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#38 武器の加護

本当にいろんな店があるな。

色々と見ていると香ばしい香りが漂ってくる。

香りのもとを辿ると、串焼きやであった。

「お、あの串焼きの店なんかうまそうじゃない?」

二人に聞く。

「そうっすね。」

「ニク、食いたい」

「じゃあ、あの店に・・・

って、シノがしゃべった!」

「シノ、しゃべるんすね。」

「( ゜д゜)ウム」

そんな会話をしながら串焼きやに行く。

「いらっしゃい。食っていくか?」

「テイクアウトできるっスか。この後友達と合流するっす。」

「もちろんだ。1本鉄貨3枚(約300円)。

ちょっと高めだが、食ってくれりゃわかるはず。」

確かに他の店と比べて少し高いようだったが、

香辛料をふんだんに使っているのか

他の店よりもはるかにいい香りが漂っている。

「じゃあ、十本ください。」

僕は、迷わず購入を決める。

「お、兄ちゃん太っ腹だね。

あいよ。今焼くから少し待ってな。」

焼き上がりを待っている間、何とはなしに隣の店をのぞく。

隣の店は、こまごまとした道具を売っている店だった。

何に使うか分からないものも多く、多様な商品が怪しさを醸し出している。

「兄さん。羽振りがよろしゅうございますね。

私の店でも何か買って頂けると嬉しいです。はい。」

これまた怪しい青年風の店主が話しかけてきた。

「アッシュ。気を付けてください。見るからに怪しいっす。」

キスケが警告する。

しかし、どうしても気になるものがあった。

僕は我慢できずに尋ねる。

「これは、どうやって使うんですか。」

店主はニヤリとした笑みを浮かべながら

「兄さん。お目が高いです。はい。

この鉄球、特殊な金属でできてございます。

特別な効果はございませんが、とても頑丈で何をしても壊れないです。はい。」

「おい!うちの客に変なもの売りつけるなよ!」

串焼き屋のおやじが怒鳴る。

「その金属の塊はな。

何をしても壊れないから、武器にも防具にもできねえんだよ。

投げるにしては重いしな。

それに武器じゃねえってことは、武器の加護を持たねえってことだ。

とても使えねえよ。」

「武器の加護?」

「なんだ。兄ちゃん知らないのか。

武器はなぜ強いのか。それは鍛冶職人たちが武器の加護を仕込んでいるからだ。」

興に乗ったのか、串焼き屋のおやじが鉄串を振り回しながら講義を始める。

「いいか。剣になる前の鉄の棒と鍛冶師が打った鉄の剣があるとするだろ。

どちらも鉄でできているが、鉄の剣の方が与えられるダメージも大きくなるし頑丈だ。

それが、加護ってもんだ。」

串焼き屋のおやじは、ひとしきり説明すると満足そうに

料理に戻っていった。

「まったく。自分のところは売れたからってこっちの邪魔はしないでほしいです。はい。」

商売の邪魔をされた店主はぶつぶつ文句を言いながら奥に戻ろうとする。

これは、チャンスだな。

「お兄さん。武器の加護についてもっと教えてくれたら、その鉄球を買うか考えるよ。」

「え、アッシュ。本気っすか?」

「ほんとでございますか?なんでも聞いてくださいませ。はい。」

キスケと店主が食いついた。

「武器の加護の作用について詳しく知りたいんだ。」

僕は、会話を続ける。

「加護を得た武器は、3つの効果を得ると言われているです。はい。

一つは、武器の強度上昇。これによって硬い敵でも武器が壊れにくくなります。まあ、うちの鉄球も壊れる心配は無用でございますがね。」

「二つ目は?」

「二つ目は・・・。ほんとに買っていただけるんでしょうか。」

「分かりました。いくらですか?」

「一つあたり銀貨1枚ですが、5つとも買っていただけるなら、専用のベルトを付けて銀貨4枚でよろしいです。はい。」

そういって、拳銃ホルダーのような皮でできたベルトを取り出した。

「5つで銀貨1枚だね。在庫処分に困ってるんでしょ?」

「そんな無茶な!せめて3枚は頂かないと。」

「じゃあ、間を取って2枚だね。銀貨はあと2枚しか持ってないし。

輸送スキルがないとこんな重いもの運べないよね?

一生売れないかもしれないよ?」

「うう。優しそうなのにひどい人です。はい。

分かりましたです。はい。

銀貨2枚でよろしゅうございます。」

涙目の店主に銀貨2枚を渡して、鉄球を棚から取る。

ズシン!

お、重い。

慌てて輸送スキルに2P振る。

頼む。買ってしまってから運べないとは言えない。

結果、素手時腕力上昇(微→小+)と素手時脚力上昇(微→小+)を獲得した。

なんとか運べるようになった鉄球をもらったベルトにセットする。

「それで二つ目と三つめは?」

僕は、足元を見て半額に値切ったうえに

さらなる情報の提供を求めた。

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