四十三話
続けて七回目。
出てきたのは赤。
光のエフェクトが終わり姿を現したのは赤い鎧に銀髪を靡かせた女性だった。
その背には風林火山の四字が書かれた旗が…来てしまったか。
あの…武田家が!
「はふぅ…あらあら。初めまして旦那様ぁ。わたしは武田
義信と申しますぅ。幾久しく申し上げますわ。うふふ」
「ヨシノブ…信玄の嫡子…だったか?宜しくな!」
「うふふ…よしなに。」
武田 義信…確か今川義元の娘を娶った人だ。
あまり詳しくは知らないがそれだけ知っている。
松平、島津、織田、伊達と来て武田か…
俺、ツキすぎてそのうち尽きるんじゃ…なんてな。
その後二言三言会話をしてガチャを回すことにした。
九回目…緑。
濡羽色の吸い込まれそうな黒い髪に透き通った白い肌。
真っ黒な忍び装束に身を包んだ少女が目の前に立っていた。
年の頃は12歳くらいか?気怠げに此方を見つめ口を開いた。
「ん…風魔 小太郎。よろしく。お腹…空いた…」
アイエー?!ナンデ?ニンジャナンデ?!
ふざけるのは一旦置いといて…
忍びも武将扱いなのか。
百地や服部さんもいるのだろうか?気になるな…
「おぉ!コタローか!よろしくな、よしよし!あっちにご飯があるから沢山食べてくると良い。」
「ありがと…お兄ちゃん。ちゅっ…お礼。」
「お…おう。」
お腹が空いていた様で近くを指差し教えてやると、お礼と称してジャンプして俺に抱き着き頬にキスをしてそのまま去った。
「あ!ズルいズルい!ハンベエちゃんもすれば良かったぁ…」
なんて呑気な声も聞こえる。
ハルやソウウンの視線が背に刺さる…
ま、まぁ子供がやったことだし、気にしてても仕方がないか。
気持ちを切り替えて、さくっと次に行こう。
白、青、黄、緑、紫、赤、銀…銀で止まったか。
紫髪の、これまた少女だ。
ランドセルを背負い私立学校の制服の様なモノに身を包みカチューシャを着け、横結びにした少女…というよりも童女のが近いか。
十歳いってないかくらいの見た目で、無邪気な笑顔を俺に向けてきた。
「豊臣 秀次です、八歳です。せんせぇ、よろしくお願いします。」
「おう、元気があっていい挨拶だな。シゴウだ、これから宜しくな!」
「はーい!」
ヒデツグ…ヒデツグか。
秀吉の後継者にして秀吉亡き後、御輿に担ぎ上げられた悲運の子。
確か若くして亡くなっている筈だ。
今生では気ままに健やかに暮らして欲しい。
これで10連ガチャは終了だ。
色々有ってどっと疲れが来たがまだ…あるんだよな…
俺は淡く光ってるガチャポン台とスマホの通知を横目にため息を一つ吐いた。




