第十一話 現状
→
→→
→→→
→→→→
____さて時代は変わり、人類歴は2015年。
大戦が終結し、ヴィールが封印されてから約200年が経過していた。
(……封印されてから何年経った?)
カリトリの森の洞窟の、古びた神殿の奥でヴィールは思っていた。
ヴィールは封印魔法に抵抗し続け、封印されてから100年後に意識を取り戻すことに成功していた。
しかしながら、己にかけられた石化の封印魔法を解除することはできずにいた。
(……トゥルーは無事にペンダントを隠し通せただろうか?)
ヴィールにできることは意識を失わないように、考え続けることだけだった。
強力な封印魔法をかけられた上に、魔力強制放出魔法によって身体から魔力を抜かれ続けているのだ。
ヴィールは常に身体から流血しているような状態であり、封印魔法を解除する力を出せずにいる。
(……)
ヴィールは己の無力さを呪っていた。
1800年、新世紀の始まりの年の初月、西魔大陸のある地方の領主の館でヴィールは仲間たちと誓いを交わした。ペンダントを巡った大戦の終結と、ペンダントに眠るアンユラマンユラの完全封印のために命を賭けよう、と。
だが、現状はどうだろう。己は敵の術中にはまり、ただただ世界の行く末を祈ることしかできない。
これでは、平和のために散っていった仲間たちはどうなる、今までの犠牲の意味は。
ヴィールはこの非情の時間が、悠久に続くのではと考えかけていた。
この考えは、ある日裏切られることとなる。
【Pendant ~忘れられし英雄たちと戦いの物語~】を読んでいただきありがとうございます!
面白いと思ったらポイントの評価とブックマークの登録をお願いします!!