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第十九話 家の掃除


→→


 洞窟から出たヴィールはアーケラの案内のもと、聖王国首都ランタにあるアーケラの自宅へとお邪魔していた。


「ふむ、随分と埃臭く散らかっているな」


 アーケラの家の中は埃臭く、書物や魔導具が部屋のあちらこちらに散乱しており、部屋のある片隅には茶色ナニカがカサカサと蠢いていた。ゴミ屋敷、一歩手前の惨状である。


「禁術の【魂の呪縛(ソウローク)】について調べるのが大変で……」

「よし、我がなんとかしよう。アーケラよ、部屋の中から出てくれぬか?」

「? 分かりました」


 アーケラが部屋を出るのをヴィールは確認すると、家の庭に冥剣を刺して____


「ヴェヒタールよ、我が命ずる。部屋を綺麗にしたまえ」


 冥剣が刺した場所から黒い液体が溢れ出し、その黒い液体は導かれるようにアーケラの家へと入っていく。

 その黒い液体にアーケラはギョッとし、ヴィールに問う。


「……ヴィールさん。あの、黒い液体はなんですか?」

「ああ、我の眷属のヴェヒタールの体液みたいなものだ」

「体液!? ……見るからにヤバそうなんですけど、大丈夫なんですか?」

()()()()()()大丈夫だ。まぁ、ヴェヒタールも我同様魔力強制放出魔法(フレーゲベン)で力を失っているから、液体に触れたとしても死ぬことはない」

「そうなんですか……あっ、部屋の中には書物や魔導具が置いてあるんですけど」

「安心するがよい。ヴェヒタールの黒い液体は()()()()()()()()()()()()から、書物や魔導具が駄目になることはない」

「? よく分からないけど、大丈夫なんですね……良かった」


 アーケラは疑問や不安に思ったことを一通りヴィールに問い、ホッと心を落ち着かせた。

 

ーーーーーーーー

部屋の掃除、終了

ーーーーーーーー


 玄関前の地面に、魔神ヴェヒタールの掃除が終わったことを知らせる文字が書かれた。

 時間にしてわずか三分足らず。魔神ヴェヒタールの凄腕のハウスキーパーだった。

 ヴィールは玄関を開け、部屋の中を確認する。すると、部屋の中はゴミ屋敷の一歩手前の惨状が嘘のようで、部屋の中はショールームのようだった。

 しかし、一点だけ問題があった。それは内玄関前だった、そこには_____


「む」

「わぁ、凄い綺麗……きゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!」


 アーケラは叫び声を挙げて、泡を吹いて卒倒してしまった。

 倒れるアーケラの身体を瞬時にヴィールは支える。


 そこになにがあって、なぜアーケラが倒れたのかは明言しないでおく。

 ただ、アーケラは虫嫌いで、家の中には害虫や害獣がまあまあいたという事実は言っておこう。


【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!

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