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#35 デートの約束

ユウから今後の研修の予定を聞いたところ、

明日からまた魔法と武器の修練を行い、

5日後からダンジョン実習というものが始まるらしい。

漂流者同士で3人から5人のパーティを組むようだ。

「ダンジョン!それは、テンションが上がるな。」

僕が、思わず口にすると

「ああ、そうだろう。まさに異世界だ。」

ユウは、何故か偉そうに答えた。

「しかし、問題は誰とパーティを組むかだな。」

「俺とアッシュとあと誰にするか。」

「そうだな・・・。って、おい!

なんで、お前と組む前提なんだよ。」

「はっはっは。俺と君の仲じゃないか。照れるなよ。」

「いやいや、お前は魔法剣や聖剣が使えないとスキルしか打てないんだから、

その頑丈な体を使ってタンク役しか出来ないだろ。

僕もモンスター相手じゃ避けるしかできないから、タンクしか出来ない。

タンク二人で何するんだよ。」

「むう・・・。そんなものなのか。」

ゆうは、あからさまにがっかりした様子を見せたが、

すぐに取り直して笑顔をこちらに向ける。

「では、この休みを利用して装備品や必需品も整えに街に行こう。」

「なんで、僕がお前と二人で出かけなきゃいけないんだよ。友達と行って来いよ。」

「ははっ。俺にアッシュ以外の友達がいると思うのかい?」

こいつ、勝ち誇ってやがる。

いや。

よく見ると涙目だ。

洗脳のせいで友達がいないと思うと少し同情できるな。

「分かったよ。その代わり、僕の同室のやつらも誘うぞ。いいな。」

「も、もちろんだよ。願ったりかなったりだ。あ、ついでに新しい職業を開拓しないか。」

「新しい職業?」

「そうだ。コロークから聞いたのだが、もうすぐ0次職が解放されるらしい。」

「0次職?」

「市民や村人、奴隷、貴族、王族などがあるようだよ。

ちなみに王都に一定額の市民税を支払うと市民の職業が解放されるらしい。

0次職を得て自分のレベルが10を超えれば1次職も選べるとのことだ。

キミもレベル10は超えているだろう?」

「マジか。それはすごいな。

でも、税金なんか払ったか?」

「ああ、城の方で支給額から税金を差し引いていることにしてくれているらしい。」

さすが、姫様。かわいいだけでなく有能とは。

惚れ直してしまうな。

・・・

もう長い間姫様を見ていない気がする。

こいつの話が長いからか。

でも、こんな有用な情報持ってくるとは。

長話に付き合った甲斐もあるってもんだな。

「新しい職業さえ手に入れれば、アッシュと組む可能性もできるね。」

こいつ、まだ諦めていなかったのか。

おかしい。

よく読んでいたのであろうラノベなら、

こいつのポジションにかわいいヒロインが来るはずなのに。

なぜ、周りには女の子がいない。

しょうがないので、明日の待ち合わせの時間と場所を決めると

ユウはようやく立ち去った。

「やっと終わったかい。アッシュ、お前も早く部屋に帰りな。」

ミストレスはあきれた口調で僕に帰室を命じる。

僕は、身支度を素早く整え部屋の出口に向かう。

「薬を飲み忘れるでないよ!」

ミストレルの声に振り返り、

「分かりました。ありがとうございます。」

ミストレルにお礼を言って部屋を立ち去った。

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