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#20 師匠

昼飯は、パスタでした。

ガーリックのきいたオイル系ソースとほんのり甘いクリーム系ソース。

美味しゅうございました。

昼飯のあとは、少し休憩時間があった。

早速寝ようと部屋に戻ろうとしたところ、また勇者(笑)に絡まれた。

なんでも講義を寝るなだの、カンニングは卑劣だだの好きかって言ってどこかに行ってしまった。

その後も、ルームメイトのキスケやシノ、ダイモンにつかまって城の探索に連れていかれたため、昼寝はできなかった。

まあ、午前中寝てたから眠くはないけどね。

城の探索中に、中庭で勇者(笑)を見つけた。

一人でステータスウインドウを開いてぶつぶつ言っていた。

あいつ、友達もいないのか。大丈夫かな。

ただでさえイケメンなのに。カワイソウ。

そうこうしていると、実技の時間になったのでグラウンドに向かった。

もうみんな集まっているようだ。

「おせーよ。」

赤い髪のやつが声を上げる。

「みんな、早いね。」

僕が答えると、赤髪は笑顔になった。

「当たり前だろ。昨日から楽しみだったぜ。早く座れよ。」

「待たせて悪かったね。」

ぼくらは謝りながら、適当に座る。

赤髪は気にしてない様子で、前を向いた。

「いいよ、別に。それよりも早く始めようぜ、先生。」

講師の方をみると、地下牢で世話になったおっちゃんだった。

おっちゃんは、こちらを一瞥すると話し始める。

「えー、これから君たちには武器の扱いを学んでもらう。一歩間違えれば、大けがをする可能性もある。十分注意するように。では、これから順に名前を呼ぶ。名前を呼ばれたものは返事をして前に出て得意武器を伝えるように。それぞれに合った武器を渡していく。ここまでに質問のある者はいるか。」

「はい。」

僕は手を挙げる。

「なんだ」

おっちゃんは、地下牢の時とは異なり、少し威圧的だ。

みんなが注目すると緊張するね。

「僕は素手で武器が使えないのですが、見学していてもいいですか。」

おっちゃんは、険しい表情と低い声で答える。

「だめだ。みなと同じように訓練するように。

サボろうとするお前は、特別に俺がしごいてやる。」

キスケは、青ざめた顔でこちらを見ている。

いやいや、演技でしょ。

一緒に地下牢で会ってるじゃん。

「申し訳ありません。よろしくお願いいたします。」

深く頭を下げて、謝っている雰囲気を出しておく。

おっちゃんには世話になったから、メンツを立てないとね。

おっちゃんは、少し驚いた顔をしたが、すぐに厳しい表情に戻り順番に名前を呼んでいった。

なぜ、驚くのか。僕が礼儀正しくしたのが、そんなに以外か。

横を見ると、キスケも驚いた顔をしてやがる。

名前を呼ばれ武器を受け取った者は、兵士とおもわれる人にマンツーマンで教わっていた。

赤髪も嬉しそうに木剣を振っている。

勇者(笑)も、昨日見た女騎士とイチャイチャしながら剣を振っていた。

いいな。僕も剣とか振りたかったな。

名前を呼ばれていく人々の様子を見ていると、僕が最後の一人となった。

「ハイバラ!」

「はい!」

キビキビと返事をしておっちゃんのところまで歩いた。

「よろしく、おっちゃん。」

僕は、手を伸ばす。

「おれは、おっちゃんじゃない。何度も言っているだろ。

昨日は、本当に助かった。お礼に俺がしごいてやるよ。」

おっちゃんは、昨日と同じ笑顔で手を握った。

「おっちゃんは、槍の人を育てた方がいいんじゃないの?

あの赤?茶?いや銅色?のやつとか、槍を振り回してるじゃん。」

「いいんだよ。大人には大人の事情があるのさ。」

「大人の事情ね・・・」

「ああ。大人の事情さ。俺がお前を気に入ったとかな。」

「めっちゃ私情だね。」

「いいんだよ。でも、やるからには厳しくいくぞ。」

「はい!師匠!」

ぼくは、敬礼して答えた。

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