第2話 なんですか?このチートステータスは!?
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右手で杏奈の左手を掴んだまま、目をゆっくりと開いた。そして、杏奈の無事を確認し、周囲を見渡した。
まず、目に映ったのは白いローブを着た疲れきった様子の美少女の姿だった。
「はぁはぁ、やった!成功した!」
少女が歓喜の声を上げた。その声を聞き杏奈も目を開いた。
「えっ、なに!?何が起こったの!?」
「はぁはぁ、混乱していますね。はぁはぁ、ふぅー。」
「「誰??」」
思わず声がハモってしまった。いや、それにしても誰だこの美少女は?出るとこは出て締まるところは締まっている、普通の男なら一目惚れしてしまうだろう。だが、夜羽は杏奈を見慣れているため一目惚れはしなかった。
「私はイラリアル=ワンサート。イラとお呼びください。」
「「は???????」」
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イラによる話だと此処はパレットと呼ばれる世界で、今夜羽達が居るのはレトテアという国だそうだ。どうやら異世界に来てしまったみたいだ。
そして、夜羽達は今、王様ぽっい人の前にいる。椅子がとんでもなく豪華だから多分そうだ。
「おー、お前達がイラが呼んだ戦士か。レトテアへよく来たな。歓迎しよう!」
「あ、ありがとうございます。貴方はこの国の王様なんですか?」
「うむ、如何にも。我がこの国の国王───」
国王の名前はなんか長かったから聞き流した。まぁ、呼ぶ時には王様と呼べばいいだろう。
「えっーと、聞きたいことが結構あるんですがいいですか?」
「うむ、よいぞ」
杏奈が聞いた話をまとめると大きく分けて三つだ。
1.此処へ呼んだのは何故か?
答.世界に反乱を起こした王様の息子のウェルズタニア=オングを倒すこと。ウェルズは既に魔王をも倒し今は力を蓄えている。
2.元の世界へは戻れるのか?
答.イラによると、理論的には可能だそうだ。過去にもまぁ今もだが、私達以外にも勇者とよばれる他の世界から呼び出された者もいるからできない事は無いだろう。
3.そもそも私達を呼び出すメリットは?
答.私達の元の世界はイラ呼び出せる範囲の世界で一番魔素──文字通り魔法の素となるもの──の濃度が高かったから、その濃い魔素を常に浴びている世界にいる私達はパレットでは、強い力が発揮できるから。
「他にはないか?」
「はい、取り敢えずありません。」
納得できない事は結構あったが、一旦受け入れるしか無いだろうと自分に言い聞かせ自分を納得させた。
「うむ、ならばイラ!二人のステータスを測ってやれ。」
「はい、分かりました。」
夜羽達二人の目の前にティッシュ箱二つを並べたくらいの大きさのクリスタルのようなものがイラの手によって運ばれてきた。
「イラ、何これ?」
「これはステータスを測る魔具ですよ。名前は測定水晶版だったと思います。」
「で、どうすればいいんだ。」
「少し血をこれに垂らして手のひらを上に乗せてください。」
夜羽はイラの言われた通りに手を乗せた。すると、測定水晶版が輝き下から紙が落ちてきた。
「その紙が俺のステータスか?」
イラが夜羽のステータス紙を拾い上げて見た。
「なっ!?」
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水本夜羽 17歳 男
Lv.1
HP 1200
MP 1000
攻撃 540
防御 500
魔攻 500
魔防 540
運 ???
スキル 鑑定 アイテムボックス
固有スキル 神王の司書
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「なんですか?このチートステータスは!?いくら異世界から来たからと言っても強すぎですよ!?」
なんかイラがキレ気味に言ってくるが基準がどれ位か分からないのでリアクションのしようがない。
「普通の人のLv.1の合計ステータスが1000なのになんで項目の一つ目で超えてるんですか!?この固有スキルはなんですか!?」
「いや、知らないよ!それより、早く杏奈もステータス測ってもらいなよ。」
「う、うん。そうだね。イラさんお願いします。」
「は、はい。」
杏奈に名前を呼ばれて落ち着いたイラが測定水晶版を杏奈の方へ向けてきた。先程と同じように紙が落ちてきた。
また、同じようにイラが紙を拾い上げる。
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高坂杏奈 16歳 女
Lv.1
HP 1000
MP 1700
攻撃 600
防御 500
魔攻 700
魔防 200
運 78
スキル 鑑定 アイテムボックス
固有スキル 死神の女王
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──デジャブだった。
ヒロインの方がステータスがいいです