102 放送事故の終わり
少し遅くなりました。早い時間帯に投稿しておきます。
相変わらず、放送はそのままだ。
中継の責任者その他の管理体制、設備の使用状況はどうなっているのか、などと少しは考えなくもないが、視聴者にとっては貴重な体験が続いている。願わくは試合の最後までこの状況が続きますように……という、視聴者の祈りが天に届いたのだろうか。祈りが大きく一つに束ねられる事で力を持つのだとすれば、今この日この番組を見ている視聴者からの祈りは、大きな力となって天に届けられていた事だろう。
『――うーん。すでに7イニング。さて、このランナーはホームを踏めるかな?』
『未だに両者得点無し。延長もありうるか。どちらが有利になるか』
『いや、粘って延長まで引きずれば……長時間の試合になればなるほど明星が有利、ここらで雲雀ケ丘が得点すれば、雲雀ケ丘女子野球部の逃げ切りの可能性が高くなるんじゃないかなぁ』
『その読みは、どういう根拠によるものなんだ?』
テレビから聞こえてくる北島の問いかけと、同様の疑問を抱く視聴者。
『雲雀ケ丘は、まだ投手の残機が3つ残ってるでしょ。守備の負担がかかる内野にも、まだまだ体力的余裕がある。守りの余力は充分よ。現時点ではね。どちらの投手も少し打たれるようにはなってきたけど、肝心な部分での長打は無し』
『まぁ、そうだな』
『この試合、言うまでもなく【 得点しづらい 】という状況。先取点を奪った方が有利よ。特に、初見殺しに近い手札が残っている雲雀ケ丘にとってはね。そして明星と雲雀ケ丘との大きな、明確な違いが、長時間の試合になればなるほど、明星にとって有利に働く』
『……それって、男子選手と女子選手の差、って事か?』
『男女の体力差と、プレイヤー層の厚さね。雲雀ケ丘で高校野球の訓練と経験が充分に積まれているのは現在の2年と3年のみ。去年のウチと同じで、まだまだ1年生の人材育成中なのよ……ま、去年のウチと違って練習試合の数は段違いだったから、わりと育ってるみたいだけど。それでも1年選手は守備の練習が足りていないでしょうし、現在グラウンドに出ている内野守備の体力が落ちてくれば、雲雀ケ丘が不利になってくるでしょう』
『確かに……今日の暑さだと、かなりキツいな。エラーが勝負の行方を決めるか……?』
なるほどな、と思う視聴者。
確かに室内でアイスを食べながらテレビを見ているような、テレビ前観戦客などと、昼過ぎの炎天下でプレイする選手の体力消耗率は比較にならない。そしてテレビの音声の中に、「こっちパペコちょーだーい」「俺もー」という声が混ざり、続いて『ちゅっちゅっ』という音声が少し混ざった。また氷菓の類を補給している、お気楽観客的な実況解説だった。
『ヨーグルト味、1本ちょーだいよ』
『じゃあコーヒー味とトレードな』
テレビ前の学生視聴者の一部から、「ちくしょう北島」「ねたましい」と、怨嗟のような声が上がる。女友達とアイスをシェアするというシチュエーションが心に刺さったのかも知れない。たぶん独り者だ。
『このランナーが返っちゃったら、もう雲雀ケ丘の勝ちでいいんじゃないかな』
『勝手な事を……それに、そう簡単に打てないだろ』
『ここまで来たら、そりゃ分かんないわよ。それに投げてるのは木村投手でしょ?』
『だな。木村さんだな。最後の夏だから気合充分だぞ』
『出し惜しみをしてる間に、一発もらうかもよ?』
『……あー、出し惜しみって……例のウワサの、【 新しい球種 】てやつ?』
『まだ1回も投げてないでしょ?あたし達が直に見てるから、投げたくないんでしょーけどね。きっと明日の決勝戦、弘前高校へのリベンジを念頭に置いてるんでしょうが……それが凶と出なけりゃいいけどね』
『フラグを立てるな』
と、そんな会話が交わされた瞬間。
思い切りよく振られたバットが、今までにない快音を響かせて。白球をセンターとレフトの中間まではじき返した。
『失投かな?!まぐれ当たりいった――!!』
『まぐれ当たり言うな!!しかしいいとこ行ったぞ!!こりゃ間に合うか?!』
『おー!!いけるいける!!……はい間に合いました!!ホーム返球間に合わず!!出し惜しみの木村くん、ついに一手遅れましたー!!』
『変なニックネームを付けるんじゃない!!』
歓声に沸く球場。0点同士の均衡が、ついに破れた。終盤に入っての状況で、先取点は雲雀ケ丘女子。雲雀ケ丘女子の応援団から、大歓声が響き渡る。
『……あとは雲雀ケ丘の投手陣が、ナックルを含む初見の変化球攻めで抑えるだけかな』
『やる事はそうかも知れんが、うまくいくかな?』
『まぁ、雲雀ケ丘女子も明星も、今までとやる事はそう変わらないけどね。ただ、明星としては9イニングまでの間に最低でも1点を入れなくてはならないっていう制限時間の縛りが追加された事と、もう1点たりともやれなくなって追い詰められた、っていうプレッシャーが追加されたって事だけね。もう出し惜しみもしてられないんじゃない?』
『……だろうなぁ。確かに、一手遅れた、かも。精神的な圧力がキツそうだ』
『このまま負けたら、きっと心に傷が残るわね、さっきの失投。一生ものだわ』
『だからそういう事を言うなと』
『だいじょーぶよ!!高校の夏は終わりだけど、大学野球だってあるから!!ほら、大学野球を経験してからプロに進んだ方がいいって言う、一部の意見もあるじゃん!!あたしは興味ないけどさ!!』
『もう決まった、みたいな事を言うのはよせ。フラグを立てるな』
『あたしじゃないですー。フラグ立てたのは明星のバッテリーだもんねー』
『そりゃまぁそうかも知れないけどさぁ』
学生の観客による好き勝手な発言のため、きわめて公平性に欠けた、それに加えて若干だが思いやりにも欠けた言葉がテレビから流れている。もっとも普通の観客ならこの程度の事は普通に口にする、という程度のものではあるが。むしろ、いずれかのチームの応援席にいる観客ならばヤジを飛ばしたり、プレーの内容如何によっては罵声が飛ぶ事もあるくらいだから、控えめかつ穏やかな部類とも言えるだろう。それなりに中立的なものの見方をしている、とも言えるかもしれない。
問題はテレビの解説的な雰囲気で流れているという事だが、諸々の責任を取る事があるとすれば放送局側だ。すべては局の管理責任だろう。
『さー、このまま逃げ切られちゃうのかなー。そうなった時、明星が決勝進出できないのって、何年振りなのかしらね』
そんな山崎の、お気楽なトーンで残酷すぎる予言のような内容の声を流しつつ、応援団の声援と観客の歓声がさらに増した準決勝第二試合は。最終局面へと移っていった。
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『さて、木村さんの新しい変化球は、高速のチェンジアップのようなボールだったんだけど。初見では空振りもやむなし、という良い球だったわね』
『そうだな』
『ギリギリまで使用を留まらせた判断は、はたして監督か、キャッチャーか、それとも木村さん本人なのか。そこが気になるところね』
『……なんで?』
『このままいったら、その人が戦犯になりかねないから』
『うー。あー。……どちらの味方でもない人間としては、何も言えない……』
雲雀ケ丘女子が先取点を入れた先は、それまでのイニングと同じ……いや、それ以上の、相手の得点を阻むために必死な攻防が続いていた。互いに得点無し。雲雀ケ丘女子が入れた得点も1点に留まり、得点差は【 0-1 】で、雲雀ケ丘女子のリード。
そして現在、9回裏、明星高校の攻撃。つまり、この攻撃で得点できなければ、雲雀ケ丘女子の勝利が決まる。最悪の場合、試合終了まで打者3人。そんな状況だった。もちろん、逆転してのサヨナラ勝ちの可能性も充分に有りうる。
明星高校のベンチ上、内野スタンドをほぼ埋め尽くす応援団。おそらくは全校応援であろうと思われる人数の応援団が発する、必死の気迫の応援が場内を震わせる。
『すっごーい。去年の決勝戦みたい!!スゴイ応援よ。ウチの学校も見習って欲しいなぁ。この外野スタンドまでビリビリ震えてるような気がする!!これこそ高校野球!!』
『そうですね』
『正確に言えば、去年の予選の決勝戦の最終回、あたし達がグラウンドで聞いた応援みたいな気迫よね!!いやー、テンション上がるなぁ!!』
『そうですね』
『なによさっきから、その、気の無いリアクションは』
『お前が明星高校サヨウナラ、みたいな事ばっかり言うからだろ!!何本フラグを立てたら気が済むんだよ!!高校野球は最後まで分からないものだろ?!』
まったくだ。
テレビ前の視聴者の多数が、そんな気持ちを抱いてしまう。確かにこのまま明星打線が抑えられてしまえば試合終了、最短で残りあと3人。明星高校としてはいよいよ絶体絶命、という状況になりつつある。そして1人目の打者がバットを振り、打ったボールが大きなファールボールとなって内野スタンドに落ちていく。
『ピッチャーを緒方さんにチェンジ』
『なにィ?!』
山崎の言葉に少し遅れてタイムがかけられ、場内アナウンスがポジションチェンジを告げる。
『全球をナックルで仕留める』
『――おお!!ホントに投げた!!』
初球見送りのストライクから、2球目のナックルボールを引っ掛けて、内野ゴロを処理され一塁でアウト。そしてわずかな情報交換をしつつ、2人目の打者がバッターボックスへと入る。このままいけば、試合終了まで、あと2人。
『ここでレフトの白露さんが欲しいな』
『はァ?! ……おい、マジでタイムか??』
タイムがかけられ、レフトとのポジションチェンジ。1年の白露 美姫。この試合、まだ1度もマウンドに登っていない選手だった。
『白露さんは大人しい顔立ちの真面目系ボンヤリ少女に見えるけど、あれで意外にもクソ度胸のある子でね。殺戮マシーンとして教育されたら大成しそうな人材なのよ。まだ一度も球筋を見せていないし、この圧のかかった状況下を任せられる選手の一人ね』
『お前テレパシーで指示とか出してないの?? ホントに??』
「マジか」「本当はテレパシー使えるんじゃないの」「山崎が雲雀ケ丘の監督か」などと、テレビ前の学生視聴者から声が上がる。
『事前情報の無い明星高校は知らないと思うけれど、あの子もナックル姫の一人だから。当然ながら、全球ナックルでしょ。うまく引っ掛けてくれれば、あと2球で終わるかもね』
『心理的にも、情報って重要なんだよなぁ……いやまぁ、勝負が決まるこの場面で、1年生を投入してきたら、何か持ってるとは思うんだろうけど』
右のスリークォーターからの、ナックルボール。1球見送ってストライク。打者の表情が、何となく苦々しい表情のようにも見える。そして2球目――右のサイドスローからのナックルボールを、引っ掛けて、三塁線のゴロ。危なげなく処理し一塁でアウト。
明星ベンチ上の応援団から大勢の悲鳴が聞こえる。そして少しの間を置いて、これまでで一番大きな応援の声、轟く叫びの声援が場内を振るわせていく。
『ふっ。白露さんは度胸もあるけど、小器用な上、下半身の安定している子でね。せっかくだから一般的なスリークォーターの投球と、サイドスローの両方を仕込んであるのよ。まだまだ粗削りだけど、初見の相手を幻惑するには充分というものね』
『お前が雲雀ケ丘女子の、影のフィクサーだという事はよく分かった』
そんな会話をKYコンビが交わす中、サイドスローから投げられた1球は見送られてストライク。素早くスロー再生されて、おそらくはナックルボールであろうという事が分かる。そしてすぐに実況画面に戻ると、2球目が投げられた。
今度はスリークォーターからの投球、ストライク。ツー。カウントを稼ぐつもりが全く無いコースの組み立て。そしておそらく今のボールもナックル。
あと1球で決めるつもりだ。
そう思わせる空気が、張り詰めた空気をさらに張り詰めさせていく。明星ベンチ上の応援団が轟音のような声援を送り、雲雀ケ丘女子の応援団では帽子を握りしめ、あるいは手を組んで祈るような生徒達の姿が見えた。
『……仮に、一つだけ勝因・敗因を挙げるとしたら、それは【 相手をどう見ていたか 】という点かもね』
『……明星は、雲雀ケ丘をナメていた、という事か』
『苦戦はしても、勝てる相手だと思ってたんでしょうね。あくまで明日の、ウチとの対戦を前提としていた感が無かったとは言えない。そして雲雀ケ丘は、明星高校を県内屈指の大きな壁として認識していた。勝利のために必要な方策や心構えを、考えに考え抜いて、この試合に挑んでいたはずよ』
『2年続いて同じ轍を踏んだ、というべきか……』
緊迫する場面の中、KYコンビの会話が聞こえる。去年は無名の公立校に、そして今年は県内唯一の女子高からのチームに。油断が試合の流れを決めた、と言いきるほどの試合では無かった。だが、事前の情報収集や気構えに問題が無かったとも言えない。夏の大会で勝ち上がる学校ならば、それがたとえ幸運によるものだったとしても、決して侮る事のできない相手なのだという事を。一瞬たりとも忘れてはいけないのだ。
『ああでも高校野球って最後までどうなるか分かんないし野球はツーアウトからって言うし、まだまだ全然分かんないんだけどね!!』
『この期に及んで保身を図るな!! クイズの回答予想を間違えても立場を守ろうとする親父かお前は!!』
山崎と北島の残念な会話が聞こえた直後、小さな打撃音とともに打ち上げられた最後の打球は、ゆっくりと内野に落下して――。一塁手のグラブに収まった。
『ほらね!! 言ったとおりでしょ!!』
『お前もう黙れ』
そんな声が聞こえる中、試合終了が宣告される。
両校生徒の、悲鳴、歓声、様々な声が球場全体を震わせた。球審の合図の下、選手がホーム前に集合していく。ともあれ、激戦の準決勝第二試合は、ここに終わったのだ。選手が礼を交わすと、大きな拍手が降り注ぐ。
『――すいません、よろしいですか? マイクの確認を』
『あ、はい。濡らしてませんよ。大丈夫です』『いつごろですか?』
放送局スタッフと思われる人の声と、KYコンビ二人の声が聞こえた。
『もうじきです。こちらのカメラに視線くださいね。合図は私が出します』
『はぁーい』『分かりました』
――最後まで気づかなかったな、局側。大丈夫なのかこいつら、あとで色々な方面から怒られるんじゃないだろうか。などと。充分に放送を楽しんだ視聴者達は、少しだけ地方テレビ放送局の責任者の心配をする。
そして、放送事故が始まった時と同じような、ザリザリという雑音やら変な音声不具合を交えながら、試合終了後の、総括としての実況が始まった。
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【 F県TV 実況席 】
「いやあ、熱戦でしたね!! 島本さん」
「まったくです。何が試合の行方を決めたか、と聞かれれば、一つでは言い表せませんが……互いのチームの守備と、思うように打撃を許さない投手陣の活躍が凄かったですね。ほとんどの打撃が得点につながらず、出塁すらもままならない。まさに手に汗握る、ギリギリの試合でした」
「しかし雲雀ケ丘女子は、驚愕のナックル使い軍団……と言うべき投手陣営に仕上げてきましたね」
「よほど小さい頃から鍛えていない限り、女子は筋力的に厳しいですから……速球で勝負するのは難しいですからね。雲雀ケ丘が優勝を目指すための、回答の一つ、という事なのでしょう」
「雲雀ケ丘女子は、学生同士が教え合うような学校だと聞いていますが」
「はい。確か監督も未経験者で、特別なトレーナーなどは居ないはずです。学生同士の研究で、あのナックルボールを身に着けたとしたら、それも凄い事です」
「大学野球の指導者を招いたり、とかは?」
「雲雀ケ丘は関連学校も、確か女子短大じゃなかったですかね……去年から有名になりましたし、何か新しい伝手でも出来たかもしれませんが」
「さて、そろそろ放送時間の終わりも近づいてきました。ここで観客席の、KYコンビの言葉を聞いてみたいと思います。…………よろしくお願いします」
『――はい、こちらスタンドの山崎です』
『――はい、同じく北島です』
『まったく行方の分からない、手に汗握る試合でしたね、北島くん』
『次々と想定外の情報が出てくる試合でしたね。山崎さん』
『雲雀ケ丘の1年投手陣なんか、ホントに意外性抜群でしたよね、北島くん』
『ははははは。そうですね、山崎さん』
『明星高校の健闘も素晴らしいものでした。木村選手の投球も凄かったですね、北島くん』
『まったくですね。惜しかったと言わざるをえません、山崎さん』
『明日の試合が、今からドキドキワクワクですよ、北島くん』
『色々と複雑ですね、山崎さん』
『それではスタジオにお返しします』
『もうスタジオでいいよ』
「…………はい、ありがとうございました!! 選手の目から見ても、意外性が溢れる、緊迫した内容の試合だったという事ですね」
「雲雀ケ丘女子が多用したナックルボールをはじめとして、今年の雲雀ケ丘野球部の投手陣は新しい変化球を数多く身に着けていそうですし、3年の控え投手の川埼さんは、最後まで出て来ませんでした。今日明日で情報も集まらないでしょうし、投手の情報が不足しているという点で、弘前高校の打線も苦労するかもしれませんね」
「今から明日の試合が楽しみですね。それでは、今日の試合のハイライトシーンを流しつつ、放送を終わらせていただきます。今後ともF県TVをよろしくお願いいたします。島本さん、本日はどうもありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました」
※※※※※※※※※※※※
――――こうして、F県の、夏の全国高校野球選手権、予選準決勝の試合中継放送は終了した。
そして、さほど時を置かずして。音声事故が局内で発覚する。
どうして気づかなかったのか。
なぜ起きたのか。機材の不具合か、操作ミスか。
原因を探ると同時に、この一件の責任を誰が取るのかという問題も持ち上がる。
そして高校生の雑談を無許可で放送した責任を取る方法の一環として、すぐさま弘前高校の教職員会議と、弘前高校野球部、弘前高校野球部の父母会を訪問するために菓子折りと謝罪団が用意され、まずはどこから回るべきか、などという話で局内の対策会議室が紛糾した。その日、F県TVの本部ビルでは夜遅くまで喧噪が続き、ほとんどの会議室で何かしらの対策会議が続き、夜明けまで明かりが絶える事は無かったという。
――結果として、『 原因の究明と再発防止措置の確立、問題点と対策の公表と継続的な掲示 』を条件として、弘前高校側とKYコンビからは許しを得る事ができた。
また、局側が恐れた、『地元メディアや市民団体、商工会などからの突き上げ』等は全くと言っていいほど無かったという。
この【 高校野球中継における、伝説的な放送事故 】は、長らく県民に語り継がれ、地元TV局の伝説となったという事だった。
また、一部の視聴者が動画投稿サイトに準決勝第二試合の動画を丸ごと即日UPするという暴挙に出たため、後日、高校野球マニアの中でも有名なネタと化したらしい。その結果、県外のよく分からない団体からF県TVに抗議文のようなものが届けられる事になったというのは、一部の関係者が知る事である。
――その夜、その動画を見た、とある高校の野球部員、監督などの数名の関係者が『アイツの仕業かぁ!!』と叫びつつ少しばかりキレて、部屋の物に当たり散らしたという事があったそうだが――それもまた、高校野球という物語、青春の一ページ、というものだろう。
色々な人々の、色々な思いを込めて。県予選の決勝の時が、近づいてきていた。
以前、『試合は2回か、長くても3回』とか考えていたのですが、はっと見れば4回くらいになっていました。ちょっと長すぎかなー、と反省いたします。あと、更新間隔も開きすぎかしらん、などと。
執筆環境が若干変化しておりますので(高校野球の外部環境とかも)少しペースが遅くなっておりますが、エターなる事だけはありませんので、今後とも気長にお付き合いくださると幸いです。次回の試合はもっと早くスッ飛ばすつもりですが、予定は未定です。今後もゆるくお付き合いください。
毎度の文法間違いや誤字誤用の指摘、誤字報告機能の活用など、まことにありがとうございます。ユーザーデバッガーは神様です。この作品は読者さまの優しさで支えられております。今後ともよろしくお願いいたします。




