撃を察知して縮地で回避すると、地面にへと刺さった爪を蹴り台にして大きく跳躍する。
跳躍したシャリエッツは自分を襲ってきた黒爪竜の額に、渾身の斬擊を飛ばす。
「ギャアアアアアアアアアオオオ!!!!」
額に斬擊を受けた黒爪竜が耳をつんざくほどの咆哮を上げ、糸が切れたようにグラリと傾く。
一方ヴィールは、冥剣で黒爪竜の爪攻撃をいなし、さらに二匹の黒爪竜を倒す。
ヴィールがシャリエッツの方を横目に見やると、一匹の黒爪竜が顎門を開きシャリエッツを今まさに飲み込もうとしていた。
「シャリエッツ!左横だっ!」
「!! なんの、その!!!」
倒れゆく黒爪竜を踏み台にして、シャリエッツは自ら黒爪竜の口の中へと跳躍した。
シャリエッツは目を閉じて、集中する。自身の身体に流れている魔力を掴むためである。
ロングソードの刀身が煌びやかに光る。シャリエッツは自身の魔力をロングソードへと集めたのだ!
「はあああぁぁぁーーー!!!」
煌びやかに光るロングソードは黒爪竜の頭を貫通し、シャリエッツは黒爪竜の口の中から外へと脱出した。
「ふむ。やるではないか。お前ほどの技量と力を持つ剣士はそういない」
「ヴィール嬢……私は褒められるより罵られる方が嬉しいですよ」
「その口さえ無ければ、一流の剣士だと我は思うぞ」
ヴィールはこの間にも、怖じ気づいた黒爪竜と逃げ出した黒爪竜に斬擊を飛ばし倒していた。
「ふむ。一件落着」とヴィールは考えたが、黒爪竜の死体の数を数えて違和感を覚えた。
死体の数が足りなかったからだ。
「上空か」
ヴィールとシャリエッツが気づいた時には、一匹の黒爪竜が上空から竜の息吹を放っていた。
竜の息吹が無防備なシャリエッツを襲う瞬間____竜の息吹は透明な障壁によって防がれる。
ヴィールがシャリエッツの上空に防御魔法を展開させたのだ。
「ヴェヒタールよ我が命じる、あの竜を討て」
冥剣が黒い液体が鉄砲水のように溢れ出し、上空へと目に留まらぬ速さで上昇していく。
上空を旋回する黒爪竜は自身に向かってくる黒い液体に気がついて回避しようとしたが時既に遅し。黒い液体は鋭利な形状となって、黒爪竜の全身に穴を開けた。
黒爪竜は咆哮を上げることも許されず殺されたのだった。
こうしてヴィールとシャリエッツは襲いかかってきた黒爪竜たちを倒したのだった。
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