[閑話]バレンタインです。
本編軸とは関係ないですが季節物を書きたかったので書いてみました!!
※今回はアリス視点ではなくナレーション視点でお送りしています。
その日は街の若者たちが色めき出す日。
青年達は好きな相手にチョコが送られるかもという期待を持ちながらソワソワし、少女達は好きな相手にあげるため心を込めてチョコを作る。
もちろんそれは貴族も例外では無い。
自分の家にいるシェフにつくらせそれを婚約者がいるものは婚約者に渡し、いないものは手紙と一緒に相手に送る。
そう。そんなあまい空気のなかみんなが憧れる婚約者を持つアリスはというと、、、、、。
「バレンタインとかくそくらえ。」
やさぐれていた。
いやいや。ちょっとまちたまえ。
バレンタインは好きな相手にチョコを送る日。
そう。好きな相手に渡す日だ。
アリスも色めき立つはずだろ?
そう思う諸君らもいるだろう。
しかし彼女にはそれをできない理由がある。
それは彼女の前世である朱里であったころまで遡る。
朱里は当時好きな男の子がいた。
その子に渡そうとこっそりコツコツ集めていたお小遣いで材料を買いチョコを作った。
お菓子作りなんて初めてだった朱里は少しトラブルはあったものの一生懸命作った。
出来上がったものは見た目は不格好ではあったものの味も美味しく初めてにしてはよく出来ていた。
ラッピングを綺麗にし朱里は当時の好きな子に渡した。
その時にその男の子から言われた言葉が朱里の心に鋭く突き刺さった。
「気持ち悪w」
その男の子はそれを食べもせず足蹴にして帰って行った。
そこからかもしれない。
彼女が男嫌い・バレンタイン嫌いになったのは。
だから毎年この日が来ると彼女は部屋に引きこもる。
しかし今年は違う。
家族が一人増えた。
しかもカインはチョコなどの甘いものが好きらしい。
父親は好きではなかったので今まではあげてなかったのだが今年はそうはいかない。
しかし彼女の中には前世の記憶があるからやりたくないという気持ちもある。
そして彼女にしては珍しくちゃんと考えすぎた結果、やさぐれた。
「もういやだ、、。なんで私がこんなこと、、。」
ちなみに婚約者にもアリスは渡していない。
しかし婚約者は律儀にホワイトデーにアリスに送っているためアリスの良心は攻撃されている。
そう。婚約者にも送っていないのだ。
そんなアリスがバレンタインを送るなんて誰もが驚くだろう。
本当はアリスはカインにあげるつもりはなかった。
しかし母親が「今年はカインがいるから張り切らないと!!」と意気込んでいるため断れなかったのだ。
「はぁ、、、、。」
そんなアリスを見てカインが心配そうに寄ってきた。
「アリス姉様!?大丈夫ですか!?何かあったんですか?」
「かいん、、、、。(ඉᯅඉ )」
アリスのメンタルはもうボロボロである。
「かいん、、、。ちょこ、、、すき?」
「え?ちょこ?ま、まぁ好きですけど、、。」
「そっか、、、、。」
そうしてしばらく経つとアリスは決意をした顔をし、バッとたった。
「うわっ!?」
「カイン!!私決めました!!覚悟を決めます!!」
「え、えーっと。何が何だかよくわからないですがアリス姉様が元気になられて良かったです。」
そうして無事にローデンベール家ではバレンタインを迎えられることが出来たのである。
ちなみにカインにチョコレートを送ったことがなぜかアルフォードにしれた結果アルフォードから地獄のような手紙が来たことは言うまでもない。
影「殿下。」
アルフォード「なんだ。」
影「ローデンベール家でバレンタインが行われたそうです。」
アルフォード「そうか。あいつは誰かに贈ったのか?」
影「はい。最近来た養子の子に贈ったそうです。」
アルフォード「ほう。なるほどな。」
カキカキ
影「どうされますか?」
アルフォード「これをアリスに。」
影「はっ。」
アリス「よし!!私えらい!!やりきった!!」
メイド「お嬢様。お嬢様宛にお手紙が。」
アリス「ん?なんだろう、、、。
ぎゃあぁぁぁぁ!!!!」
メイド「お嬢様!?どうなさいましたか!?」
アリス「だ、だれか!!王宮宛に余ったチョコを全て送
って!!」
メイド「え!?ど、どうしてですか?」
アリス「いいから!!いますぐ!!」
メイド「は、はい!!」
それからしばらくアリスは布団の中で震えていたのだった。