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ZEROミッシングリンクⅤ【5】ZERO MISSING LINK 5  作者: タイニ
第三十九章 目と目、手と手

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71 全体挨拶



「全員揃ったか?ゼオナス、始めていいか?」


サルガスが会議室前方横にいるゼオナスに聞く。


「そろそろいいな?」

そこで、サルガスがマイクで尋ねる。

「始めてるぞ。待ってほしい奴は手を上げろ。」

すると会場の数か所で数人が手を上げる。

「3分待つ。それから始める。」



今回はこれまで河漢やベガスに関わった人間で、何かしらのリーダーになれるメンバーや一定の基準をクリアした者が集められている。

VEGAベガス本部本部、VEGA南海、アーツ、アーツ河漢、藤湾学生…各自治体商工会青年団など。


VEGA南海はVEGAに所属する全ベガスの青年チームだ。ここはVEGAの実質的でかつ活動チームで、自治体形成補助、衛生保健、生活教育管理などしている。100人規模がいて人材がもう少し育ったら地域を分ける。

藤湾学生OBは基本藤湾に所属する。


その他、ベガス、アンタレス行政や一部ユラス軍関係者がいる。現在体育館に250人ほどの人間が集まっていて、80%近く男性だ。チコやアセンブルスたちも、少し後ろの横に設けられた席に座っている。


とりあえず夕飯を食べて駆けてきた何も分からないリギルは、ファクトやリゲルたちと座っている。

「これが組織図ね。俺らはここ。アーツベガス。」

「………。」

「ファクトー!」

「お?ラムダ。バイトは?」

「替わってもらった。」

ラムダも入って来た。



「では始める。」

その後、サルガスの号令で連合国家と統一アジア国旗に向かって礼をし、エリスの祈祷で始まる。



「まず、今、配られている資料を開いてほしい。」

各場所でデバイスやホロクラムが映され、サルガスが現在の状況を説明していき、ゼオナスが付け足した。

「あっ。あとこの資料は内部向きで外部に送信したり共有しないように。これはリーダークラス用です。そのうち正式な一般向けものがリリースされるので、それまで待つように。」


アンタレス民や移民がどれだけどうベガスに移住したか。家族は何人か。年齢や生活形態、どの層がどれだけ基礎生活教育が済んでいるか。どこがトラブルや犯罪が多いか、どこの商店街が売り上げが多いかなど、地図やワードのクリック1つで必要な情報をその場で演算してなんでも見られる。


河漢も、どれだけどこに移住したか。現在の人口分布とどこが無人か。

どんな状態からどんな職業に就いたか、だれがどの土地を購入したかなど、一般公開していいものは何でも分かる。


あの赤龍の遺産、『前村工機』周囲は無人になっているが、その隣接地区はまだそれなりの集落があった。住民登録を拒んだ人も多く、そういう人たちの分布予想も載っている。



『前村工機』、あそこはヤバかったな…。

ファクトは思い出す。

でも、ミニワラビー1台、ほしかった…。また見たい…博物館に展示してくれないだろうか…。

メカメカなロボットが好きなファクトは、あの時の哀愁に浸る。


「ヴェネレ人。やっぱりすげーな。変態だな。ユラス負けまくっている。」

資料を確認すると、ヴェネレ系の企業がかなり入っていた。

よく見ると会場内にはヴェネレ人婚活おじさんもいるし、ユラスの財閥メレナ率いるザルニアス家も横同士にいた。因縁の対決になりそうなので、いちいち横同士に座らないでほしい。

しかも、タウ父も来ていて婚活おじさんと楽しそうに話していた。


サングラスは掛けたままだが、美女感があふれるガイシャスたちまで参加しているので案の定、周囲から注目を集めている。




5分ほど見て本題に入る。

「このアプリで河漢からベガス入居可能地域を見ることができるし、該当者かそうでないかも分かります。学校の空き、その地域の担当もコードネームで分かります。河漢住民で問題がある者は基本河漢に入ることになります。」


VEGAの人間が説明していく。

「例えば、公安や消防がどこを管轄しているかも分かります。」

ただ、特警の一部は表示されない。もう1人が付け加える。

「なお、このアプリにはロケイションガードとシンラリティ―ガードが掛かっていますので、悪用しないようにお願いします。」

どのデバイスでどのページをどれだけ使ったか後追いで知ることができ、画面を写真に撮ったり似たデータを作ってPC上で使った場合、文字認識し近似の画面や数字の羅列を探し出して取り締まりができ、暗号に変えても自動解析される。つまり、魚拓もできないし、して追いつかれれば警察案件になる。



今度はVEGA代表の(つづみ)が話し始める。

「これからが本題で…、3か月後にアンタレスとベガス自治区域の友好記念行事が開かれ、これがベガスにとって初めての本腰を入れた対外行事とななります。」

会場中が騒めく。


「VEGA関係、藤湾、自治体関連はイベント関連に、アーツベガスの警備資格のある者は警備に、それ以外は会場関連の補助に。河漢アーツはまだ決まっていです。」

現在の警備資格は武術、銃器、救護資格を持った20歳以上のさらに認定者のみである。現在アーツには70人以上いる。


「俺ら学生はどうなるのかな。」

ほぼ全部の資格がありながら、アーツでファクト、リゲル、タウ妹のソラのみまだ20歳になっていない。

「どっか手伝ってればいいんじゃね。」


「あ、ローアさんたちが藤湾関係でお店出したから、もしかして何かしに来るかもよ。」

ソラが思い出す。ローアはタラゼドの一番上の妹。藤湾の講師であった響の指導で大房にエステをオープンした。

ソイドも話に乗る。

「それに大房で講義しただろ?その時の生徒3人が薬膳のメニュー加えたり、薬膳カフェ作って結構人気らしい。実はアギスたちと一軒行ってみたんだけど味も雰囲気が結構よかった。」

しかもベガス在住と言うと話が盛り上がったらしい。

「響先生は追加講習しないのかって、そのオーナーが言っていた。」

「男?」

「生徒3人、全員男だ。」

「………。」

みんな、何とも言えない気分になる。知ってみるとヌケヌケの人なのに、魔性の女である。




「ゲストには、東アンタレスの知事、議員他、各関係区長。ベガス構築に参加企業、高校大学関係者。ベガス自治区域、ユラスも同じく、アジアラインや他大陸の国々も一部参加する。


そして、東アジア軍ユラス軍合同演習もある。」


最後の一言にまた会場が騒めく。

みんな、チコたちの方に注目するがチコもアセンブルスも眉一つ動かさない。



それから目的やビジョンなどと共に、スケジュールなどの簡単な予定が表示される。


「皆さんは事前に様々な研修を受け、ベガス構築の目的を知っているかと思います。

人材を育てるという事以外に、自分たちがまちを作り上げる一員となることに誇りと楽しみを持ってください。

それがどんな形であろうとも、良くも悪くもここでの業績は世界中に注目され、後世に残る資料になります。皆さんの名前も全て記録されています。」

河漢メンバーが珍しく、挨拶をしっかり聞いている。そう、これまで職業斡旋のように誘われてここに来たが、ただの業者からではないことは初めに説明を受けている。とくに今集まっている者は、河漢でもある程度覚悟のある者たちだ。


自分たちが自治体形成に関わるのだ。

未来のモデルの。



「その前に、このスケジュール遂行に当たって各代表は挨拶をするように。まずは内部がしっかりとお互いを認識し認め合って下さい。」

リーダーたちは前の方にいる。



「では最初に私はVEGAベガス事務局、鼓義孝(よしたか)。全体の監督になります。そして、ベガスの現総長参宿(サンスウ)エリス正道教牧師です。」


この後エリス、ベガス青年団代表、商工会長、南海青年代表、アーツ総事務局長ゼオナス、サルガス、タウ。河漢リーダーイオニア、ナシュパー、イユーニ。

カーフは欠席のためにその代理、医師団代表など、どんどん立ち上がって挨拶をしていく。VEGAとアーツで立てている各リージョン代表も名前が呼ばれると立ち上がって礼のみする。


ユラス軍はチコでもアセンブルスでもなく、壮年の男性が礼をする。


ユラス人代表にメレナ、ヴェネレ人代表にロディア父。メンカル代表に王立大のニモティー教授が夫婦で挨拶。イベント当日には西アジアやアジアライン勢も加わる。



「いっぱいいるねえ。」

リーブラが感心している。

「響さんがいないなら0に等しい…。」

キファは項垂れる。


もっと騒がしくなると思い外部者は呼ばなかったが、意外なことに危惧していた河漢メンバーは思ったよりも話をしっかり聞いていた。



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