聖女降臨14
朝食後、優希は侍女に連れられて王族の衣装部屋へと向かった。
何故なら一晩たった現在、結婚式まで後二日になったからだ。
二日で衣装を?
無理だから。
故に優希の正装は歴代の王族の正装からチョイスする事になったのだ。
そして、私はと言うと、聖女降臨の予定は事前にあった為に、勇者が来なければどこぞの王家(お兄様にとって)有益な貴族の元に降嫁、もしくは条件の良い(お兄様にとって)他国に政略結婚の予定があった為にウエディングドレスは既に準備済みだ。
何せ、男の子の自分はどんなに痩せていても女性とはウエストの太さが違う。
故に既製品は勿論入らない、手直しが必要と来ている。
普段からドレスを作る時も「私、少し骨太で」とか「他の方より寸胴なの」とか困ったように話していた甲斐があると言うもの。
故に、事前に作られていたのだ。
勿論、採寸は母上の息のかかっている者にしていただいている。
そして、現在
「優希には引っ越しの準備と言われたけどさぁ」
基本的に私の私物ってそんなにはない。
ドレスにしろアクセサリーにしろ、王族の持ち物から借りているような物だ。
個人の持ち物なんて、誕生日にプレゼントされた物だけ。
それだって些細な量だ。
「父上、母上からの頂いた物だけだしね」
それだって、アクセサリー等の小物だけ。
ケースカバン一個に全て詰まってしまう。
「本当。自分には何もないな……これじゃあ、お金に困っても何の足しにもならない」
改めて認識してしまった。
服だって、持って出れるのは限られているし。
荷物になる物と強いて言えば、色々なお付き合いで頂いた物……つまり本だろうか。
女性の好むような本だけど、話題作りのためにと一応読んだ。
けど、一度読めばそれで良い。
元々興味のない物だから、それ以上は見なかった。
「取り敢えずこれも持っていこう」
北の大地には一応屋敷は確かにあると記録に残っている。
けど、体長数十メートルもあるドラゴンが果たして使っているだろうか?
それに掃除は?
色々と突っ込み所は多いと思うんだよ。
でも、そこは大丈夫。
掃除ならば、たまにやっていたから出来る。
何せ、王太子の逆鱗に触れたくない侍女達は、私との接触は本当に最小限。
つまり、食事のみとかも日々の生活の中ではありだった。
乳母に全て頼る訳にもいかず、それなりに身の回りの事やって来ていた。
「今日一日もかからないわね」
そう言って、再び苦笑いした。
お読み頂きありがとうございます。
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