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隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生  作者: うらたま
第7章《ふたつの人生》
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6話「きっとそこにある本当の世界」

魔王との壁破壊計画も失敗に終わり、収穫は一本のハンマーだけであった


「この世界は月が綺麗だよな…」

ピノと二人で夜の王都を歩いている

帰り道を歩いているのだが、灯りも少ないこともあり一際明るく輝いているように感じられるのだ


「こっちに来て私もそう思うようになったわね」

ピノのいた時代は街は煌々と輝いていたものな、星なんて見えなかったんじゃないだろうか


「星も…あれ?」

見上げた空に星は見えない

そういえば今までに星を見たことはあったのだろうか?

それにいつ見ても綺麗な満月である…そんな気がしてしまう


「どうしたん?」

「いや、いつ見ても満月だよなーって…」

「そりゃそうよ、月なんだから」


そっか…この世界のお月様はそうなのか…


「あれが実は…」

そこから先を言えなかった

何か恐ろしい事が本当のことでありそうだったから


「実はなんなん?」

「ごめん、なんでもないよ」

俺は笑顔で返答し、宿に戻ったのだった


横で寝ているピノ、そして産まれてくるであろう子供

幸せに暮らせると思っていた世界がだんだんと謎の世界に変わっていく


「ん…」

寝返りをうって、こちらを向くピノを見て

やはり確かめずにはいられなくなるのだった


「ごめんな、ちょっと行ってくる…」


深夜遅くに起きているものは大体が飲兵衛の冒険者共である

試しに真っ暗闇であるダンジョン付近にやって来たのだが、やはり星は見えない

「この世界の周りに他の世界が無いということか、もしくは…」


月もまた動いてはいるものの、常に満月である

「自ら光り輝く星なのか、まぁ内部で核融合を起こしているのならそういう事なのだろうが

もしくは正反対に太陽が存在し続けるのか」


そして、もしもあれが用意された光源だったとしたら


箱に入った世界というのが一層真実味を増していくのだった

そもそもここは神様が俺を送り込んだ世界


壁の外で今も神様が覗いていたりするのではないだろうか?


「トラベル!」

俺は再び壁の前にやってきた

亀裂はそのまま残っており、もしそれが外部から作られた物だとしたらと考える


もしかしたらこの箱庭の外に地球もまた存在するのではないのか?

「トラベル!」


試しに日本の自宅を想像してみたのだ

当然行けるはずもない

だが、それは魔素が地球に存在しないからなのではないだろうか


「思い出せ…」

神と出会った場所はどんなところであったのか

真っ白な空間は安易に来れなくするための措置だったのではないか

そういえば何か空に浮かんでいたような気もするのだが…


結局何も得ることは無く、再び宿に戻るのだけれど

ピノが宿の前で心配して待っていて、俺を見るなり涙して抱きついてきちゃって

あぁ、俺にはもう守るべき者がいるというのに何を考えていたんだろう…

そんな事を思って、地球の存在は考えないようにするのだった


「なんか小腹が空いたし、美味いもんでも食べに行かないか?」

「ラーメン食べたい…」

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