22話「チート少女」
驚く事にローズとミドは第四階層で上位種の《エレメンタルホース》を相手にしていたのだ
全属性を使い分け執拗にいやらしい攻撃を繰り出し
あまつさえ窮地に陥れば大きな鳴き声で周囲の魔物を誘き寄せるという
面倒な奴だった
しばらく二人の様子を見ていたのだけど、ずっと防御に徹しているようで
武器を構える素振りも無い
ミドがローズに何か合図していて、その直後に動きがあった
エレメンタルホースの持つ一本角が魔法を行使する直前に虹色に輝きだした
その角めがけて一本の矢が飛んでいく
角を砕かれた魔物の魔力は暴走を起こしその身に襲いかかるのだった
そこからはもう弱い者いじめかと思えるような一方的な攻撃が続き、鳴き声をあげたエレメンタルホースは光となって消えていったのだった
凄い観察眼だ
「姉様、やりましたわ!」
抱きついて喜ぶミド、ローズは笑いながらも困ったような表情を浮かべている
まぁ近付く魔物に気付いていないのが残念なところなのだけれど
近寄って来た別の魔物を俺たちで片付け、二人に声をかける
「お疲れ様、まさかこんな所にいるとは思わなかったよ」
二人はここ第四階層で既に4体もの魔物と戦っていたというので、確認したのだけど
なんと二人ともがレベル46だと言うのだから驚きである
小さい頃から冒険の夢を見続けていたものだから
ミドが10歳になる頃には、既にいくつものダンジョンに出入りしていたと言うのだ
「じゃあ二人とも上級職になってるんだな、どんな職なんだ?」
「いいえ?上級職なんてあるんですか?」
ミドが不思議そうに尋ね返す
え?レベル20で上級職になれるんじゃなかったっけ?
どんな風になっているのか聞いてみたのだが、過去を改変したせいなのか以前とは全く違うようであった
《職は生まれた時に精霊王の加護を受けて与えられる》
《スキルは数年に一度、良き行いをした者に授けられる》
《大罪や殺しを行った者は、全てのスキルを失い大いなる災いが降りかかるであろう》
きっとアイオーンが世界のスキルを管理しちゃってるんだろうなぁ…
あまり露骨のスキルを集めてアイオーンに目を付けられるのも厄介なものだ
それはさて置いて、俺たちは第五階層へと向かう途中で休憩を挟み二人にスキルの書を渡す
「あぁ見たことある気がするわ、スキル覚えられるやつやんなぁ」
「こんなの本当にあったんですね」
二人は早速使いそれぞれ新しいスキルを覚えていた
さて第五階層だ
ここからは魔物を倒せばドロップアイテムを入手できる可能性もある
魔素ポイントから直接アイテムを作らせてくれればこんな面倒な真似をしなくても済むのだが、こればかりは致し方ない
さっそく現れたのは雷を纏った虎だった
[天虎カンライ:魔獣族最上位種、広範囲の雷魔法と高い攻撃力俊敏性を備えている、高い所に登る習性を持ち雨の降る日には滅多にその姿を見ることは無い]
その姿を見るや否や、ミドがローズに指示を出す
「ローズ、水スロウ範囲拡大!」
それを聞いたローズがミドの構える弓矢にエンチャントをかける
『パラレルアロー』
いくつもの力を持った矢による攻撃を彼女達はそう呼んでいた
通常エンチャントは一回のみなのだが、ローズの持つスキルによって現在のところ3つまで同時に付与することが可能らしい
もしかしなくてもそれは、前の世界でローズが望んでいた『火と風の魔法を同時に行使する力』でもあったのだ
スキルは全く違うものになってしまったが、自分が望んでいた力を得るようになったのかもしれない
さて、今回のパラレルアローは水属性と減速付与と広範囲
それがミドの選んだものなのだが、広範囲に水流の纏った矢は確実に虎の逃げ場を無くし
水に濡れた体は雷の力を失い
持ち味のスピードさえ減速効果で殺されてしまう
あとに残ったのはただ攻撃力の高い虎であった…
最上位種など絶対に見たことも無いはずなのに何故弱点がわかるのかと聞くと、それまたミドのスキルだという
レギの持っていた魔物の事がわかる能力
効果のある状態異常などよく尋ねていたなと思ってはいたのだが
実は羨ましかったのだろうな
それぞれが変わった能力を望み、それに適したものを授けられた
そして二人はペアになって非常に強力なスキルを手に入れたのだろう
世界がまた変わったとしても
二人の仲は永遠に続きそうだ…
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ローズ レベル46
[幸運:運上昇、奇跡に巡り合うかもしれない]
[パラレル:一度に複数の力を行使できる]
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ミド レベル46
[古代図書(魔物):あらゆる魔物の情報を閲覧できる]
[影響力:あらゆる効果を高める]
[矢筒:限定的にアイテムを異空間に保存することができる]
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