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「な・・・ななななんで!なんでアンタが!?」
何故ヤツが電話してきたのか。何故ヤツがこの番号を知っているのか。意味がわからない。パニック寸前のこころ。そもそも、この男とはもう関わることも無いと思っていたのだ。考えをめぐらそうとも、ショート寸前の頭では状況が整理できない。
「なんでって・・・お前、送り状見てないのか?」
「送り状・・・?」
こころは自身がビリビリに破いた包装を漁り、宅配の送り状を探しだす。そこには、
≪皇 悠貴≫
と、書かれていた。
「へー、これスメラギって読むんだー・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「って!そうじゃない!え、なんで!?なんで!!?は?なんで??」
「お前馬鹿そうだな」
状況が呑み込めず「なんで」を連発するこころに、悠貴は率直に悪口を返す。が、当の本人はテンパってるのでノーダメージ。
「ちょ、ちょっと待って。ちょ、整理しよ?落ち着いて?」
「お前がな」
こころは一旦スマホから耳を離し、一呼吸する。そうして、またスマホを耳に持って行った。
「あ、えっと・・・なんで、スメラギユキがスマホ送ってくるの?」
「携帯、壊れただろ」
「あ、うん。壊“された”ね」
「壊“れてた”だろーが」
隙あらば攻撃。
「で、これ、もしかしてお詫び的な?」
「・・・・・・」
「え、お詫び?謝罪?ごめんなさいしてくれてる?」
畳みかけるこころ、優勢!
「・・・・・・須藤が、アイツが、携帯が無いと不便だと、物騒だと五月蠅かったんだ」
電話越しの会話。顔は見えない。けど、声、喋り方でこころは何となく想像できた。皇悠貴は今、きっと、照れている。それが分かった時、自然とこころの口元が緩んだ。
「そ、そう・・・ふっ・・・そっか・・・ふふッ」
「は?なんだy
「あ、はは!あははっはははは!!!」
こころの顔が完全に緩んだ。緩みまくった結果爆笑し始めた。
「おい、何笑って」
「はっははは!はー、おもろっ。いやー、あの、ちょっと顔を想像して」
「俺の顔のどこに爆笑要素がある」
「だってあの、機嫌悪そうな仏頂面を思い出してたから、つい」
そこまで言って、こころはまたこの男の機嫌が悪くなることもなんとなく予期したのだが、電話越しのため恐れるに足らず。
「でも、どうしてウチの住所分かったの?」
「お前、鞄車に忘れただろーが。学生証入ってたからな、覚えた」
「は、怖っ!? しかも、鞄漁ったの!?」
「ああ、半分は菓子だったな」
「うわ最低・・・」
いくら顔が良くても社長でも、人によってはやっべぇ奴になってしまうことを、この男は気にしていないのか。
「安心しろ、お前をどうこうするって考えは一切ない、そもそも沸いてこねぇ」
「拉致った人の言うことかね!?」
すかさずツッコミを入れる。まぁ、魅力がない、みたいなこと言われて?ちょっと腹立たしくはあるが・・・。
「パパが携帯プレゼントしてくれたのかと思ったよ、もぅ」
「親が買うならそれでいい。購入費は俺に請求してくれて構わない。これも気に入らなければ捨t
「ないよ!!?お高いんだかんね、スマホ!もらうもらう!」
「・・・好きにしろ。ただし名義は自分で変えとけよ。俺は忙しい」
「え、名g
「じゃあな」ブチッ
ツー、ツー
一方的に電話を切られてしまった。最後に残ったのは疑問。
「名義って何?」
こころの質問は虚しく空へ消えた。
「ねぇママ」
「何?パパ」
「さっきなんでこころに礼言われたのかな」
「さぁ・・・?」
1階では、コーヒーをすする父の疑問も空へ消えたのだった。




