5話「越えられない壁」
放心状態のピノと共に、世界の南東の端に来ている
魔族領でも一番東にある大陸が魔王達の住む場所なのだが
そこからさらに海を渡り、いや行き着く島も無いのだから渡るという表現は違うのだろう
海の端、そこに聳えるのが天に届く壁である
魔王も上を確認しようとどこまでも上昇したのだが、遂にその果ては発見することはなかった
「足場をちょっと作らせてもらうぞ」
俺は道中見つけた手頃な小島をインベントリから取り出す
4つ5つ取り出したところで、やや不安定ではあるものの陸地が完成したのだ
「貴様らは一体どこまで規格外なのだ…」
魔王が褒めてくださった、感無量である
いやさ、今までこんな力使っても驚かれるか怪しまれるくらいだったからさ
俺もついつい嬉しくなっちゃって
『その力で壁も消せるのでは?』なんて魔王が言うもんだから、ちょっと試してしまった
結果は失敗
「武器を用意しておいたのだが、必要あるだろうか?」
魔王は一本のハンマーを取り出す
まさか剣で攻撃するのか?と思っていたのだが、その辺は常識があるようで良かったのだが
「ピノ…このハンマー攻撃力5000超えだぞ…」
どうにか持ち帰れないだろうか…
滅多にこんな威力の武器には出会えないものだから欲が出てしまう
ピノもまだやる気がでないようだし、試しに俺が奮ってみることにする
「じゃあちょっと試してみようかなっとぉ!」
『ドーーン!』という衝撃と共に壁に振動が加わる
まぁ当然魔王がやってダメなのだから?俺なんかでどうにかなるわけもない
「シュウ…貸して…」
俺からハンマーを受け取って、ピノは渾身の一撃を放つ
「…負けたなんて認めない!」
再び強い衝撃が壁を襲う
だがやはり数メートルに及ぶであろう亀裂はそれ以上大きくならないのだった
うーん…攻撃力上げても意味ないのかな…
魔素による防御結界でも張られているとか…
ありえるよなー、完全無効とかやってありそう
「試しに武器の強化してみよっか?」
俺の持つ魔素ポイントによる強化、ここ数週間で貯まった25万近い魔素ポイントをギリギリまで使って、なんとか(+7)まで強化する事ができた
しかし
「あ、同じ武器で良かったのならばあと6本は有ったのだが」
そう魔王に言われた時は、魔素ポイントを無駄にした事にショックを隠しきれないのであった
「これで攻撃力も15000近いけどどうだ?」
ハンマーはとんでもない数値を表示
なのだが、結局ピノや魔王では壁が壊れることはなかったのだったのだが
なぜか俺が攻撃すると、ほんの少しのカケラがこぼれてくる
まぁ、例えここが箱庭のような世界だったとしても
中の者に簡単に壊されるような世界が作られるわけも無いよなぁ
「すまなかったな、わざわざ半日もかけてここまで来たと言うのに」
魔王は謝るのだが、ピノはストレス発散もできて良い気分転換になったようである
「まぁたまにはこんな事してるのも楽しいし良いんじゃないか?」
「そう言ってくれるとありがたい、我も何かあったら協力しようと思う」
こいつは本当に魔王なのだろうか?そう思ってしまう程に腰が低すぎる…
しかしまぁ、いづれ魔族とも打ち解けて色々なところを旅できる世界ってのも楽しみである
「後はー…マジで収納できるんだったら壁も無くなるかもしれないんだけどなぁ」
そう言っていた俺の着けているチョーカーが光っている事に、その場の誰一人気付いてはいなかったのだった…
「じゃあ一旦帰るわ、ハンマーはもらったぞ!」
魔王は『え?まぁいいか…』と言っていたから
きっと大事なものだったのだろう
せっかく魔素ポイントもがっつり消費したのだ、なんの収穫もないのではつまらないではないか!
[※※※※※※※(+7):※※※5445(+9528)、※※※+100%]




