狂愛
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
ヤンデレっぽい描写があります。
苦手な方はお気をつけ下さい。
後書きお気を付けて。
神社の境内、一種の神域と言ってもいい中、私はこの世界の主と酒を酌み交わしていた。毛量の多い白髪。紅玉入れたような双眸。女なら黄色い声の一つでも上げて、駆け寄りそうな顏。だが残念ながらそんな愛らしい女は此処にはいない。居るのはそいつの本性を知り得た私だけ。
「なんで振った。お前、あの子の事好きだろ。十年なんて生易しい。百年経って序の口。千年共にして漸く満たされるぐらいの感情だろうが」
此奴はついこの間、一人の少女から告白を受けた。十神中、十神が好みそうな清い御霊の持ち主だった。勿論、此奴もその御霊を痛く気に入っていたし、なんならとって食っても後悔しないくらいに愛していたはずだ。なのに何故?
「うん。好きだねえ。他の奴にやるなんて殺っちゃいたいくらいに。ずっと傍において、狂おしい程に愛でて、私しか見えないくらいにズブズブにしてやりたいねぇ。でも」
軽薄な口調に反し、目は嫉妬で狂っていた。澄んだ緋色の双眸が怒りに燃えている。苛立たしげに爪を噛む。この様をあの子が見たら何を思うか。まぁ、見ものよな。
私はこの狂愛ともとれる感情を、秋の柳のように流していた。まともに受けたらこっちも狂う。
「あの子がこっち側に来たら、あの子が曇るからだよ。あぁ、反吐が出る」
本当なら物にしたいんだろうなぁと。言葉通り甘やかして、自分しか見えないようにしたいんだろうなぁ。ま、それをしたら此奴が気に入っているあの子の目は、一生お目にかかれない。だから我慢している。必死になって。
でもやっぱり意中の子が他の輩と話しているのは気に食わないし、嫉妬する。何時まで持つことやら。
「狂わずに此処に来れたら、絶対に離してなんかやらないのに。朝から晩まで愛でてやるのに」
「そんな重たい感情を察してか、会いに来てくれたぞ」
途端に顔に無垢な光が宿る。幼子が好奇心を惹かれたような顔をして、持っていた盃を放り投げる。カランと引っ繰り返った朱色の器を見て、溜息を一つつく。お邪魔蟲は去リますよ。
本当はR15ネタにしようと思ったんですけど、此処が一番キリが良いのでやめました。
明日あたり纏まったら出したいなぁと思います。