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短編詩集

春を迎える前に【冬の詩企画】

作者: 若松ユウ

冬が始まると

雪が降り、草花が土に眠り

動物たちは、皆で(ねぐら)(こも)

そのとき、人間たちは……


畳を玄関先に出したり

天井から(すす)を払ったり

障子紙を張り替えたり

廊下に雑巾をかけたり

箪笥の(ほこり)を落としたり


晴れ着を検めたり

かど松を立てたり

しめ縄を結ったり

塩や榊を飾ったり

お鏡餅を据えたり


伊達巻や鯛を焼いたり

黒豆や栗を煮込んだり

蒲鉾(かまぼこ)蓮根(れんこん)を切ったり

お餅を搗いて丸めたり

蕎麦の出前を頼んだり


師も走る年の瀬は

誰もが気もそぞろ

なぜか

落ち着かないもの


あの人にお年賀を出したろうか

あの子にお年玉はいるだろうか

今年のうちにやり残りは無いか

新年にすべきことは何だったか

毎年いつも気になることばかり


除夜の鐘は百八回

消えない煩悩たち

どうか

福が来ますように


冬が終わると

雪が融け、草花が芽を吹き

動物たちは皆、目を覚ます

春は、もうすぐそこに……

本作は「冬の詩企画」参加作品です。

企画の概要については下記URLをご覧ください。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2157614/(志茂塚ゆり活動報告)

なお、本作は下記サイトに転載します。

http://huyunosi.seesaa.net/(冬の詩企画@小説家になろう:seesaablog)

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― 新着の感想 ―
[良い点] リズムが良く、人々の忙しい躍動感を感じました。 ありがとうございます。
2018/12/08 23:49 退会済み
管理
[良い点] 企画ご参加ありがとうございます。 動物たちが眠っている間、人間たちはまるで一足先に目覚めたかのように、せっせと「迎春」の支度をしていますね。 私は動物たちのように「寝正月」を堪能することに…
[良い点] すんなりと読める所が、いいです。 光景が思い浮かびました。それも、写真とか映像じゃなくて、水彩画とか色鉛筆で描かれた柔らかく、可愛らしい感じの絵本みたいな映像が思い浮かびました。上手く言え…
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