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第5話 迷宮の奥の試練

霧の迷宮の奥深く、風は一層鋭く吹き荒れていた。

リアンは短剣を握り、足を踏みしめる。

目の前の通路は狭く、壁は霧で揺れている。

迷宮の中は、風竜の力が微かに残り、生き物のように動いていた。


「ここからが本当の試練よ」

セリナが微笑みながら言う。

「迷宮は進む者の恐怖や迷いを形にするの。

心を乱さずに進まなければ、道は閉ざされるわ」


リアンは深く息を吸い、前へ進む。

歩を進めるごとに霧の中で微かな囁きが聞こえる。

それは自分の名前を呼ぶ声、過去の記憶を揺さぶる声、

そして孤独を責める声――まるで迷宮が心を試しているかのようだ。


「俺……負けない」

短く呟き、リアンは前に進む。

だが、次の瞬間、風が急に渦を巻き、通路の壁が揺れた。

霧の中から黒い影が飛び出し、リアンの前に立ちはだかる。


「影獣……!」

前回の影獣とは違う、巨大で牙をむく獣。

霧と風で形を変え、正面からでは攻撃できない。

リアンは瞬時に剣を構え、風の隙を狙う。


「私に任せて」

セリナが舞い、風の渦を起こす。

影獣の動きが鈍り、リアンに攻撃のチャンスが生まれた。

息を整え、短剣を振る。刃が風を切り、獣の影を裂く。

だが獣は完全に消えることはなく、霧の中に潜む。


「油断するな!」

セリナの声に励まされ、リアンは集中力を最大に高める。

風の流れを読み、霧に潜む影を次々に斬りつける。

体力は限界に近づき、心も揺れるが、諦めることはできない。


戦いの中、リアンはふと気づく。

影獣はただの敵ではなく、迷宮が彼の恐怖を形にしたものだと。

恐怖に打ち勝てば、迷宮は道を開く――

セリナの言葉が頭に浮かぶ。


「よし……俺は負けない」

リアンは恐怖を振り払い、心を研ぎ澄ませる。

風と霧の流れに意識を集中させ、影獣の動きを予測。

刃が風を切り、影獣は次第に力を失い、霧の中に消えた。


「やった……!」

息を切らしながらも、リアンは安堵の息をつく。

セリナが微笑み、風を巻き起こして通路を照らす。

「素晴らしいわ、リアン。心を乱さずに乗り越えた」


霧が少しずつ晴れ、奥に新たな光が差し込む。

通路の先には、迷宮の中心部を示す古代の門が現れた。

門には風竜と同じ紋様が刻まれ、微かに震えている。


「ここからが、本当に迷宮の核心よ」

セリナが囁く。

「風竜の力と迷宮の秘密が待っている。

でも、あなたならきっと乗り越えられる」


リアンは短剣を握り直し、決意を新たに歩を進めた。

霧深き迷宮の奥、まだ見ぬ試練と秘密が彼を待つ。

そして、風竜の真の力――人間界と精霊界を繋ぐ力――

その全貌が少しずつ姿を現し始めていた。


迷宮の冒険は、ここからさらに深く、危険で、

そして美しい物語へと続いていく。


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