後編 ポンポコ亭事件の香り
今日も、ぽん子やリーとすー、そしてビギュナーのいるポンポコ亭で、ちょっとした騒動が始まります。
さあ、みんなで一緒に冒険に出かけましょう!
先生「みなさん、こんにちは。」
声をかけると、子どもたちがいっせいに返事をしてくれた。
子どもたち「こんにちはー!」
元気な声に安心しながら、私は笑顔でうなずいた。
すると最前列の女の子が手をあげる。
女の子「先生! 友だち連れてきたよ!」
先生「ありがとう。この本、とっても面白いから、ぜひ最後まで聞いてね。」
子どもたちはうれしそうにおしゃべりし始める。
私は手をパン、と叩いて注目を集めた。
部屋がしんとして、視線が一斉に集まる。
先生「今日は“もふ鶴図書館”の読み聞かせに来てくれてありがとう。『ポンポコ亭へようこそ』の後編を読みます。」
その瞬間、
「やったー!」「待ってたよ!」
「先生、この前いいところで終わったんだよ〜!」
と子どもたちの明るい声が飛びかう。
先生「はいはい、静かにね。」
“しー”のポーズをすると、子どもたちも真似して静かになった。
先生「お約束は二つ。
一つ 静かに聞くこと。
二つ 気分が悪くなったりトイレに行きたくなったらすぐ言うこと。」
子どもたち「はーい!」
先生「じゃあ前回のふり返りです。このフリップに入るのは誰?」
子どもたちの手がビシッと上がる。
「ぽん子は若女将!」
「料理人はリーとすー!」
あっという間に全部の答えがそろった。
先生「すごいね、よく覚えてたね!」
子どもたちは、胸を張ってニコニコしている。
私は本を開いた。
先生「それでは──はじまり、はじまり〜。」
◆ 秘伝のタレが盗まれた!
悲鳴が聞こえた部屋の扉を開けると、そこは厨房だった。
料理長のすーが泣きながらうずくまっている。
自分「大丈夫ですか?」
背中をさすっていると、兄のリーが声を震わせて言った。
リー「ビギュナー、お客様……ポンポコ亭の秘伝のタレが盗まれてしまいました!」
自分「えっ、秘伝のタレ? どうして?」
リーとすーは深刻な顔で答える。
リー「このタレは創業当時からずっと使われているんです。」
すー「すべての料理の味を決める、大切なタレなんです。」
ビギュナーは「犯人に心当たりは?」と聞くが、二人は首を横に振る。
そのとき──
ぽん子が静かに厨房に入ってきた。
ぽん子「まずはみなさん。食堂でお茶でもどうぞ。」
リーとすーは慌てて言う。
リーとすー「ぽん子さん! そんなことしてる場合ではありません! 秘伝のタレが──!」
ぽん子は落ち着いた声で言った。
ぽん子「リーとすー、こんな時だからこそ落ち着くのです。焦っていては犯人の思うつぼですよ。」
その言葉に一同はハッとし、ぞろぞろと食堂へ向かうのだった。
◆ 犯人、もうすぐ来ますよ
食堂の席には、それぞれ名前が書かれていた。
座ると、ぽん子がお茶とお菓子を持ってきてくれる。
ぽん子「こちらサービスです。それでは、ごゆるりと。」
自分はお茶をすすりながら言った。
自分「ぽん子さん、ずいぶん落ち着いてますね。まるで犯人がわかっているみたい。」
ぽん子はにっこり笑う。
ぽん子「ふふふ。犯人はだいたい検討がついています。もう少しで来ますよ。」
自分「もうすぐ来る……?」
みんなが首をかしげていると──
廊下の方からドタバタと騒がしい音がする。
ぴよ丸兄「ぴよ丸、このタレうまいな! もっと焼き鳥につけたいからその壺かせ!」
ぴよ丸「だめだよ! お兄ちゃんのよだれついたら味かわるかもじゃん!それに、ぽん子さんから焼き鳥もっともらえるって言われてるし!」
バンッ!
扉が開くと、壺を抱えたヒヨコたちが飛びこんできた。
自分「ビギュナー、あれって……」
ビギュナー「ええ、あれは……!」
リーとすーが叫ぶ。
リーとすー「秘伝のタレだ! 返せー!!」
ヒヨコたちは「やべっ、ぽん子にはめられた!」と逃げようとするが──
ぽん子は頭に葉っぱを乗せ、
「ポンポコポンポコポン!」
と唱えた。
すると足元からツタが伸び、ヒヨコたちをくるりとつかまえた。
みんな「ぽん子さん、すごーい!」
みんなが拍手する。
ヒヨコたちはしょんぼりとうつむき、リーとすーの前に進んだ。
ぴよ丸と兄「ごめんなさい……。美味しそうで、つい……。」
二人は笑って壺を受け取り、厨房へ戻っていった。
◆ 楽しい夜へ
しばらくすると、厨房からとってもいい匂いがしてきた。
ヒヨコたちはよだれがたら〜ん。
かわいいなぁ〜と見ていると、焼き鳥がどんどん運ばれてくる。
ぽん子が前に立ち、ていねいに頭をさげた。
ぽん子「本日は秘伝のタレが盗まれるという事件があり、ご心配をおかけしました。こちらサービスの焼き鳥でございます。どうぞお腹いっぱい召し上がってください。」
お客「若女将、太っ腹!」
お客「これからも応援するよ!」
客席からあたたかい声があがる。
◆ ラスト
みんなで焼き鳥をほおばり、食堂中に楽しそうな笑い声がひびいた。
自分は湯気の立つ焼き鳥を見つめながら、ぽん子にそっと言った。
自分「本当に……ステキなところですね。ポンポコ亭って。」
ぽん子は、やわらかい表情でうなずく。
ぽん子「ええ。ここは、おなかも心もあったかくなる場所なのですよ。」
その言葉に、ふわっと笑顔になる。
窓の外では、夜の風が葉っぱをさらさらと揺らし、
ポンポコ亭の灯りがやさしくゆらめいていた。
こうしてポンポコ亭の夜は、あたたかな笑い声につつまれながら、静かにふけていきました。
めでたし、めでたし。
先生「みんな、ぽんぽこ亭はどうだった?」
とたずねると、
子ども「楽しかった!」
子ども「おもしろかった!」
と、あちこちから元気な声が返ってきました。
みんなが喜んでくれて、本当によかったとほっとする。
先生「またお話を聞きに来てくださいね。今日はありがとうございました。」
ポンポコ亭の夜は、温かい笑い声とおいしい匂いに包まれ、静かにふけていきました。
事件は解決しても、明日はまた新しい冒険が待っているかもしれません。
読んでくださったみなさんが、少しでも心温まる時間を過ごせたなら、とてもうれしいです。
いつか、このポンポコ亭でまたお会いできますように。




