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隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生  作者: うらたま
第5章《ひとつの結末》
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11話「不確定の現実」

何がいけなかったのだろう?

消えた場所と同じであればここは帝都の中心であるはずなのだが

見渡すと荒れ果てた街並みが並んでいる


俺はリドラに跨り、上空からその街を見下ろす

「リドラ、もう少し上空へ」


高度2000m以上はあるだろうか、街は小さく見え、周りには木々も所々茂っている

魔素が失われた様な感じではなかった


「もしかしたら都を移したのかもしれないしな」

別の場所を見て回ろう、そう思った矢先

目の前に獣人がパッと姿を現わす


「「え?」」

顔を見合わせた二人は、それ以外の言葉が出てこない

そして空中に放り出された獣人は重力によって地表に引き寄せられていく


「リドラ!」

急降下するリドラ、圧倒的なスピードで軽々と追いつきその背で獣人を受け止める

ふわふわの背中は優しく獣人を受け入れその獣人の身を沈めていった


「ぷはっ、どこやここ?!」

「お前、まさか未来まで付いて来れるとはな」


俺が何を言っているのか全く理解できない様だったので、帝都を眺めながら説明を行う

「お前のいた時代から100年後の世界だよ、あれが帝都

なぜこんな状態なのかは俺にもわからんからな、今から世界がどうなったのか見にいくところだ」


確かに街の並びは帝都で間違いないと言う

「それはわかった…で、私はどうやって帰ればいいんだ?」


どうやらマークした相手の近くへ移動するスキルで、一方通行なのだそうだ

まぁスキルによるものなら時間経過で過去に引き戻されるだろう

現に俺がそうだったのだから


「お前は…よくまぁどこへ出るかもわからないスキルをよく使えるな

二度も捕まってもまだ懲りないようだし、お前の抜けっぷりには呆れを通り越して尊敬するぞ」

俺はやれやれといった風に話しかける


「シュウ…と言ったな、私はピノ

ピノアールという名前だ、お前と呼ばれるのはその…とにかく、私のことはピノと呼んでくれ!」


ともかく1日もすれば過去に戻れるだろう、勝手にそう考え共に行動することにした


「超感覚さん、もしピノが過去に戻って未来を変えようとしたらどうなるんだ?」

【私も気になります、試してみましょうか

もしかしたらマスターの存在も消えるかもしれませんね】


全く超感覚さんも冗談が過ぎる

【第三者による行動までは把握できません、世界が破壊されれば地形効果無効すら意味を成しませんのでマスターがいない世界も考えられます】


マジか…

「えーっと、ピノが未来に来たせいでまた世界に変化が起きるらしい…」


『どういうこと?』と言うピノに説明をする

俺が何故過去の世界で飛び回っていたのか、それまでの世界がどんなものだったのか


ピノは納得したようなしていないような、そもそも時渡りなどそうそう納得できるものでもなく

夢か幻かと思っているようでもあったのだ


「お、街があるな」

そこまで離れていない場所で発見した街には人もエルフも獣人も、巨人族までも共に過ごしていた

色々あって帝都は放棄されてしまったのだろうが、色々な種族がこうやって共に暮らしている姿が俺の望みであったのだと再確認する


近くに降り立ち、街のことを聞き回る

俺にとってもピノにとっても見たことがない食べ物や道具が並ぶ街並みは非常に新鮮なものだった


「最近こちらに来たのだが、帝都があった場所は昔何かあったのか?」

俺は道具屋でアイテムの補充を行いながら店主に尋ねてみた


全部で金貨1枚分は購入したものだから店員も上機嫌で教えてくれる

「そりゃあんた、何十年も昔に悪魔がやってきて街を滅茶苦茶にしやがったんだよ」


悪魔?それはいったいなんだ?

「その悪魔はえらく龍を恨んでいた様子でな、国に龍が攻めてきたのを帝国の仕業だと思ったらしく

見境なしに攻撃よ

まぁ俺も生きていたわけじゃねえから知らねえが、親父の話じゃそこに龍も精霊も混ざってとんでもねぇ状況だったらしいぜ」


店主の話は続き、戦いによって力を失った悪魔は地に伏し息絶えたそうだ

その後、西の大陸では国王が行方不明になり

何故か作物も育たなくなり、東の大陸に移り住む者が絶えなかったそうだ

道中、危険な海を渡り命を落とす者

こちらの大地に着いても仕事にありつけずに()えた者

西の大地で行方知れずの者も大勢いたと言う


ここまで聞けば理由はなんとなくわかってくる

結局なんらかのアーティファクトを使い魔素は枯渇してしまった

悪魔の正体は…きっと王自身なのだろうか

しかし龍を恨むとはどういうことなのか


もしピノが過去に戻れるのなら、どうにか西の王を止めて欲しいものだが…

本当に任せられるものなのだろうか

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