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堕ちた聖女は甦る  作者: あんぜ


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第33話 成人

 二ヵ月後――。


「お綺麗ですわ、ラヴィーリア様」


「ありがとう、レアリス。やっぱり思ったの。私、あなたが居ないと何にもできないって」


 レアリスは帰ってきてくれた。彼女は彼女でいろいろあったようだけれど、小さい頃から一緒だったレアリスは、根が小心者の私にとっては安心できる存在だった。彼女が侍女を取りまとめてくれるおかげで今は楽ができていた。


「いえ、私はただの利益に忠実なだけの女ですから」


「それでもいいの。これからはずっと一緒に居てくれるって言ってくれたから」


「抜け目がないだけです。それに、またやらかされたならさっさと去ります」


「じゃあ逃げられないようにしないとね」


 レアリスはニコリと微笑む。


「さあ、お遊びはここまでですよ。もう大人なんですからね、陛下」




 一年の始まり、名前のない日が開けるとともに私は成人し、鉱国の国王となった。


 名前だけの聖女、名前だけの国王。中身はただの弱くて小さな女の子。

 それでも私は国を変えたいと思った。

 このまま貴族としての役割を果たさずに生きることはできないと。



 ◇◇◇◇◇



 あの後、ロワニドが指揮を執って全ての娼館から女性たちが救い出された。

 娼館自体は取り潰されるのかと思ったけれど、イズミがそれを許さなかった。


 イズミが以前口にしたように娼館は改めて作りなおされ、寡婦の救済のため望む者だけが娼婦としての仕事を続けられるようになった。イズミが言うには――人類最古の商売とも言われるからな――などと言っていて、相変わらずよくわからない。


 魔女の祝福を受けた者についても、望む者だけが神殿から派遣される形となった。それらの魔女たちは神聖娼婦と呼ばれて地位を約束され、聖秘術による祝福も与えた。


 同時に王都と近隣の公爵領での人の売買は禁止された。これには南部の大領地からの反発が大きかったが、多くの領主や文官達の協力を経て成立に至った。これは徐々に国中に拡大されていく予定だ。



 神殿については多くの身寄りのない魔女や孤児が神殿長エイロンの元で生活し、また地母神様の秘儀を正しく広めることに尽力した。王都の民が神殿の元へ通うようになれば、私の母のように出産で命を落とすことはほぼなくなるだろうとイズミは話す。


 神殿はまた、兵士を派遣して廃墟となっていたいくつもの建物を復旧させた。


 それからゴアマたちに連れてこられていたあの大きな建物。あれは現在、ミリニール公のアイリア家が所有する大昔の建造物だったが、そこを孤児院兼小神殿として利用することを提案した。あの建物であれば街中でも広場があるし、部屋の数も多い。ミリニール公には快く受け入れられた。



 聖堂については元大賢者様と禁廷魔術師が中心となって聖堂の地下墓所の存在が暴かれた。地下墓所に居住できる部屋をいくつも作り、そこに連れ去れらた魔女たちが捕らえられていた。枢機院は彼女らの聖秘術を恐れ、魔女たちを排除しようとした一方で、聖秘術に取り憑かれ、魔女の力を独占しようとしたようだった。


 聖堂のあまりの惨状に、枢機院を解体、多くの聖堂騎士を捕らえることとなった。



 ゴーエ伯爵領についてはカルナ様の弟が後継となって領地を切り盛りしていた。ゴーエ伯本人は南部の他の伯爵との関係が悪くなり、城に引きこもり気味だそうだ。また、南部に築かれていた小聖堂も多くが取り壊され、こちらも神殿の復興が進められる予定だった。



 ルテル公爵。もう父とは呼べないが、彼は公爵位を既婚の長姉に譲った。ルテル公はあの元首会議のあと、一度だけ会いに来た。そして辛い思いをさせてすまなかったと、父親として謝っていった。











 ◆◆◆◆◆



 七年後――。


 王城のとある一室。


「聖女様もそろそろ限界ですな」


「ああ、もともとそこまでの器では無かった」


「少し早いが陛下にはご退場いただこう」


「仕方あるまい。上手くやるように」


 その場の皆が頷く。




 一ヵ月後、凶報が王都を駆け巡った。

 民からこれまでになく愛されていた国王ラヴィーリアが凶刃に倒れた。


 彼女はエイワス家の初代の王、麗しのエイワスの再来とも呼ばれていた美しい女王であった。幼いころから弱者を救済し民から慕われていただけでなく、各地に新たな魔女を齎し豊穣を約束した。


 そして治世の七年間、魔鉱の採取を取りやめた代わりに東の農地の開墾を進めた。当然、魔王領との境の守りは手薄になったが、それにも関わらず、魔王が攻めてきたことは一度も無かったと言う。これは南部の民へも安心を齎していた。


 ラヴィーリア王は最後に、葬儀は慎ましやかに行うようにと告げ、亡くなったそうだ。ただ、民がそれを許さず、葬儀は王都が人で溢れかえるほどの盛大なものとなったという。


 ラヴィーリア亡き後は七歳の兄と妹の双子のうち、兄が祝福を継いだ。また、その代理としてラヴィーリアの夫のダルエルが国政を執り行った。



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