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閑話 大滝 怜香と山崎さん

次話の一部として書いていたら長くなってきたので分割しました。サブタイトルがいまひとつ。直したい。

雲雀ヶ丘の大滝キャプテンの回想みたいなものです。

 うちのチーム。雲雀ヶ丘高校野球部では、弘前高の山崎 桜さんは人気者だ。


 なぜかというと、県予選の抽選が終わって間もなく、社会人野球で野球をやっている叔父さんから激励の電話といっしょに、弘前高の山崎さんの話を聞いた私が、その話をチームメイトに話したからだ。社会人野球のチーム、木津川グリーンラクーンズの叔父さん曰く。


『山崎 桜は、超高校級のモンスターだ』


 との事。ここで女子にしては凄い、とかの言葉が無かった。叔父さんは『雲雀ヶ丘が勝ち進んだら、間違いなく弘前高の山崎と戦う事になる。その時は覚悟しておけ』などと、激励なんだか脅しなんだかよく分からない事を言い出したので、なにがどうモンスターなのか聞いたら、『そこは自分で情報収集するとこだろ?』と意地悪な事を言われて少しだけイラっとした。


 世間話がてら何とか少しだけ聞き出したところによれば、『そこらの男子よりも打つ』『走るし投げるし始末に負えない』『ホームランも打てるパワーがある』『雑誌のグラビアモデル並みのバストを装備している』『巨乳美少女』などという話が出てきた。


 いや巨乳美少女は関係ないでしょう。


 男子だらけの中でがんばるぞー!おー!

 と気勢を上げていたチームメンバーにその話をしたら、野球女子つながりで興味を引いたのか、色々と聞かれた上で、あとは勝手にみんなが調べ出した。

 最初は全然情報がなかった。彼女は中学時代に学生リーグに所属していない。その関係で、画像もなければ試合の詳細な内容も(社会人野球の記録は簡単に探せなかった)分からなかったため、叔父さんの言葉だけ、単なる噂レベルの話だった。


 ナゾの巨乳美少女ベースボールプレイヤー


 などと適当なキャラクターが作られて、ときどき部内の話題に上がる。そんな『非実在系キャラクター』紛いのシロモノだったのだが…

 県予選が始まると、高校野球ファンのSNSを中心に、少しずつ情報が増えてきた。そして2回戦が始まる頃には、彼女の画像のコピーが大量に出回っていた。


『巨乳野球少女』『おっぱいすごい』『おっぱいおっぱい』

 どいつもこいつも。これだから男ってやつは…。この頃になると、『アスリート』『巨乳』で検索すると、ヒットしたサイトにはプロスポーツ選手に混じって、山崎さんの画像が貼ってあるようになっていた。なんでも、新進気鋭期待の新人おっぱいアスリートなんだそうだ。おっぱい星人くたばれ。


 しかしサイズは本当に凄かった。なにこのミサイル装備。本物?


 初めて画像を手に入れた時、私たちの部室でも『かわいい!』『髪長い!』『肌白い!』加えて『おっぱい凄い!』『おっぱい!』『巨乳美少女!』となってしまい、変なテンションアップでエキサイトしたあげく最後には、おっぱい三唱で終わった。


 これが他のプロスポーツ選手だったら、『巨乳もげろ』の一言で切り捨てられていただろう。また、私が『すごい女子選手がいるそうだ』と言わなかったら、『顔とおっぱいでレギュラーを取ったに違いない』とか、悪口が先行していた可能性もある。しかし彼女は社会人野球チーム相手に大暴れしたという話だ。妬み嫉みよりも、男性選手相手に大暴れ!!というところに好感を持ち、親近感が先に入ったのだ。


 しかも、県大会が始まって以降、私たちにも試合内容の記録は簡単に手に入った。出塁率10割の1番バッター。打点もチームで1、2位を争うレベル。県大会ではまだ見せていないが、叔父さんの話では、ホームランも打てるらしい。そして守備位置はショートで固定。攻守ともに実力者という事だろう。


 実力を伴った、私たちと同年代の、同じ県の女子プレイヤー。部内でのアイドル化は待ったなしだった。『試合が終わったら、連絡先聞こうね!』と、自分たちも弘前高も勝ち進む事を前提としての会話が出るようになり、山崎さんの弘前高との対決は、試合を支える気力の一つとなっていた。


 そして試合当日。弘前高を見つけて挨拶したその時。今日はじめて山崎さんを見て、衝撃が走った。


――うわすごい可愛い!モデルとかどっかのアイドルじゃないの?!


 髪ながーい。髪サラサラ。肌しっろーい。眼鼻スッキリ。そして何よりおっぱい凄い。隣の佐藤が「凄い!」って言ってるのは、間違いなく彼女の胸の事だろうと確信した。

 近くで見るとほんと可愛い。これで野球女子かぁ!試合が終わったら必ず連絡先を聞こう!きっと友達になれるよね!自慢できるよ絶対!!


 そして試合が始まり、バッターボックスに入った彼女の姿を、キャッチャーマスク越しに見た私に、2度目の衝撃が走った。


 ――えっちょっと。ヤバくない?!おっぱいの迫力が凄いんですけど!!

 打撃フォームで構えると、すんごい弩迫力おっぱいが目の前に突き出されてるようで。

 えっ?えっ?これまでの試合のキャッチャーって、こんなの見てたの?!1メートル程度の距離で、このサイズのおっぱい見せられたら(もちろんユニフォーム越しだけど!)正気を保てないよ?!彼女はピッチャー見てるからガン見しても大丈夫だしさ!もはや男子キャッチャーの精神を攻撃する破壊兵器だよ!!

 体ねじってるからユニフォームが突っ張って、おっぱいの迫力が半端ない!やばいやばいやばい。女子ですら眼が引きつけられる魔性の爆弾。

 私はノーマル性癖女子だからまだ耐えられる。試合に集中集中。もしかすると巨乳が邪魔で内角打ちが苦手かもしれない?田中のオーダーに沿って、いちばん見づらくて打ちにくいであろう、中央からの内角低め変化のシュートを投げさせる。


 そして田中の第1投。


 山崎さんの宙を切り裂くスイングに――鳥肌が立った。

 背中に冷たい汗が流れる。

打たれたボールは、すごい速度でバックスクリーン直撃。


 これはやばい。


 語彙力が瞬間死滅する衝撃を受けた。おっぱいは意識からふっ飛ばされた。

 超高校級って、こういうのを言うの?これは格が違うと、それだけは分かった。

 レベルが違いすぎてうまく表現できないけれど、これは女子とか男子とか、そういう問題ではなくて…見ている世界、存在する世界そのものが違う、超人的な何かだ。小細工や多少のパワーなどものともしない、圧倒的な力。

 まるで破壊神のようだ…と、アホな事を考えてしまう。いや、確か『バッター』の語源って、『砲台』って意味の言葉だっけ?そうかー、戦場の神っていうなら納得だなぁ。こりゃあまいった。きっと最新式のミサイル砲台とかそんなのだ。破壊神山崎、爆誕。


 しかし、野球はチームスポーツだ。そしてルール上問題のない、強打者への対応方法もある。試合はまだ、始まったばかり。音をあげられるものか。


『切り替えていこう!!まずは一つ!深呼吸して!!』


 想定以上の打者だったけど。想定の範囲内だとも言える。まだまだ立て直せる。山崎さんには悪いけど、もう勝負はできないな。こんな調子で1番バッターにホームラン打たれまくったら、試合終了までに5点は取られる。その点数は許容できないからね。


 勝って友誼を結ばせてもらうよ、山崎さん!!

 この試合、雲雀ヶ丘が勝たせてもらう!!





試合続行の次話は執筆中です(あまり細かく書かないと思う)。

気長にお待ちください。


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定期投稿が可能なら、定期投稿がいいんでしょうかね、こういうの。素人ゆえ試行錯誤です。

お気楽に気長にお楽しみください。インチキ設定には寛容なお気持ちで。今後もよろしくお願いします。


でも誤字脱字、勘違いの指摘などは大大大募集です!バグを見つけたら「虫拾ったよ!」の連絡などを、よろしくお願いします。

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