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四十六話

新入り達を迎えて一週間が経った。


その間に昇王戦を一度行ったが結果は圧勝、内容は酷いモノだった。


ヴラドとアンティオペー三姉妹が特攻し相手の陣地を蹂躙、謝って王候補まで殺してしまった為試合時間は一時間も掛からなかった。


ノブタダ達の力を確認したかったが、クーデリアから新入りとしてその力量を見せるのも信用の第一歩だと言われてしまえば何も返せない。


不完全燃焼なノブタダは今日行われる試合で発散するらしく朝からやたらと構ってきてウザい。


「のう、野良犬。妾はぷりんを所望するぞよ」


「肩が凝ったのう。野良犬、ちと揉まんか。」


「あ、そのしょーゆ取ってー」


最後の方は威厳も何もない状態だが、少しずつ順応しているらしく他の従者達とも少しずつだがコミュニケーションを取れているみたいだ。


上記の様な状態になるまで何があったのかと言うと、人が増えた為其々に仕事を割り振ったのだ。


新たに増やしたのはハンベエ達軍師の者が集まる作戦本部。所属するのはソウウン、ソウザン、ノブシゲなど知謀に優れた面々だ。ナポレオンもここに加わっている。


次にノブタダ率いる高速部隊…という名の暴走族染みた連中。

GPショップで安く売っていたから二十台を購入したら選抜した志願者のアマゾネスや海賊が集まりチンピラじみた部隊が完成してしまった。

その志願者の中にイエヒサが居たのには驚いたが、内気な自分を変えたいと決心して手を上げたという。


続いてマサムネが提案した領民への教育の施し。洋城を一つ湖の近くに設置し小中一貫校を開校した。

教師役にはソウザン、ノブシゲ、マンショ、ゴッホなどが名を上げた。

コタロー、ヒデツグもこの学校に元気に通っている。


勤勉な者が多い中、怠惰に暮らす者も少数居る。


ノブタダとムネシゲ…しぃちゃんだ。


彼女達は昼前に起きてきてフラフラと領内を散策したり、俺や他の従者に絡んだり、エマの店を冷やかしたり、と気ままに暮らしていた。


まだ、しぃちゃんは良いのだ。

人に迷惑は掛けずに俺が与えた小遣いで買ったファッション雑誌やアクセなどを集めて自分磨きをしている。


上記の行動は九割ノブタダが犯人だ。


そんなノブタダに困った俺はソウウンやジャンヌに相談したが、打つ手無しと匙を投げられ、じゃあ少しでも働いて貰おうと俺の護衛を命じたら…

「つまらん」

の一言で一蹴された。


じゃあ飯抜きな、と伝えると涙目で謝られたから許してしまった。


うーん、我ながら甘い…


それで放置するのはまずいと思い積極的に俺から話し掛けることにした。

それからノブタダは少し変わった。


そして彼女と接していくうちに少しずつ打ち解けていった。一週間という短い時間だが、彼女の本質は甘えたがりで恥ずかしがり屋な普通の女の子なのだと分かった。


俺はそんなノブタダを上手く乗せてこれから試合に挑む事になる。


「のう、野良犬よ。妾の強さに酔いしれても知らんぞ?骨抜きになってしまうかもな、カッカッカ!」


「抜かせ…まぁ、期待しててやるよ。頑張ったらご褒美やるからな。」


頭を軽く撫でてやると視線を外して

「やめよ…」と小さく呟きつつも満更でもない様子。


手を離すと、あ…と小さく呟き俺の脛を軽く蹴ってきた。


「いってぇ…」


「ふん…妾に気安く触るから天罰が降ったのよ」


「そりゃないぜ…はぁ…ノブタダ、無理はするなよ?」


「誰に申しておる?妾は覇王の子ぞ。負けなど有り得ぬわ。」


ニカッ、と笑みを見せるとノブタダは優雅に跳びノブヤスの運転するバイクに飛び乗った。


その姿を見て俺も屈伸をしてから頬を叩き気合いを入れ直す。



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