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隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生  作者: うらたま
第7章《ふたつの人生》
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第7章1話「ブレンドD」

あれから数週間、スキルの書を使うこともすっかり忘れて

俺たちは様々な街を見て回っていた


ミドは時折コソコソとしているので、やはり正体をバレたくはないのだろうな

リキングバウトの教会に行く時にはピノの手作りお菓子も持参している

最近ではドルヴィンのお菓子よりも好きだと言う子供もいてピノも嬉しそうにしていた


「待ちなさい!悪ガキども!」

何度もここに遊びに来ているせいで子供たちも随分と慣れたものだ


とっ捕まったガキンチョにピノは容赦無く鉄槌を下す

悪いことをしたら怒られて当然だ、暴力だのハラスメントだのそんな事で怒れなくなってしまうような世界では無い


怪我をさせてはいけないが甘やかしもしない、時には痛い思いをする事も大事な経験だろう


「シュウ大変!」

そこに突如現れるシネレア

当然子供たちのおもちゃに成り果てる


「わー、ちっちゃい精霊さーん」

女の子まで集まって来て弄ばれるシネレア


「…じゃないわよ!大変なんだってば!」

「なんだよ、ダンジョンはどうしたんだ?」


最近は俺とピノで狩ってきた食料をどんどんダンジョンに放り込んでおいたもんだから

お偉いさん方も腕に自信のある者を連れてやって来て

《グルメダンジョン》などと呼ばれるようになっていた


当然並みの腕ではそうそう攻略することも敵わず

魔素ポイントも貯まればアイテムも貰い放題


いつの間にか魔素ポイントも10万を超えていたのだけど、あまりの人気ぶりに俺たちはダンジョンを利用し辛くなっていたのだった


「変な二人組が現れて、冒険者さんがみんなやられちゃったのよ!」

「まぁた…酔っ払いか?」


そんな優しい相手ではなかった

皆で様子を見に行くと、ダンジョン前で立っていたのはどうやら魔族の二人組であった


「お、貴様が勇者か!」

「なにが10万越えだ、どう見てもただの人間共ではないか!」


周りには意識を失った冒険者達が倒れている

一応死んではいないようだが先程まで随分といたぶられていた様子である


「我らは魔神四皇(ノーブル)最強の剣と頭脳、魔神マールと」

「我は魔神グラパス、貴様らが虫ケラである事を思い知らせてやろう!」


『よし、決まったな!』なんて言いながら二人の魔神は誇らしげであった


なんだが緊張感もあまり感じることができなくて、ピノが二人に尋ねていたのだった


「ねぇねぇ…最強の剣と頭脳って事は、すごい力とか持ってるってこと?」

「そうだ!俺の力をもってすれば大地の魔神バドスも無傷ではいられまい!」


「ちょっ、マール…そこはひれ伏すであろうくらい言いましょうよ…」

「そ、そうだな…バドスなど屁でもないわ!」


なんか漫才が始まった

本当に頭脳の方も持ってるのか?


「で?何をしに来たんだ?」

魔族はこっち来ないんじゃなかったの?

せっかく魔族領に入らないようにしてるのに意味ないじゃん


「シュウ、私に任せてもらっても良いかしら?」

ピノがそう言って俺の前に立つ


「えっと…魔族はこっちに来た以上何をされても文句無いんだったわよね?」

「ふはは!獣人風情に何ができようか!」


ちょっとカチンときたみたいで、ピノはローズに声をかける

「ねぇローズ、前に限1スキル取ったじゃん

あれ、この二人に使える?」


そういえばスキルは使う必要なさそうだからってそのまま放置されてたんだが

ローズって何取ったんだっけ…


「え?わかったけど…ええの?」

頷くピノ

魔神に近付いていくローズ

「ごめんな、なんか二人をもっと強うしたいみたいなんよ…ちょっと我慢してや」

「…は?強く?我らの強さでは不服と申すのか?!」


《究極合成!》

なんてこった…てっきり強いアイテムを作るものだと思っていたスキルで魔神を合体させやがった


「な!なんだこの溢れる力は!魔王すら凌駕しうるパワーで満たされてゆくぞ!」

合体した魔神が何者か、どんな力を持つのか…

そんなこともどうでも良くなるのは、この合体魔神がすぐに消えてしまうのだからであった


「もう貴方達には用は無いから帰っても良いわよ」

ピノが魔神に告げる

魔神が喜んだのも束の間、次の瞬間には魔神の力は全て消え失せていた

意味もわからずに放置される魔神

ピノも満足そうにしている


「ローズのスキルなんだけど、私のために使っちゃったから新しいのあげても良いでしょ?ね、シュウ」


ピノが俺にスキルの書を求めてくる

なんだかよくわかっていないが、インベントリにあった二本のスキルの書はローズへ渡されたのだった

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