四十話
次、行ってみよー!
四回目 紫。
「………」
現れたのは背の高い女性。
俺と同じくらいだから170近くだろうか。
さらしを巻き紫のツナギの袖を腰に括って幅広のズボンで身を包み、オールバックで額を晒し、くすんだ金髪は根元が黒くなっていた。
へそピアスにバングル指輪、ピアス、ネックレスなど身体のあらゆる所に装飾をしている。
更に背後にはバイク…だと?
この世界?にはオーバーテクノロジー過ぎると思うんだが…置いといて。
《喧嘩上等》とペイントされたそれは明らかに走り屋のそれである。
うん、ヤンキーだ、この人。
「何見てんだゴルァ!あぁん?あんたがチームの頭ってかい?うちはァ、うちより強えやつにしか従わねえ!そこんとこ覚えとけってんだァッ!」
おーおー、すごい高圧的だな。
まぁ、屈しないけどねー。
見兼ねたカノがヤンキー姉ちゃんの腕を掴んだ。
「おい、新人。先ずは名乗るのが先であろう?」
「あん?なんだてめぇは?」
「拙者はカノスケでござる。主様の刀であり、盾であり、玩具であり、その…////(ポッ)兎に角名を名乗れ!」
決してカノは玩具じゃない。断じて違う!
あと、ツインテールを揺らして頬を染めるな…
可愛いだろッ!
まぁ、頼りになる存在なのは確かだ。
それに意外と濃い面子の中では常識人ではあるし。
「はんっ…盛りのついたメス犬ってやつかい?これだから色ボケは…ぶへッ!」
「…お話がありまする。わたくしに付いて来てください。御屋形様、良いですね?野犬を躾けて参りまする。」
「あ、はい」
「…ッ…上等だァ、やってやらぁ!」
マルさん…いきなりビンタはいけませんよ?
これ…ガチギレっぽいな…御屋形様、怖かった。
ぴえん通り越してぱおんだよ…
有無を言わせないマルの視線に射抜かれ、ヤン姉は一瞬たじろぎながらもマルと訓練場へと姿を消した。
カノも付いて行ったし、
心配ではあるが任せて大丈夫だろ、次いこう!
五回目 銀?!今日三回目なんだけどォッ!
運営さん、確率バグってますよー!
現れたのは茶髪のお下げの女の子。
胸がデカい。
にこにこしながらこちらを見ている。
歳は…マルとハルの間くらいか?
あと胸がデカい!
「あ、あ、あのイエヒサって言いますぅ。…島津 家久です。ご主人様ぁ…で宜しかったですかぁ?」
「イエヒサ…よろしくな…あぁ、好きに呼んでくれ!ふぅ…ダメだ。運が良すぎて心臓に悪い…神よ、こんな最高の時間を与えてくれて…有り難う…!」
「あ、あの…ご主人様ぁ、大丈夫ですか?何処か体調が悪いとか…?」
「大丈夫だ…俺は猛烈に感動している…!」
九州の名将が揃い踏みだよ…
心配されてしまったけど違うんだよ。
むしろその逆なんだよ…
心臓痛い…
何この、天国と地獄を同時に味わってる様な感覚は…嬉しいけど…辛いです。
膝を着き神に祈っていたからか、ご飯を食べていたジャンヌがいつの間にか後ろにいて頻りに頷き、
「マスターも信心の教えを覚えたのね」
云々と独り言を言っている。
俺は無信教者なんだが…
まぁ、心なしか表情が優しげだし、そっとしておこう。
頭の中を一旦整理しよう。
ハンベエ、ソウザン、ムネシゲ…じゃなくてしぃちゃん、ヤンキー姉ちゃん、イエヒサと中々濃い面子だ。
銀、緑、銀、紫、銀と中々調子が良い。
これでまだ漸く折り返しだから先が思いやられる…マルとヤンキー姉ちゃんの帰りを待ってから続きをやっても良いかもしれない。
うん、少し休もう…。




