#10 自己紹介
いつもお読みいただきありがとうございます。
少しでもお楽しみいただけると幸いです。
自己紹介は、提案した勇者(笑)からのようだ。
「俺は、金井優。こちら風に言うとユウ カナイだ。職業は魔法剣士、聖剣士、勇者のほかに冒険者もある。才能は、魔闘技、風属性、炎属性、海属性、運命と職業才能だ。よろしく。」
すげー、まじ勇者(笑)。
運命って、健康とかないの?
数も多くない?
「じゃあ、次お願いできるかな。俺は、才能をだいたい言ったけれど、職業、武器、属性を一つずつくらいでいいからね。あとアピールできる才能があれば別だけど。」
隣にいたピンクの巻き髪に微笑みながら話しかける。
ピンクは、ほほを真っ赤に染める始末だ。
「わ、わたしは桃瀬まほ。職業は魔導士。才能は、両手杖、雷属性、宙?属性
、魔導などです。あと料理も持っていまーす。」
料理って、勇者(笑)を見つめて何をアピールしているのだか。
でも、職業とほかの才能がマッチしていていいな。
宙属性ってなんだろ?
つぎは、赤髪の番だ。
「おれは、赤星煉。レンってよんでくれ。双剣士、侍だ。刀、双剣、火属性、炎属性と、あとは鼓舞なんかがある。」
つづいて、青いのが立ち上がる。
「おれは、青山守だ。騎士や守護戦士、神官がある。・・・・」
自己紹介が続いていくが、眠気には勝てなかった。
・・・
「次、あなたの番よ。」
突如起こされる。
白く長い髪の美人が少し怒ったように話しかける。
「せっかくみんなで自己紹介しているのに。」
「ごめん。でも、こんなに大勢だと覚えられないしね。
体調が悪いのか、すごく眠いんだ。」
そういうと、白髪の美人は心配そうにこちらを覗き込む。
「そうなの?大丈夫?」
うん。だいじょうぶ。
ごめん。嘘だから。
だって、健康の才能あるし、記憶のレベルMAXだし。
「大丈夫だよ。少し寝たら回復したみたい。えーと、君は?」
「もう!今、言ったところなのに。私は、白鳥由紀。ユキって呼んでね。職業は・・」
「ごめん。名前だけでいいや。ユキありがとう。」
ユキにお礼を言って、なんと自己紹介をしたものか考える。
「あー、僕はハイバラです。職業は、薬師と狩人です。属性は水です。
ご存知の通り魔無しなうえに、素手スキルなので武器も装備できなさそうです。
あとは、健康ももっています。
健康の才能に睡眠のスキルがあるせいで、異様に眠いです。
食事のスキルもあるので、お腹が空きました。」
数秒の沈黙の後、爆発的に笑いが起きる。
「魔無しの上に素手かよ。」
「どうやって狩るんだよ。」
「健康って何?マジうけるし。」
予想以上に笑いが取れた僕は上機嫌であった。
しかし、あいつの声が響き渡る。
「やめるんだ!人の才能を笑うものじゃない!食事や睡眠はとても大切じゃないか。それに薬師として生きていく道だってある。」
さっきまでの空気が一転して沈黙に包まれる。
こいつ、僕が滑ったみたいな空気にしやがって。
身を削った一世一代の笑いをどうしてくれる。
だいたいお前は、魔無しのくせにと言っていただろ。
やはり敵だと勇者(笑)を見ると、明らかに馬鹿にした目でこちらを見ている。
コノヤロー。
「それで、僕が最後なのかな。」
僕は、なんとか怒りをこらえて発言する。
笑っていた奴らは「ごめんな。」みたいなことを言ってくれた。
べつに笑ってくれていいのに。
でも、基本的にいい奴らだ。
なら、なぜ黒野君のことは・・・
思案していると、突然、銀髪のおかっぱが立ち上がる。
「ちがう。わたしがまだ。」
「銀条れいか。レイって呼んで。職業は・・めんどい。」
めんどいよな。分かる。
僕もそうすればよかった。
みんなが呆気にとられていると、扉がノックされる。
「お食事の用意が整いました。食堂へご案内いたします。」
ようやく食事だ。
お城の食事だし期待できるよね。
姫様もいるかな。
それまで考えていたことは、はるか彼方へ消えていった。
次回は、翌10時更新予定です。




