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#29 決着

模擬戦1回戦目の相手は、勇者(笑)ことユウであった。

対戦中にユウのイケメンぶりを再認識した僕は、改めて殺意を抱いたのであった。

・・・

しかし、やれることは一つだけなんだよな。

あの剣をつかめるか否か。

それだけだ。

そんなことを考えていると、ユウが剣を振りかざして突っ込んでくる。

「駆け切り(ダッシュスラッシュ)」

「それは、もう覚えたよ」

僕は、軽く後ろに下がってよける。

またも空振りに終わったユウは、

素人同然に剣を振り回しながら、こちらに向かってきた。

めちゃくちゃな軌道に一瞬戸惑ったものの、

所詮はただ振り回しているだけの剣。

剣のスピードは遅く簡単によけられた。

剣の練習をサボってレベル上げなんかしているからだよ。

ここが勝機とばかりに剣をつかむ隙を窺っていると、

ユウは、剣を振り回した反動でわずかによろけた。

チャンス!

僕は、動きが止まった剣を掴もうと

魔力をこれどもかと集中させた拳を前に出して、

「格闘スキル。パンチ」

ユウの顔面に突き立てた。

またしても大きな音が鳴る。

バリン。

聞きなれた音と共に

錐もみ回転しながら吹っ飛ぶユウをみて、

ふと、我に返る。

「は!しまった。ダッシュ」

あんまりに殴りやすかったので、つい殴り飛ばしてしまった。

おかげで、かなりスッキリしたが

勝つためには、剣を破壊するしかなかったんだった。

吹き飛んだユウのもとに急ぐ。

しかし、たどり着く前にユウは起きてしまった。

それでも、剣が動く前につかもうとユウのもとにダッシュをかけていると

ユウは、持っていた剣を僕にめがけてぶん投げた。

僕は、驚いたものの師匠の突きと比べれば遅い剣を冷静に叩き落す。

ユウを見ると、何かをぶつぶつ呟いている。

様子がおかしい。

僕は、嫌な予感がして、急いで落ちている剣をつかんだ。

パリン。

その瞬間、剣は砕け散る。

「これで、僕の勝ちだ」

そういって、ユウを見る。

「そうだな。だが、そんなことはどうでもいい。」

そういうと、ユウは盾をこちらに向けた。

よく見ると、盾に風が集まっている。

「ウインドウボム」

ユウが唱えると、盾の向こうで爆風が起こり

鉄の盾がこちらをめがけて砲弾のようにすごいスピードで飛んでくる。

剣と同じように破壊しようと手を伸ばしかけたが、

近づく盾をみてハッと気づく。

「く。盾は武器じゃない!ガード!」

両腕で体をかばう。

油断していた僕は、とっさに両腕でガ-ドしたもののよけきれずに直撃した。

体中をすごい衝撃が走る。

「ウインドウボム」

その声に慌ててユウの方を見ると、

ユウの足元で爆風が起こっていた。

ユウは爆風に乗って、僕の体にぶち当たる。

「がはっ」

肺の空気が強制的に押し出され、体中からギシギシと音がしている。

ユウは僕に体当たりをした勢いのまま、左手で僕の皮鎧をつかむ。

僕は、もうろうとする意識の中でユウを見ると

「最後だ。ウインドウ・・・」

ユウの右腕に風が集まる。

痛くて体が動かない。

くそ。剣がない方が強いじゃないか。

「ボム」

爆風に乗ったユウの拳が僕の顔面をとらえると、

ボキッという音とともに、僕は意識を手放した。

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