第十二話 転機
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ヴィールがいつも通り己の無力さを呪っていた時、神殿の入り口から足音がした
(!)
ヴィールはこの場所に人が来たことに驚愕したが、冷静になり気配を探る。
その人物はペタペタと、神殿の奥へと歩いてくる。
(どうやってここまで来た? ここは人が簡単に来れるところではないはず……)
神殿は洞窟の奥深くにあり、とても簡単には辿り着けない場所にある。また洞窟の入り口は塞がれており、洞窟には人が入ってくることはありえない。
「ここは……こんな場所が」
洞窟の奥へと歩いてきたのは、服が泥まみれの一人の少女だった
その少女は興味深そうに神殿を見回し、奥へと歩いてきていた。
「これは……魔物の石像、と剣?……とても不気味」
少女はヴィールの石像を発見した。そして、石像の隣に突き刺さっている冥剣も発見した。
けれども…………
「うーん、こんな場所に神殿があるということは何かヤバイ神様でも祀っているのかな? ここには長居しないほうがよさそう……」
ヴィールの思いとは裏腹に。
少女は踵を返し、神殿への入り口へと歩き出してしまった。
(! 物思いにふけっている場合ではない!! なんとかあの少女に気づいてもらなければ!!)
ヴィールは冥剣に宿る魔神ヴェヒタールに渾身の命を下す。
封印魔法によって石化はしているが、ヴィールと魔神ヴェヒタールの契約は失われていない。
(ヴェヒタールよ、全力を持ってして、古の神としての矜恃を示せっ!!!)
ヴィールは己に残された僅かな魔力を使い切り、魔神ヴェヒタールに全てを託した。
(頼むぞ、ヴェヒター……ル)
ヴィールは100年ぶりに、またしても意識を失った。
ヴェヒタールもまた、力を使ったことで休眠状態になってしまった。
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ゴンッ!!
「ひっ!? 」
少女アーケラは突然響いた音に、心臓が飛び出るほど驚いた。
おそるおそる恐怖しながら振り返ると、石像の剣が倒れていた。
「なに、これ……」
少女アーケラはそれを見て、腰が抜けそうになった。
神殿の壁には、びっしりと黒い液体で文字が書かれていた。
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