#37 バザー
新たに市民と支援者の職業才能を得た。
ダンジョンでは、石を投げつつ敵の注意をひいて攻撃をよけ続けることになりそうだ。
とりあえずのスタンスを決めた僕は、みんなと一緒に街をぶらぶらする。
「次は、どこに行くっすか。」
キスケが、僕に尋ねた。
「そうだな。この近くにバザーをやっているところがあってね。
薬師修行のときに1度だけお使いに行ったんだけど。
もう1回ゆっくり見て回りたいな。」
そう答えると、桃髪のマホが怒り始めた。
「なんで、あなたが仕切るのですか!
バザーなんてユウ様に似つかわしくないです!」
しかし、
「いや、俺も行ってみたいな。」
ユウがこう言うや否や
「はい!行きましょう!
私もバザーの食材とか見てみたいと思っていたんです!」
こいつ・・・
あっさり掌返しやがって。
今度からモモコって呼んでやる。
いや、マル子で十分か。
「だれが、ちびまる子ですか。失礼な!」
「( ´,_ゝ`)プッ」
シノは笑いをこらえきれずにいる。
しかし、マル子がなぜそう呼ばれることを知っているのか。
「アッシュ、また声に出てるっす。」
キスケが教えてくれた。
ユウが慌てて話題を切り出す。
「それで、どんなお店があるんだ?」
「ああ。武器や何に使うか分からない道具を売っている店があったよ。
他にも、マル子の言う通り食材もいろいろ売っているし、料理も売ってた。」
「だれがマル子ですか!」
マル子がまた怒りだすと、ユウがまた気を遣う。
「アッシュ!頼むよ。女の子なんだから。
じゃ、じゃあ。目的地はバザーでいいかな。
ついでに、そこで昼ご飯を食べよう。」
「はい!ユウ様。ユウ様とお食事ができるなんて。
ああ、二人っきりであればどんなに幸せだったか。」
マル子は、満面の笑みを浮かべて返事をしたあと、
ころころ表情を変えて、最終的にはなぜかこちらを睨んでいた。
笑ったり怒ったり情緒不安定なのかな。
僕が心配していると、またキスケが
「アッシュ、声に出てるっす。」
とため息混じりに言った。
バザーは、とても賑やかだった。
前回は、お使いに行った薬草店しか見られなかったからな。
特に食べ物の屋台が楽しみだ。
ちなみに、ダンジョン実習への支度金として
1人銀貨5枚もらっている。
この間の模擬戦の際の観戦やら賭博やらで
得られた資金から分配したらしい。
「なあ、とりあえず何か食わないか?」
僕が提案すると、
「なんで、あなたが!」
マル子が噛みつく。
「いいね。何か食べよう」
そして、すかさずユウが割って入る。
「はい。ユウ様。私もお腹が空いたところでした。」
そんな様子見てキスケはシノに話しかける。
「シノ。ここまでくればいっそ様式美なのかな。」
「( ゜д゜)ウム」
シノも同意したようだ。
こっちはいい迷惑なんだけどね。
「迷惑はこちらの方ですわ!」
「アッシュ、声・・・。これも様式美っすか?」
「( ゜д゜)ウム」
そんなやり取りをしていると、
バザーの中央にある広場にでた。
「じゃあ、みんなで適当に分かれて、
食べ物を買ってからまたここに集合するっていうのはどうかな。
テイクアウトできる店も多そうだし。」
ユウが提案する。
「はい。そうしましょう。
私は、ユウ様と一緒に行きます。」
マル子はユウに飛びつく。
「じゃあ、自分はシノとアッシュと行ってくるっす。」
キスケが、何事もなかったように答えた。
「シノ、アッシュ、いいっすか?」
「( ゜д゜)ウム」
「もちろんだよ。」
「じゃあ、決まりだね。どちらがより美味しいものを買えるか競争だ。」
ユウは、そういうとマル子と歩き出した。
僕らはそれと反対方向に歩く。




