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シッソク
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静の家から通う立待岬高校までの通学時間はそこまで長くはない。
しかし、徒歩となると若干苦労を強いられるのは否めない位の距離である。
徒歩通学を貫いている静にとっては、日常の1コマにしか過ぎない登校ではあるが、少しだけ足取りは重かった。
愛しき妹との早朝の喧嘩。
それを、学校に着く直前まで引きずっている。
喧嘩なんて、どちらかが大人になれば起こるはずのないことなのに、どちらも大人になることは無く、子供同士の喧嘩を望んでいた。
歴木は何を僕に伝えたかったのか、悶々とする自分の心を押さえつけ、僕と歴木を客観視しても、僕には分からなかった。
ただ言えるのが、陽織と同じく『深月』の話になると途端に暗い表情を表に出すということ。
明らかに。
見せつけるかのように。
慣れない表情を浮かべる歴木は見るに絶えない。
原因なんて、僕以外に他ならない。
その解決策をずっと見つけずにいる。
どれだけ頭をグルグルと回転させたところで、解決策なんて思い浮かばず、暗闇の中をただ走り続けている気分。
一寸先の光を求めるように走り続ける。
今もなお。