9話「強さ」
九体の龍を統べる聖龍と全ての精霊達の頂点である精霊王の戦い
そして、世界に安寧を齎す勇者の存在
その全てが100年前に消えてしまった
それらに代わる新たな存在も生まれぬまま
徐々に滅亡へと向かっていたのだった
誰もそれを止める術が浮かばないのだから、もしかしたら精霊達だけの生きる世界というのは一つの解決方法なのかもしれない
だがそれで人や龍が滅んで良いとも思わない
新たな武器や力を手に入れた俺たちは、解決の糸口を見つけるために
大精霊や龍族のいるところを目指すことにするのだった
「むっちゃレギが好きそうな杖んなってもたわ」
ローズの持つシンプルな杖は、暗黒龍の力によって仰々しい装飾の付いた杖になっていた
帰り道現れた魔物に魔法を使ってみると、漆黒の炎の渦が魔物を消炭へと変える
「その杖、使役効果もあるみたいだからリドラみたいな竜も出せたりするんじゃないか?」
俺がそう言うと、さっそくローズは召喚してみようと杖を掲げる
杖の先にある宝玉から黒いものがポコポコと湧き出ると、ローズの周りに20個ほどの黒い球体が浮かんでいるのだった
「なぁ…ウチもう今日から闇魔導師って名乗るようにするわ…」
どこか悲しげにそう語るローズの視線は、しばらくダンジョンの床に生えた苔に向かうのだった
サラマンダーの核はというと
リヴァイアサンがやってくれたように、暗黒龍シズクの力によって紋章としてレギに刻まれた
出てきたのは赤黒斑のトカゲ、可愛らしいのだがミドやローズにはいまいちウケが良くないようだ
名前はそのままサラマンダーと呼ぶことになった
「カッコいいなぁサラマンダーは」
相変わらずのレギであった
なんでレギなのかって?
一応リドラはリヴァイアサンの力が濃いから竜種になるようなのだけど、サラマンダーはほとんどがその核による力なので精霊になるのだ
そりゃあギフトでサラマンダーの力をリドラに与えてみたいからだよ
上手く行ったら俺たちお払い箱だろうな、なんて思ってさ
もう精霊王が来たってあっさり倒せるんじゃね?なんて思っちゃったけれど
「あ、倒してもダメなんだっけ…どうすると良いんだ?」
精霊王はもういないのだけど、大精霊だって魔素の循環には必要な存在だ
イフリートやボルドーは倒してしまったのだが、極力倒さないで済む方法でなければいけないのだから難しいのだった…




