2話 「森のスライムさん」
うんうん、たしかに擬音がウザいくらい多かったので減らしました
この話で登場する魔物
スライム:ゼリーのような魔物
スライムのような魔物:ゼリーのような魔物
さて、と振り向いて何か考える神様
「いきなり村じゃ怪しまれるしのぅ…
お、そうじゃ…あの村の近くの森にアレが…」
そんなことはつゆ知らず、俺は生前の姿のまま森の中に送り込まれたのだった
「っあいったーっ!」
送り込むにしても高さとかさ、ほら…普通ちゃんと送るじゃん
なんで1m近く落とされちゃうわけ?
しかもスライムのような魔物の上にピンポイントで落とすもんだからゲル状のもので衣類が汚れるし…神様、俺のことなんか恨んでるの?
「ひっどいな神様、もっとちゃんとしたところに送ってくれれば良いのにさ…」
ぶつくさ言いながらお尻を叩いていると、魔物がいた場所が光っているようだった
確か神様が言うには、この世界では採取や魔物からのドロップアイテムは魔素の力によって姿が見えず光となっているそうだ
手にとってその魔素が身体に馴染み、ようやく本来の形と為す
「…とか言ってたっけなぁ、まぁ試しに拾ってみるか」
僕は目の前の青い光に手を伸ばし、触れた
瞬間、パッと目の前の光が一つの巻物にと変わっていた
取得した瞬間に頭にアイテム名が浮かぶ
「スキル…の巻物?あぁ読むと覚えられるってやつなのかな?
しっかし腹減った…朝飯抜いて来たからなぁ」
そう言いながら俺はインベントリに収納した
一個しかないアイテムなどは、溜め込んでしまう性格なのだ
だからラストポーションなど、生前一度も使ったことは無かった
「尻が痛い…」
右手でさすりながら山を下っていた
自身のステータスも見ることができたので、幸いHPが減っていることは無かったが痛いことは痛いのだった
「うゎ、またいるよスライム…」
左奥に見えるスライムを避け右へと進路を切った瞬間、そこに足場は無く崖下へと転げ落ちる
「うわぁぁ、や、やべぇぇぇー」
しかも目線の先にプルプル蠢くのが4体ほど見えるのだからたまったものではない
プキュゥゥ…プチっ…ドーン!…
……
途中に生えていた木に引っかかり崖下まで落ちることは免れる
しかし、またもスライムを2匹ほど潰してしまい身体中粘液で酷い有様だったのでまたも神を恨んでしまった
ゲームの世界のHPってどういう意味なんだろうなどと考えたことはあった
HPが1でも普通に戦えるし、復活出来るのにイベントで死んだら復活できなかったり
今自分の現状を見て、なんとなく理解した気になっているのはとても不思議な感覚だった
「あれだけ転げ落ちてHP減ってないって変だよなぁ…戦いじゃないからなのか?」
そう、結構ダメージは受けていた
木に打ち付けた左腕はまだ痺れているし歩きたいけれどまだ足も痛い
HPとは魔素によるダメージを数値化したもので0になることは魔素耐性の枯渇を意味している
この魔素に溢れた世界では、耐性を失うことは何もできなくなることなのだ
たしかに神様は説明してくれたと思う、その時は全く話が理解できていなかったのだから仕方ない
しかしダメージはダメージ、限界を越えれば死んでしまうだろう
「…じゃねぇ!痛いんだよ!回復薬無いの?」
インベントリを開き何か取り出そうとすると、入っているもの一覧が頭に映像となって浮かぶ
「スキルの書と小瓶があるんだったな…小瓶はポーションか?」
そう思って取り出す、たいていのRPGはポーション5個ほどを持ってスタートしていたりするものなのだからかなり期待していた
「小瓶…うん、小瓶だな」
小瓶だった、中身は無い
はぁぁ、とため息をつくと崖のちょっと上にいくつか青い光が見える
「あぁ、そうだった…なにか役に立つものだといいんだが…」
そう呟き、痛みのある足と腕を引きずりながら登り手を伸ばす
【薬草】【スライムの核】
よくやった!
心の中でガッツポーズをした、そしてそのまま薬草を口へ放り込む
強烈な苦味と独特の香りが口いっぱいに漂い、思わず表情まで歪んでしまう
しかしながら、全身からわずかばかり痛みが抜けるような感覚を伴い
無意識に…
再度近くの青い光へと手を伸ばしていた