第4話 数値として表されることがその人の全てじゃないって事だよ
能力お披露目回です
城を後にした三人はまず、最初にダンジョンに向かった。レベル上げの為だ。能力の確認もしたいし。スキルの『鑑定』と『アイテムボックス』は召喚特典?で付いてきた。てゆうか、初期ステータスが杏奈の方が高いなんてどういう事だよ
「なぁ、イラ。ここから目的のダンジョンまではどれ位時間がかかるんだ?」
「うーん。馬車に乗って一日ですが、道中でもレベル上げをしておきたいので少し遠回りになりますが、森の中を通ります。そうすると、一週間もあれば着くかと。」
「えっ!?一週間!?長っっ!?ちょっと、嫌だよー」
「いやいや、一度引き受けた以上やるべきだろ?」
「だって、お風呂はどーするの?」
「お風呂?どんなものがわかりませんがないと思いますよ。」
「えー。やだーー、お風呂ーー。」
「分かった、分かった。俺が作るから、それでいいだろ」
「えっ!?お風呂作れるの!?うんっ!それなら安心だー」
そんなことを話していると目の前に赤い狼が二匹現れた。
「あれはレッドウルフです。動きが早いのが特徴ですね。早速ですが、お二人で倒してみてください。」
「俺は能力大体わかってるから能力確認のために杏奈が倒してみろよ」
「うん、分かった。えーとっ、ふっ、えいっ。」
杏奈が虚空に向かって手を伸ばした。すると何も無かった空間から大きな鎌が出てきた。いかにも死神っぽい。それを使ってレッドウルフを二匹まとめて両断した。
「おー。出来た。」
「す、すごいですね。死神っぽいです。」
「うん、the 死神だな」
倒されたレッドウルフは光になって散っていった。代わりにペットボトルのキャップぐらいの大きさの石がレッドウルフがいた場所に置いてあった。
「へー、本当に光になった。」
「ちゃんと魔石もでるんだね。なんかゲームみたい。」
この世界ではモンスターは倒されたら光になってしまうようだ。なら、食料はどうするのかとイラに聞いたら、ちゃんと食料をドロップするモンスターもいるらしい。
「杏奈、他に能力について分かったことはないか?」
「あったよ!この鎌を触ってみたら色々と出来ることがわかったんだよ。」
どうやら、杏奈の『死神の女王』による能力は、瞬間移動、空間断裂、重力操作、即死魔法、死神の鎌術などなどエトセトラと死神ができそうな事は大体できるっぽい。普通、女の子って回復魔法とかそうじゃなくても魔法系が得意だと言う夜羽の固定概念は間違いだったようだ。
「俺もお前もチートだな」
「チートだね」
「チートですね」
それから暫く歩いて今度は大きめの猪に出会った。見た目は普通の猪と大差ない。ただ、牙が金色に輝いていた。
「あれはゴールドボア!?」
「ん?そんなに驚いた顔してどうした?」
「ゴールドボアはレアモンスターです!ドロップアイテムは上質なお肉です。」
「へー、じゃあ、今晩のメインだね」
杏奈が瞬間移動でゴールドボアの後ろに回り込み一刀両断する。、、、、、笑顔で。多分美味しいお肉がたべれるからだ。それしかない!!幼馴染みの夜羽でも杏奈のその姿には少し引いていた。イラに至っては恐怖の顔で杏奈を見ていた。当の本人は上質な肉がドロップして嬉しそうだ。
それからゴールドボアの普通バージョンのホーンボアに会ったり、レッドウルフに会ったり、スライムにあったり、キノコに会ったり、などなどエトセトラと色んなモンスターに会って、夜を迎えた。
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「夜羽、お風呂作るって言ってたけどどーやって作るの?」
「俺の能力を使うんだよ。それには準備が必要だ。手伝ってくれ。」
「?うん、いいよ。」
「と言っても木を一本切ってほしいだけだけどな。あー、あと、イラお前にはお湯を頼みたい。」
「はい、分かりました。」
ダンッ
?、音がした方向を見ると杏奈が木を切っていた。その音はどーやって出たんだよ。せめてスパンッとかバキッだろ。
「木取ってきたよー。」
「ん、じゃあやるか」
夜羽は少し開けた所に行き、両手を合わせその木に両手をついた。すると、木はその姿を変え浴槽へと姿を変えた。
「!?、なにをしたんですか?」
「これは錬金術だよ」
「あー、〇の錬金術師のやつだね。」
「そう、じゃあイラお湯を頼む」
「そんなものがあるんですね……」
「イラさん、はーやーくー!」
「あっ、はい。分かりました。」
イラが入れたお湯は思ったよりも熱めだったが久しぶりのお風呂でだいぶ疲れが取れた気がする。杏奈も〝ふぅぁーー〟とか言ってるし、満足できたのだろう。ああ、お風呂の周りにはちゃんと土壁を張って一人ずつ入ったからな、イラはいい体をして、、、、、見てないからな
ちなみに夜羽と杏奈のステータスはこんな感じになった。ステータスは念じれば本人だけには見れるようになるみたいだ。
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水本夜羽 17歳 男
Lv.5
HP 1656
MP 1456
攻撃 996
防御 956
魔攻 956
魔防 996
運 ???
スキル 鑑定 アイテムボックス
固有スキル 神王の司書
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高坂杏奈 16歳 女
Lv.7
HP 1636
MP 2336
攻撃 1236
防御 1136
魔攻 1336
魔防 836
運 78
スキル 鑑定 アイテムボックス
固有スキル 死神の女王
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固有スキルで使えるスキルはスキル欄には表示されないみたいだ。でも、そうするとなんかスキル欄が寂しいな。よし、イラに魔法教えてもらおう!異世界で魔法が使えないなんて宝の持ち腐れだからな。
今日は杏奈の方が多く戦ったからな。……べ、別に悔しくなんかないんだからね!はぁ、男のツンデレ・・・誰得だよ、、。
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二日目、昨日一日森を歩いていてわかったことがある。
「イラ、昨日この森を抜けるには一週間かかるって言ってたよな?」
「?はい、そうです。」
「昨日この森を歩いていて分かったんだが、同じとこぐるぐる回ってないか?」
「ん?どういうこと?」
「気づいていましたか。そうです、夜羽の言う通りですよ、この森は三日あれば余裕で抜けられます。」
「もしかして、イラって、ぽんこつ?」
「違いますよ!!ちゃんと考えがあってやってましたから!!」
「考え?」
「そうです、考えです。お二人のレベルの上がり方を見てやってたんです!でも、この調子なら通常通り森を抜けても問題なさそうですね。」
「そうか、なら早速行こう。杏奈、今日は俺が魔物倒すから!」
昨日、ステータスを見てまた差を感じたとかじゃないから、違うから!!!
そして、なんだかんだ森を進んでいると当たりに魔物が現れなくなった。
「ん?魔物現れない?」
「おかしいですね、これだけ歩いているのに魔物に出会わないのは流石におかしいです。」
「なにその、大事なことだから二回言いましたみたいなやつww」
「なに笑ってるんですか!異常事態ですよ!」
グァァァァァァァァァァァァ!!!!
「「「!?!?!?!?」」」
「なに?今の声?」
「っ……森の主です。」
「ナニソレ?」
「その名の通り森の主です。強さはワイバーンにも匹敵すると言われています。普段は活動すらしていないのに、なぜ!?」
「なんだ、そんなのか、出会ったら出会ったで倒せばいいだろ。」
「なに言ってるの!?夜羽!!」
「よかった、流石のお二人でも今のステータスでは…やはり女性の方が冷静な判断ができ『魔物が出なくなってレベル上げが出来なくなったんだから早く見つけ出して倒さなくちゃ!!』──なかったですよ!!なんですか!!もう、知りません!」
バキバキバキバキバキバキバキ
「ッ!?」
ニヤリと二人の口が三日月の様な形に開いた。
「よし、いくぞ!!」
「おー!」
「えー、ほんとに倒しに行くんですか!?」
音のした方に走って行ってみると、そこにはタコがいた。は?なんで森にタコ?
「えーと、ナニコレ?」
「森の主ですよ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」
正直期待はずれだった。だって、タコだよ!なんでタコなんだよ!ってか、どうやってあの声出してたんだよ!!
「ちっ、ガッカリだわ、換装」
虚空に手を伸ばし一言呟くと夜羽の手に明らかに火属性だと思わせる赤黒い剣が現れた。
「お前の声帯どうなってんだよ!!!」
縦一線に降ろされた剣から斬撃と伴に炎が放たれる。タコ──森の主は真っ二つになった。
「ふぅ、スッキリしたー」
「い、一撃!?あのステータスでは倒せる相手ではなかったのに…」
「ステータスだけが全てじゃなかったって事だろ。数値として表されることがその人の全てじゃないって事だよ」
「なに、カッコつけてるの?私にもあれくらい倒せたからね?」
「はいはい、スミマセンでした(棒)」
森の主のドロップアイテムは白を基調としたイヤリング3つとタコの足だった……2mくらいの
イヤリングを鑑定してみた所言語理解の付与が掛けられたものだった。この世界にも言語は色々とあるようで種族によって違うことが多いらしい。今後そういう時の為に今のうちから付けておこう。
「あれ、俺って意外とイヤリング似合うな」
「いや、微妙だよ。」
杏奈のキツイ言葉は昔からスルーしてきた。今回も例外じゃない。反論しても結局負けるんだから、スルーが一番なのだ。
タコは道中美味しくいただきました。まだ、1.5mくらい残ってるけど……
変な終わり方になってしまいました
そろそろ新キャラだしたいな、、。