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隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生  作者: うらたま
第4章《それぞれの戦い》
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7話「圧倒的な存在②」

「お主…さすがに儂でも気持ち悪くて動けんぞ…」

魔剣まで勘弁してくれといった感じだった


「全力で目くらましを指示せい」

魔剣キルディクスは、もう任せてられんという風に頭の中に命令をしてくる


「ミド、リドラ!ドラゴンの視界を出来るだけ塞いでくれ!」


ミドは煙幕矢を、おそらくそれでは足りない

リドラは大量のカケラをドラゴンの周りに展開して弾けさせると(まばゆ)く光を放っている


見たことのない技を使っているが、ギフト効果なのだろうか


煙幕で真っ暗になっている中、俺は魔剣の思うままに動いている


正直真っ暗でどう動いているのか俺にはわからないのだが、キルディクスならば感覚で動けるそうなのだ


一瞬ひるんだドラゴンの足元に近寄り執拗に左両足を斬りつけている


視界がひらけてくるとドラゴンは咆哮し、こちらに爪を振り下ろす

(かわ)しきれず足に受ける


「ミド、ローズ、俺にバフを!速さと力が足りない!」

魔剣は『足りない足りない』と俺に色々命令をする

俺はそれを伝える役目だな


「姉様お願い!」

ミドが矢を出しローズがエンチャントする

その矢を俺が受けると身体が軽くなる

ドラゴンが、爪では俺に届かないことを感じると

広範囲ブレスに切り替えるのだった


それを察したミドは良いタイミングで矢を放つ、矢から展開されたフィールドが黒炎を一時的に防ぐ


ブレスからは多少ダメージを受けつつも逃げることができたのだが…


「ミド!自分たちを守っていてくれ!」


このブレスならば致命傷には至らない、火とおそらく闇属性といったところなのだろう


魔剣は、俺の動きもよく知っているようで手際よくヒールポーションを取り出し使ったりもしている


さらに脚を狙い続ける魔剣、ついに脚を折るドラゴン


魔剣はその瞬間を逃さなかった

「上に登る!全力で俺に防御と回復を頼む!」


俺は折れた脚からドラゴンの首元に駆け上っていた

一本の剣を取り出し首元に深く突き刺すと、振り落とされないようにそれをしっかり掴みながら


俺はひたすら首を狙う


ドラゴンは体表に炎を纏わせ、尻尾は俺を的確に狙い打つ


今、ミドやローズを狙われれば危険なのかもしれないが

ドラゴンにもその時間が残されていないことを察したようで攻撃は全て俺を引き離すことに集中しているのだった


おそらくあと数発で…


「頼む、待ってくれないか・・・」

魔剣の声ではない、おそらくドラゴン…


その声を聞いた俺の身体は、迷わずドラゴンの首を横に薙ぎ払うのだった


「グォォ・・」


ドラゴンは(すんで)の所でなんとか消えずにいる


「なにか言うことがあるのか?」

俺は魔剣に言われドラゴンに尋ねている

魔剣もドラゴンの声は聞こえているようで、わざと一撃を残しダメージを与えているようだ


「我ら龍種は世界の安定を望んでおる・・・死すれば地上にも被害が及ぶ、そなたが我を倒す理由が無いのであれば見逃してはくれんか・・・」


まぁリヴァイアサンも争いは好まないと言っていたし、この世界の龍って良い奴なのかもしれないな

そもそも俺たちの方から攻撃を仕掛けてしまったわけだし


「大精霊が人間を滅ぼして、精霊にとって平和な世界とか言っていたが

龍の言う安定とはそういうものなのか?」


なんとなくいやらしい言い方だが、人間が滅ぼされるのが良しとされる考えがあるのならば

種族によっては全く違う正義も考えられる


精霊達と再び戦っている事を知った龍は、知っている事を全て教えようと


それから始まった龍の話なのだが…


龍種にとっての望みは要約すると、原種の生存だ

つまりは、元々暮らしていた人族・妖精族・龍族のことを考えているそうである


そこから様々な種へ分かれていったのだが


精霊は妖精から進化を遂げ、自分達を完全なる存在だと信じているのだとか


精霊の王が誕生すると、妖精たちはその生活圏を追われていった

精霊たちにとって下等な妖精族は存在そのものが目障りなのだろう


それがいつしかエスカレートしていき、精霊だけが繁栄する理想の世界を望んでいったらしいのだ


まず精霊王アイオーンは魔素を多く消費していくエルフ族に攻撃を仕掛け始めた


エルフ族の多くは巨人族と共生しており、それぞれの得意分野で発展していき

大自然の中で生活し、人族へ文化をもたらしていたのだが


今ではアーティファクトと呼ばれる遺物の多くがこのエルフの技術らしく

多くの魔素を使い生活を豊かにするものだったのだ

それがアイオーンには気に入らなかった


5年10年とアイオーンの侵攻は進み、ついにエルフ族と巨人族はその種を数えられるまでに減らされてしまったのだ


当時、聖龍と妖精の王はアイオーンを討ち滅ぼそうと考え一つのアーティファクトを生み出した

それは、ひとたび発動すれば急激に魔素を奪い尽くし破壊する力へ変換するものだ


しかし、妖精も数を減らし精霊王までもが消滅してしまえば

再び魔素が満ちるには途方もない年月がかかることになる


この2種族が魔素のバランスを上手く調整しており、必要以上に魔素が濃い場所も無かったおかげで

魔素から生まれる魔物(ゴミ)もたいした問題ではなかったのだが

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