#3 首輪
お読みいただきありがとうございます。
下手な文章ですが、少しでもお楽しみいただけると幸いです。
姫様は、淡々と質問に答え続ける。
その後もいくつか質問が出たが、最低限の保証は王国がしてくれることが分かると、
とりあえずステータスの確認をしてみようという空気となった。
しかし、僕は空気を読まなかった。
まだ姫様に声をかけていなかったのだ。
思い切って質問してみた。
「この首輪は何?」
全員がこちらを見る。
なぜ、みんなが気にしていないのか不思議でたまらなかった。
「首輪?」
「何を言ってるんだ。」
いまでも、何を言っているのかわからないといった表情だ。
ちなみに、先ほどぶつかっておいた目つきの悪い黒髪の少年と赤い短髪の少年は、
初めて首輪をしていることに気づいたようだった。
イケメンは、黙って首輪をなでていた。
姫様は、驚いた表情でこちらを見つめる。
「首輪でございますか。よく、お気づきになりましたね。
気づかれないような魔法がかかっているのですが。
おや、何人かの首輪が壊れているようですね。
その首輪は、暴力や犯罪を避けるように身体能力や思考に制限をかける魔道具です。
異世界漂流者がこの部屋に流れ着くと同時に装着されるようになっております。」
やっと会話できた。うれしい。
首輪壊して、ごめんね。
喜んでいると、黒い短髪の少年が叫ぶ。
「奴隷にする気か!」
姫様は、申し訳なさそうに言う。
「滅相もございません。不愉快な気分にさせてしまい申し訳ありません。
しかし、漂流者の中には、手にした力で暴れ始める者もおります。その力が強大な場合、国が亡びる危険もあるため、最悪の事態を避けるための保険でございます。私たちも怖いのです。ご理解ください。もちろん、安全が分かれば外させていただきます。」
そりゃ、怖いよな。
それに、申し訳なさそうに黙っている姫様もかわいい。
漂流者たちはショックを受けた様子で、誰も動けないようだった。
そんな張り詰めた空気の中で、突然気の抜けた声が響く。
「早く鑑定して。」
銀色の髪をした少女が、つぶやく。
それは大きな声ではなかったが、静まり返った部屋では大きく響いた。
「鑑定してあげてください。」
姫様に指示された鑑定士と思しき男が前に出る。
「ステータス、オープン」
鑑定士と銀髪、それぞれの目の前にパソコンのディスプレイのような明かりが現れる。
何か書いてあるようだが、鑑定士と本人にしか読めないようだ。
「おい、大丈夫なのか?」
大柄の青い髪をした少年が尋ねる。
「うん。問題なさそう。
首輪?は何のことかわからないし、気にしてもしょうがない。
それより、ステータスが見たかった。」
まあ、たしかに認識もできない人は、首輪を気にしてもしょうがないよな。
首輪について文句を言っても、何かが変わるわけでもないしね。
だけど、マイペースな子だな。
みんなは、銀髪の子の考えに納得したのか、光が浮かぶ魔法の世界の様子に刺激されたのか、自分のステータスが気になるようであった。
それは、当然僕も同じである。