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#41 格の違い

バザーで謎の鉄球を買った僕は、演習場でユウと訓練を始めた。

ユウは、バザーで魔法剣を買ったらしい。

奴隷商の店を吹き飛ばそうとしたときの剣だ。

長剣センスはないが、魔法剣のセンスはあると喜んでいた。

キスケは、鍛冶屋の情報を集めに行った。

シノとマル子は、訓練しないらしい。

まず、20メートルくらい先の壁に向かって鉄球を投げてみる。

ドゴン!

大きな音を立てて、

2メートルほど先に落ちた。

飛ばない。

いや、鉄球の重さを考えれば、

腕力補正のおかげで飛んだほうだが、実践では使えそうにない。

この鉄球かなり重い。

他の鉄球を見てみると大きさや形、重さが少しずつ違っていた。

一番軽い先が少し尖った鉄球を投げてみる。

コツン

今度は、壁に当たって落ちる。

次に一番重い鉄球を、魔力を込めてスキルの投石を使って投げてみる。

ドッゴーン!!

今度は壁に当たり、大きなクレーターができてしまった。

「これは!」

5発しか打てないし、回収が面倒だけど、いざという時の切り札にしよう。

思わぬ必殺技を手に入れ嬉しくなって、鉄球を拾っていると

「なるほど、剣の扱いというのはこういうことだったか。」

ビュンビュンと魔法剣を達人のように振り回しているユウの姿があった。

「魔法剣、風爆魔法ウインドウボム付与。さらに、ウインドウボムを足元に。

 中級剣技、ダッシュスラッシュ」

ウインドウボムの爆風に乗った勢いのまま、

風魔法をまとった魔法剣で巻き藁を切りつける。

ズッバーーーーン!!!!!!

巻き藁は一瞬で粉砕され、その後ろの壁もガラガラと崩れ落ちる。

僕が作ったクレーターも跡形もない。

僕は、得た技の威力の違いに呆然となった。

ユウも驚いた様子で

「ははは、びっくりした。」

と、こちらを見る。

そうだ。どんなに間抜けでも、こいつは勇者だった。

僕とは役者が違う。

もう勝つことはできないだろう。

今の技さえ躱す方法も思いつない。

ユウや皆は、魔法と剣の無限の組み合わせを使うことができる。

僕は、どちらも使えないのに。

暗い気持ちが心を飲み込んでいくのを感じる。

このままでは、また何もできずに失ってしまう。

自分にできることを見つけなくては。

もう二度と失わない。

ん?また?二度と?

そんなことを考えていると、師匠やジイさんが走ってきた。

「大丈夫か。何があった。」

師匠の問いにユウが答える。

「すみません。魔法剣をかったので、スキルを試してみたら思いのほか威力が・・・」

崩れた壁をみて、ジイさんは驚いた様子で

「信じられん。初心者用の演習場とはいえ、ある程度の威力までなら無効化する結界が張られておるのに。これからは、中級演習場を使いなさい。」

そういいながら魔法を唱えると、壁がみるみる修復されていく。

がれきの山は、あっという間にクレーターの空いた壁となった。

「あれ?僕の作ったクレーターは、修復されないんですか?」

ジイさんに聞いてみる。

「おかしいのう。どんな傷も治るはずなんじゃが。むう、ここだけ魔法がはじかれよる。」

僕の魔力のせいだろうか。

「まあ、強めに魔力をかければ大丈夫じゃろう。」

しばらくジイさんが魔法を唱え続けると、ゆっくりと修復されていった。

僕の魔法を打ち消す闇属性の魔力を上回る魔力を使えば、魔法が壊れないのか。

ということは、僕は魔法に無敵じゃない。

いや、逆か。

常時展開される闇属性の魔力を上回る魔力を展開すれば魔法が使えるかもしれない。

5日後のダンジョン実習までに魔力操作を鍛えよう。

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