国内大人気シリーズ「元号」について
1800年代後半、長らく愛され続けていた江戸シリーズは遂に限界を迎えていた。
「鎖国という名のスタンドアロン環境は限界だ」とのユーザー声を聞き入れた開発陣により、オープンβテストもなしに市場へ緊急投入されたのが初代『明治』である。
チョンマゲや日本刀といったこれまでのトレンドを大胆に廃止し、西洋風のコスプレキットや「文明開化」という大型パッチを導入。
結果システムは一時大混乱に陥った。
しかし、アジア圏のベンチャー企業としては異例の急成長を遂げ、当時の業界最大手だったソ連を撃破するというジャイアントキリングを達成、世界市場にその名を轟かせる。
とはいえ、いきなりスタートした新シーズン『明治』には不満点も多かった。
そこで開発陣は猛烈なバグ修正と負荷テストに疲弊したユーザーを癒やすため、一時の娯楽として驚くほどマイルドなマイナーチェンジ版として『大正』をリリースした。
基本性能はそのままに、UIを「デモクラシー」と呼ばれる大衆向けのオシャレなデザインに一新、カフェ機能やモダンな衣装スキンを標準実装した。
非常に顧客満足度の高い優良タイトルだったが、関東大震災というFF14もビックリの仕様により、わずか15年でサービス終了を迎える幻のシーズンとなった。
その後、開発の方向性を完全に見失った運営が、
一か八かの大博打として配信したのが超大型タイトル『昭和』である。
この昭和では前半と後半で全く異なるゲーム性に変更されるという、歴史上もっとも極端なアップデートが行われた。
前半期を代表する機能として「ミリタリーモード」が存在する。
世界中の全プレイヤーを相手に、少ない資金で無謀なPvP(対人戦)を仕掛け、世界統一を目指すというゲーム性は一見すると「世界征服シミュレーション」に見えなくも無いが実際は「国家転覆シミュレーション」であったことが後に判明する。
にもかかららず、初めは順調にユーザーを騙し、上手に売り上げを伸ばしつつ世界シェアも広げていた。
しかしこの状況を危険視したライバル企業「アメリカ」が新兵器「ショタ」と「肥満男性」を開発。
これによって自社サーバーが物理的に爆破されて完全にデータが吹き飛ぶという、ゲーム史に残る大爆死を録する。
この前代未聞の事態に、
本国の技術開発顧問であり最高経営責任者でもある「裕二」の即刻辞任を求められた。
そのタイミングでアメリカから派遣されて来た営業部長の「マッカーサー」と会談。
なんとか辞任だけは免れることとなった。
それから暫くは株価が低迷するかに見えた。
しかし、そこから「経済」というチート性能を実装して奇跡のV字回復を達成。
最終的には世界第2位のシェアを誇る大ヒット商品となり、誰もが金を使いまくる「バブル」という伝説のバグを発生させて全盛期を迎えそのままシーズン終了を迎える。
大宴会の後にリリースされた『平成』は、いわば長すぎる二日酔いのメンテナンス期間だった。
バブルというバグの修正に追われ、開発陣の予算が完全に底をついたため、グラフは30年間にわたり右肩下がりを維持するという「失われた30年」がデフォルト設定となる。
若者ユーザーは戦う意欲を失って草食化し、ガラケーという独自規格のローカル端末を愛でていたが、海外製ハード「iPhone」の無料配布によって一瞬で市場を乗っ取られた。
戦争イベントが発生しないという圧倒的なセキュリティの高さだけが唯一のセールスポイントだった。
ユーザー達はその安全性の高さに満足していたにもかかわらず、経営陣による「暇すぎるかな?」という勘違いが悲劇を生む。
それが「シンゾウ社長暗殺イベント」である。
これにより市場は炎上。
この炎上は国境を越えて海外にまで波及したが、なんとか「国葬」というイベントを実装することでユーザーの怒りを収めた。
しかしこの国葬イベント自体もユーザーの評価を二分する要因となっており、未だに不満を抱いているユーザーも多い。
そして現在、最新版として稼働しているのが『令和』である。
これまでのシリーズでは前シリーズの終了後にリリースするのが通例であったが、今回では上皇システムを採用している。
そうして始まった新シーズンは前作の停滞感を打破するために投入された。
しかし、蓋を開けてみれば「全プレイヤー自宅待機」を命じるコロナイベントからスタートするという、なかなかのクソゲー仕様だった。
それに対応するようにリモートワークや多様性といったパッシブスキルが追加されたものの、その生産性の低さから早くもユーザーからの不満の声が続出していた。
そこで自宅待機の快適性をより高めるため、公式は「ネトフリ」や「アマプラ」を導入。
更にはVtuberという新しいクラスも実装し、地上波でも偶に使える様にした。
しかしコロナイベントの終了と共にこれらの新機能はレッドオーシャンとなり、「ネトフリ」に至っては国内ユーザーのお祭りイベント「WBC」を独占するという暴挙に出たことにより更に炎上。
しかしこの時期にリリースされた「マッチングアプリ」は社会現象となり、ユーザーからの評価は概ね良好な様だが、やはりトラブルも多いらしく更には現実での恋愛イベントが発生し辛くなっている。
また2026年現在、AIという新機能が24時間体制で魅力的なコンテンツを秒速で生成し続けるため、もはや人類が課金してプレイする意味があるのか誰も分からない、高次元のカオスオンラインと化している。




