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四十七話


「っし!行くか!」


「御屋形様!」


マルが駆け寄ってくる。

その頭を軽く撫でると俺は自分用のバイクに跨がった。


「行こうか、マル!」


「はい、何処までも着いて行きます!」


「ハル達は…そこに居たのか?」


サイドカーを見るとそこにはやる気のないハルの姿が。


「うぃー。歩くのダルいから連れてってー」


「仕方ないヤツだな…」


エンジンを掛けてアクセルを回す。


速度は徐々に上がっていきあっという間にフルスロットルだ。



「全軍…突撃だー!!」



「「「うおおおー!」」」


大声を出すと喊声が上がる。

勢いのままに敵軍へと突っ込んだ。



万里の長城だったか?

あれに似た急斜面をバイクで走り出す。

意外と舗装してあるからか走りやすくて良いな。


それなりに昇王戦を経験しているのか。兵站も理解しているっぽいな。


俺に続けと言わんばかりに敵兵を倒し進んでいくと目の前に敵の従者らしき者が立ちはだかる。


そんなとこに立つとあぶないぞ?


「朕は劉禅(リュウゼン)、敵将と見た!一騎打ちをーーぶへぇッ!」


「何か居たー?」


「ハル。従者らしき者が居ましたが、御屋形様が跳ねてしまいましたよ?」


「そっかー。まぁ多少は強化されてるだろうし轢いてもその内起き上がるでしょ。」


「危ないから口閉じとけ。舌噛むぞ?」


「「はーい」」


劉禅ってたしか劉備の息子…だよな?


三國志知識はあまりないが幼馴染みが某ゲームを遊んでいたのを思い出す。


能力値が3,5,9,4,の語呂合わせだったのを何となく覚えてる。


あいつ元気にやってるだろうか。

大学卒業してから滅多に会えなかったけど、ちゃんと生活出来てるだろうか。


「敵将、倒すーーあふん!」


ものぐさで女の癖に三國志とか戦国武将大好きだったからな。


お人形集めって可愛らしい趣味もあったし、女子力皆無って訳でもないか。


趣味に凝りすぎてたまに金欠で食事もろくに食べられなくて泣き着いてきておごってやったっけ。


そんで大飯食らいだから財布に大打撃受けたり…


「我、顔良(ガンリョウ)なり!一騎打ちーーぶへら!」


まぁ今にしてみれば遠い昔の思い出…って訳でもないか。


あっちで死んでから2ヶ月も経ってないんだよな…

一日一日が濃いからもう何年も経った気がする。


「朕は袁術(えんじゅつ)ぞ、そこにーーほげぇ!」


だが、まぁ…こっちの生活も悪くない。

俺は元気にやってるからそっちも良い人生を歩んでくれ。なぁ、さくら。


「うひょひょひょおッ!首ぃ!首置いてーーべぷしゅ!」


さっきから異常に敵が多いな…まぁ、全部バイクで撥ね飛ばしてるんだけどさ。


どこの世紀末救世主伝説だよ…バイク乗ってるのはこっちなんだけどな。


「我は関羽雲長なり。そこの者、我と刃を交えようぞ!」


「俺が張飛雲徳だ!ぜってぇ負けねえ!」


おぉ!関羽と張飛じゃん!

義兄弟の次兄と末弟だ。

長兄はどこにいるだろうか?


長いお髭に派手な鎧、青龍偃月刀を構えてこれぞ三國志武将といった所か。


張飛は髭もじゃの熊みたいな大男だ。長い矛を振り回し此方を威嚇している。


「御屋形様!ここはわたくしがーー」


「ヒャッハー!どけどけいー!ひげじじいごときが総長の行軍(はしり)を止めてるんじゃねぇ!ですわ!」


マルが立ち会おうとした時、背後からノブタダを乗せたノブヤスが族連中を引き連れやって来た。


ノブタダはシートに腕組みをして立っている。バランス感覚やべえ…


マルを見た瞬間、お嬢様言葉が出たのは条件反射みたいなものなのだろうか?


ノブヤスはバイクで関羽の横に並び立つと横蹴りを入れると崖から突き落とした。


「えー?!」


「兄者ァー!」


ハルがノブヤスの悪行に呆れ声を上げるもノブヤスは「ささ、総長どうぞ」と俺に前を譲ってくれた。


張飛の悲痛な叫びが木霊するもそれをノブヤスは無慈悲に蹴り飛ばした。


ノブヤスらしいというかなんと言うか。破天荒な性格をしている。まぁ、ありがたいんだけどさ。


「と、とりあえず行くか。ノブヤス、一緒に行こう。」


「はい、総長!ノブタダお姉さま、危ないのでお座り頂けーーあん、そんなところ触らないで下さい!」


「妾に指図するな、この駄肉めが。下僕の癖にこのこのこのッ!これで野良犬を挑発しやるのか?んんー?」


「あ…ふあっ…そこは、らめぇー!」


うん、見なかったことにしよう。


あれもコミュニケーションみたいなもんだろう…そう自分を納得させると俺はバイクを走らせる。


まだ1/3か…先は長そうだな。




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