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ZEROミッシングリンクⅤ【5】私はユラスの荒野を駆ける ZERO MISSING LINK 5  作者: タイニ
第三十九章 目と目、手と手

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69 誰もが左の時代



「ねえ、リギル君。今度ファクト連れて来てよ。」

「そう!こいつ連絡無視するからさー、昼休みとか連れて来て!」

「…うん。」


不思議なことに、昼休みが終わる前に別れた蟹目の友達たちとリギルも連絡交換をしていた。男友達のリウだけでなく、ヒノやユリにも嫌われなかった。10年近く同級生にも会わなかったのに。




「そんなに外、悪くないだろ?」

「…………。」

ファクトに言われて変な感じがする。

「蟹目は小学校の時から特別クラスがあるから、障害の子や治療で勉強が遅れてる子のクラスがあって、少し人生で遅れていてもあまり気にしないかも。」

「………。」

自分は障害者なのかと思いつつ、兄たちとの差を思えば否定はしない。障害と言わないまでの何か虚弱体質があるのだろう。初めは反抗意識があったが、昼ご飯は楽しかったので言う事もなくなった。



必死に顔を隠すリギルに、おデブのヒノは隠さなくてもいいよと覗き込む。

「容姿気にしてるの?私も不細工だけど、学校楽しいよ」とはっきり言われ、「お前と一緒にするな」と思ったが、それがエリスの言っていた高慢なのだと、少しだけ思い直した。


自分が誰に勝ると言うのだろう。勝ってどうするのだ。性格陽キャに言われたくないと反抗しても、何の足しになるのかとも思った。

「まあ、今はモテないけど大学卒業くらいから、中身を見てくれる人間がいるって聞いたからそれに期待する」と明るくヒノが言うと「痩せろよ!」とリウに返されていた。



「高校大学まではね、彼氏彼女がいなかったり経験がなかったりすると恥だと思うけど、社会人になると逆に開き直れるんだって。」

と、蟹目民たちが話している。

「結婚はしたいから一生喪女でも困るんだけど、下手に遊び散らかすよりよかった場合も多いし。経験あるなしで人を評価するような大学生はまだ子供だってお姉が言ってた。」

軽い感じでヒノが話す。

「……」

リギルは彼氏彼女以前の問題なのだが、自分が慰められているのが分かった。もう、仕事で籠っていたのではなく、ただの引きこもりだとバレているだろう。それに対して強がるのもやめた。少し泣きたい。




病院の診断では、主治医の先生に響が付いていた。


リギルは顔つきから疾患があるかもと言われた。一般が知る以上に、染色体異常の疾患は無数にあるらしく、顔つきで病気が分かるソフトもある。完全に症状が分かる病気だけでなくグレーゾーンなど様々あり、内臓の疾患が顔に現れる場合もある。

元々の遺伝子バンク情報と共に、血液や甲状腺も調べたりした。


病室を出る時に、響が楽しそうに手を振っていた。






それから午後には上越しに行く。ここは美容院。


「は?お前あの寝てた兄ちゃんの弟か?」

「え?サルガスの?違います。弟分ではありますが。」

「ああ、サルガスとか言ってたな。あいつは元気か?」

「アーツの事務局長になって結婚もしました。」

「マジか!私のおかげだろ!報告に来い!!恩知らずが!」

「お相手はワイルドサルガスも知っている人です。髪を切る前でも結婚していたと思います。」

「あいつめ。」


今度はサルガスをニューサルガスにした、あの美容師おばあちゃんのところに出向いている。

あのおばあちゃん。あれから上越しに引っ越して、娘さんたちと美容院をしているのだ。タチアナが感覚は若いおばあさんだから、ベガスの生活にもすぐ馴染めると言っていた通り、家族みんなスラム出身とは思えないほど普通に生活していた。なんだかファクトは感慨深い。



「リギル君もニューリギル君にして下さい。」

「まあよくこんなぺったりした髪を、こんなにだらっと伸ばしたねえ…。」

「………。」

言われたい放題だが、病院でもう情報量体験量MAX越えのリギルはほぼ停止状態である。


「よくあるビフォアアフターでかっこよく変えてください。」

キリっと言うファクト。

「…あんたもいい加減そうな男だね…。」

「毎日真面目ですよ。で、全部お任せでお願いします!」

「…まあ、まともな美容師ならこの髪型より良くできないのはいないだろ。まず、少し触っても抜けないか確認するよ。」


リギルを見ながらファクトに話しかける。

「弟、なんであいつは来ないんだ?」

「サルガスは河漢につきっきりです。」

「もう1人は?」

「タチアナかな?タチアナは今新しい区域にいます。」


と言って15分後。



「え?はやっ。」

最後にワックスで髪を流しながら立たせるおばあちゃん。


リギル君は見事に素敵なリギル君に変身した。

「おーーー!!」

爽やかに拍手をするファクトに無反応なリギル。


さすがにローのような陽キャにはならないが、クラスに1人はいそうな感じになる。

「おばあちゃん、髪量どうやって増やしたんですか?!」

「…魔法。」

「すっげー!!」

「少し手入れして髪質良くしな。そうしたら今度明るくしてやるから。弟、お前が金出してやりな。」

「オスっ!」


「これもう半分もないけどあげるよ。」

とワックスをくれる。

「こういう感じでこっちを送って…。」

「なるほど。」

リギルが抜け殻状態なのでファクトが覚えておく。


「これ、お前の兄貴に奥さん向けだけど結婚祝い。遊びに来いっていっておけ。」

そう言ってサルガスへのアケアセットを貰って店を出た。



「よし!リギル君、なんか食べに行く?それとも服買いに行く?」

バイクに乗って楽しそうなファクトと反対に返事もなく死にそうなリギル。

「…もう無理そうだね…。」

バイクから落ちそうなリギル君のためにギリギリの低速で帰って行くのだった。




***




「えー!響さんにも会ったの??僕も行きたかったなー!」

バイトから帰って来たラムダが楽しそうに聞く。


リギルは帰って来てからシャワーをして熟睡している。

「明日はスケアリングもする。俺がやってって言ったからお金は払うって言ったのに、整体や歯医者代ぐらい自分で出すってさ。リギル君、俺らの批判動画でそれなりに儲けてるらしい。」

「ええぇ…。」

リギルはまだ確定住人ではないので、医療費はベガスからは出ない。

「服は一緒に買いに行こうよ。」

「二日続けて大丈夫?」

「俺にパワーがあるから大丈夫!」

「…死なせないでね…。バイトは6時入りだからその前なら大丈夫かな。」


「お前ら一緒に買い物が好きとか女みてーだな。」

そこにキファが入ってくる。

「服なんてニュートリノ君Tで十分だろ?で、響さんがどこにいるって?」

「…弟妹枠に収まったんだから大人しくしててよ。」

「あ?俺はな、響さんにお知らせがあって…。ファクト知らないのか?」

「何が?」


「今度一般対外向けのベガスのイベントがある。学校や仕事だった奴は知らないかもな。」

「イベント?ベガスが?対外向けの?」

これまでベガスは、あまり内部の宣伝をしてこなかった。批判に対応するよりすることが多かったので、内部固めをしてきたのだ。


「でもさ、ベージンが動き出してるだろ?そのベージンがさ、ベガス構築に協力姿勢を持ち掛けてきたんだ。」

「…っ?」

まさかとは思う。

「既に大房に入っている。大房は左傾向だから入りやすいだろ?」

ジャミナイのジャンク屋が狙われたことなどだろうか。

「キファたちはそれがヤバいことだって分かるの?」

ベージンを危険視しているのはユラスや正道教をはじめとする宗教総師会圏、東アジア、連合国側だけではないのか。


そこに、横にいたティガも入ってくる。

「…お前なあ。俺らもバカじゃないつーの。一応右左の区別はついてるし、ユラスや総師会が無意味に人間最上位と言っている訳じゃないことくらい分かってる。」



一神教が、意味なくただ神とその子である人間が至高と言っているわけではない。本来はそれに見合う生命と知恵を内在して生まれ、万物を収める力量と心を持っていたからだ。


「あと、あれだな。俺思うに、カストル総師長がやってたことがやっと分かった…。」

カストルはキファやティガたちが生まれる前から保守にも警告してきた。




「東アジアのあなたたちは左やリベラルを悪のように言うが、彼らと何も変わらない。

あなた方は保守のようで、右のようで中立で、バランスのいい自分だと自負しながら、根底はすっかり左と同じだよ。まあ、右にも左が入ってるし………


まず完全な生活リベラルだ。」


そう言って、カストルは極右から大批判と攻撃を浴びた。


「既に宗教性をなくし、霊性もなくし、霊能者すら自分が見る現象を最高に価値あるものと思い、世の中の物語りの神や力、能力を、現実の世界や人に宿る神性よりまともだと思っている。



天は一本だ。聖典は神の方向性を示す鍵でしかない。



だが、そこに一本の天啓ははっきり示されている。


なのに周りにある飾りに気を取られてそれを見失ってしまった。天に遣わされる人間は、今の人間が分かる形ではやって来ないよ。

人間の失敗続きの世界を清算するために来るのだから。


君たちの生き様は全て否定される。


私たちですらそうだ。この人類全てが否定される。


右も左も保守も中道も関係ない。

全体も個もない。全てが一度は否定される。古い物に執着する人間は、既に前進する時代から取り残される。



伝統は大事だが、天の真意が分からなければ無に等しい。


ナショナリズムも滅びる。時代が国際規模に到達した時点で、精神に民族主義のある者は淘汰されていく。天に国境はないからだ。天は国境を引いたが、一時的にあなた方を守るための方便だよ。



相手もギュグニーの顔では来ない。

詐欺師が詐欺師の顔で来るか?天使の顔で来るんだよ。



我々は、今、方便の世界の中で生きているんだ。

神の描いた理想郷は、今の人類が見ている世界と全く異なる。今のシステムはいつか全てなくなる。



人間が聖典を越した時、聖典もなくなるであろう。

それは神の涙の歴史だから。



目の前で水に沈む人間を助けるのか、着ている服の飾りを守るのか。ロトの妻のようにそれすら分からなくなっている。


だから自分たちが天を失っていると気が付かない。


でも世界の全てに飾りがなくなっても、輝くものは1つしかないと分かればそれは至宝だ。


自由や先進国と言う飾られた栄華を失って、初めてあなた方は目を覚ますのか。まあ、それでも自分の足場が底のない闇であることと、輝く世界がここでなかったことに気が付かないよりは、まともかもしれないがな。」


こう言った当時、世界は、東アジアはカストルの言う意味が分からなかった。だが、大批判の裏で、たくさんの勇士たちがカストルの元にやって来た。




「取り敢えず、ベージンより先行するために先にSR社を印象付けるんじゃないか?」

モアがコーヒーを飲みながら言った。

「もしかしてシリウスも………」

ファクトが言いかけてティガがつかさず言う。

「来るだろ!そもそもベガスの基本システムがシリウスだからな。」


「で、その時に入る外部MCが…コパーらしい。」

と、キファが話をイベントに戻して楽しそうに言う。

「へ?」

いきなり話が飛んでしまう。


「…コパー??あの?」

「あのコパー以外、どのコパーがいるんだ。」


うわぁ…と思うしかないファクトであった。




●ニューサルガスになった時。

『ZEROミッシングリンクⅡ』56 検体

https://ncode.syosetu.com/n8525hg/58


●あのコパー

『ZEROミッシングリンクⅢ』 49 子供たちはいつの間にか

https://ncode.syosetu.com/n4761hk/50



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